ジロ・デ・イタリア2021第9ステージ:ついに始まった総合バトル、未舗装路頂上ゴールを制したのはベルナル!そのままマリア・ローザも奪取!エヴァネポエルは位置取りで遅れ2位(ダイジェスト動画あり)


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山岳はグランツールの総合優勝争いには欠かせない決戦の場、そして大本命ない今大会のふるい落としが本格化するのがこの第9ステージ、未舗装の頂上ゴールだった。そんなステージでは逃げ切りが容認されたかに思えたが、残り5㎞からのメイン集団での激しいバトルがどんどんとペースを上げ、気が付けばゴール前で逃げの面々は全員吸収され、総合勢による直接対決へと持ち込まれた。そしてそれを制したのは、一人軽やかに別次元の加速を見せたイーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)、2019年度はステージ勝利なしでツール・ド・フランス総合優勝を決めていたため、なんとこれがグランツール・初のステージ勝利となった。そしてそのままマリア・ローザも獲得、ターゲットは3大ツール2つ目の総合優勝だ。

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この日はめまぐるしくレースが動き続けた。そして逃げが一旦は容認されるが、そこへ総合上位のダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス)、ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス)らが加わり追走が激しくなる。結局集団はまた一つに戻り、ここからさらなるアタックが繰り返される。そしてここで発生した16人の逃げが、ようやくこの日の逃げ確定となった。

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だがこの日は総合バトルにとっては重要な一日、メイン集団は逃げ切り勝利を容認するそぶりは見せない。タイム差は開けど、ゴールは激坂なうえに未舗装路という悪条件が整っているだけに、各チームエースの温存とアシストの削りあいが繰り返される。横風区間ではドゥクーニンク・クイックステップが得意のペースアップで分断を図り、上りになれば他チームがペースを上げていく。
そしてレースはそのまま最後の頂上ゴールへの上りへと突入、逃げ続けるジェオフリー・ブシャール(AG2Rモンディアル)とコーエン・ボウマン(ユンボ・ヴィズマ)は必至の表情で何度となく後ろを振りける。必至に残り500mまで逃げ続けたが、未舗装路になり激化してきたメイン集団のバトルはあっという間に背後に迫り、そしてベルナルが渾身のアタックを仕掛ける。

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ライバルたちも必死に追いすがるが、元UCIMTB世界選手権ジュニアXCで銀・銅メダリスト選手でもあるベルナルのオフロードでの走りは見ごたえ十分だった。圧倒的な加速でライバルたちを一気に置き去りにし、逃げ続けた二人の夢もあっさりと踏み越えていく。そのままライバルたちとの差を広げ独走でゴール、これで一気に総合リーダ‐ジャージも獲得、一躍今大会の主役に躍り出た。

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「信じられないよ!僕自身グランツール初ステージ勝利だよ!去年のつーづ・ド・フランスで背中の痛みで多くを失ってから、耐えてた耐えて耐えしのいできたんだよ。だからこそ喜びもひとしおだよ。今日はいい感じだったし仕掛けるつもりだったんだ。でも勝利できるかどうかは全く別の問題だったんだよ。今日はみなが僕を信じてくれたおかげだよ。だから皆の勝利だよ。」ベルナルは喜びを爆発させた。
タイムロスを抑えるべく必至の走りを見せた総合上勢だったが、ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)とアレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック)がそれぞれ2位と3位に入り、それぞれ総合4位、3位へと順位を上げた。昨日までの総合リーダーアティラ・ヴァルター(グルーパマFDJ)は何とか総合5位に踏みとどまった。
最大ライバルと見られていたレムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ)は途中のトンネルを抜ける際に位置取り争いでイネオス・グレナディアス勢とあわや接触する形となり番手を下げてしまった。それがそのままスパートの出遅れへとつながってしまい、必至で猛追したがステージ4位に終わった。総合では2位のままだが、一つ上の順位には最大ライバルとなり、追われる立場から追う立場となった。

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ジロ・デ・イタリア第9ステージ順位
1位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) 4h08’23”
2位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +07”
3位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック)
4位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +10”
5位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)
6位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス) +12”
7位 ロメイン・バルデ(AG2Rシトロエン)
8位 マルク・ソレル(モビスター)
9位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス))
10位 ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) 35h19’22”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +15”
3位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック) +21”
4位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +36”
5位 アティラ・ヴァルター(グルーパマFDJ) +43”
6位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +44”
7位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス) +45”
8位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +51”
9位 サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ) +55”
10位 ダビデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ) +1’01”
ジロ・デ・イタリア第9ステージダイジェスト
H.Moulinette