ジロ・デ・イタリア2021第11ステージ:ほぼストラーデビアンケの難コースで新人のシュミットが大金星!未舗装路で明暗くっきり!ベルナルが強さを見せ総合首位盤石、ライバル総崩れ(ダイジェスト動画あり)
春のクラシック、ストラーデ・ビアンケと同じ未舗装を駆け抜けた第11ステージ、総合勢にとっての明暗がくっきりと分かれるステージとなった。総合リーダーの証、マリア・ローザを着用するイーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)が素晴らしい走りをしたのに対し、総合2位のレムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ)は大きく後れを取り大きく順位を下げる形となった。またそれ以外の総合上位勢も軒並みタイムを失う結果となり、形としてはベルナルの一人勝ちのステージとなった。そんなステージで優勝を決めたのはマウロ・シュミット(キュベカ・アソス)、逃げ集団から飛び出し、最後はアレッサンドロ・コヴィ(UAEチームエミレーツ)との一騎打ちを制した。新人が初のグランツールでプロ初勝利を挙げる、また一人注目選手が増えた。
後半70㎞のうち未舗装路がそのおよそ半分(4セクター)、悪路を苦手とする選手にとってはまさに悪夢のようなコース設定、レースは序盤から逃げが容認され、メイン集団は淡々とそれを追う形となった。11人の逃げが容認され、最大でタイム差は14分にまで広がる。このタイム差はなかなか縮まらず、これでこの日は逃げ切りが容認されることが確定的となる。
最後の未舗装路セクターで逃げの一人ドリエス・デ・ボンド(アルペシン・フェニックス)が動くと、それに対応できたのはコヴィとシュミットのみ、そしてこの二人は舗装路区間の上りでデ・ボンドを置き去りにし、一騎打ちへと持ち込む。シュミットは何度となく揺さぶりをかけ、そしてゴールまではロングスパートで仕掛ける。コヴィもそれに反応したが、最後は勝利への執念でゴールまで踏み続けたシュミットに勝利の女神は微笑んだ。
「マルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ)やジーノ・メイダー(バーレーン・ヴィクトリアス)が結果を出していたから、燃えていたんだよね。でも僕のあこがれはカンチェラーラ、今でもずっとそうなんだよ。」シュミットはゴール後にライバルの存在と憧れの同胞への思いを吐露した。
そしてその背後では壮絶なサバイバルが始まっていた。なんと最初の未舗装路セクターで、総合8位のダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)と総合10位のダビデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ)が早くも脱落、そして残り25㎞、3つ目の未舗装路セクターでエヴァネポエルがその犠牲となる。本来であればすぐにでもアシストがエースを助けに戻るのだが、ジャン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がこれを一度は拒否、これにエヴァネポエルがいらだちをあわらにする一幕も見られた。結局ここでの遅れを挽回できなかったエヴァネポエルは、この日だけで2分以上のタイムを失い、総合7位まで順位を下げた。
絶好調のベルナルは、先に仕掛けたエマニュエル・バックマン(ボーラ・ハンスグロエ)に合わせて
アタック、残るライバルのアレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック)らを置き去りにする。そのままライバルたちを引き離しステージ11位でゴールしたベルナルは、一気に総合でタイム差を広げることに成功、昨日まではトップ9が1分差以内にひしめいていたが、これで総合2位のヴラソフ以外皆1分差以上のタイム差となった。
「オフロードは大好きだよ!まあ後はパンクしたり落車したりしないかという運もあるからね。そういうリスクを背負ってでも攻める価値があると思ったんだよ。」ベルナルの勝負勘は冴えまくっていた。
これで総合は大きく動く形となり、ブラソフ以下にダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO)、サイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)が続く形となっている。
ジロ・デ・イタリア第11ステージ
1位 マウロ・シュミット(キュベカ・アソス) 4h01’55”
2位 アレッサンドロ・コヴィ(UAEチームエミレーツ) +01”
3位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル) +26”
4位 ドリエス・デ・ボンド(アルペシン・フェニックス) +41”
5位 サイモン・ググリエルミ(グルーパマFDJ)
6位 エンリコ・バッタリン(バルディアー二CSFファイザネ) +44”
7位 ロジャー・クルーゲ(ロット・ソウダル) +1’23”
8位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(エオロ・コメタサイクリング) +1’37”
9位 タコ・ファン・デル・ホーン(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリアル) +1’43”
10位 ローレンス・ナーセン(AG2Rシトロエン) +1’59”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) 42h35’21”
2位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック) +45”
3位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス) +1’12”
4位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +1’17”
5位 サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ) +1’22”
6位 エマニュエル・バックマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’50”
7位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +2’22”
8位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +2’24”
9位 トビアス・フォス(ユンボ・ヴィズマ) +2’49”
10位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス) +3’15”
ジロ・デ・イタリア第11ステージダイジェスト
H.Moulinette