Tweet

Pocket

©RCS

一つのグランツールでの複数勝利が最も可能性があるのがスプリンターだ。チーム力で体力を温存し、ゴール前での僅かな瞬間の勝負に賭けることができるからだ。しかしそれは容易なことではない。1勝すれば人生が変わるとまで言われるグランツールのステージ、誰もがグランツールので勝利を欲し、闘争本能むき出しで勝負に挑んでくるのだ。そんな大舞台で複数勝利をあげられてこそ真の強者と呼ばれるのだ。そしてこの日はカレブ・ユワン（ロット・ソウダル）が第5ステージに引き続き勝利を挙げ、今シーズン目標として掲げる同一シーズン全グランツールでのステージ優勝に向け、さらに勢いが加速している。

©RCS

週末の山岳2連戦を前に、本格的にスプリンターたちが勝負できる数少ないステージだけに、各チーム気合の入った面持ちで181㎞の第7ステージはスタートした。レースはスタートと同時にイタリア籍の3チームの選手が飛び出し逃げを形成するが、メイン集団はこの日は逃げ切りを容認するつもりはなく、完全に泳がせた状態でのレースが続く。メイン集団に殻は、中間スプリントではピーター・サガン（ボーラ・ハンスグロエ）が積極的な動きを見せる。最終的なポイント賞狙いであり、中間スプリントでも地味にポイントを積み重ねていく。

そして残り15㎞を前に、この日の逃げが吸収されると、展開は一気にスプリンターバトルと向かっていく。総合勢は無駄なタイムロスを避けるべく先頭集団付近に集結、さらにそこに主導権を握りたいスプリンターチームが集まり、様相は混沌としていく。

©RCS

そんな空気を一撃で吹き飛ばしたのが、フェルナンド・ガヴィリア（UAEチームエミレーツ）だった。予想外の500m近いロングスパートを開始、これにライバルは即反応する。特にユワンはきっちりとガヴィリアをマークしガヴィリアの力を利用、リードアウト代わりに使い自らが一気に加速する。残り150m以上を残し一気に勝負に出る。もはやこの速度域で追いついてこれるライバルはもういなかった。ユワンは圧勝で今大会2勝目を挙げ、それは自らの通算50勝目、さらには所属チームのロット・ソウダルのジロ・デ・イタリア通算30勝目という節目の勝利となった。ステージ2位にはダビデ・チモライ（イスラエル・スタートアップネーション）、そして今大会すでにステージ勝利を挙げているティム・メリエール（アルペシン・フェニックス）が3位に入った。

©RCS

「チームは完璧だったよ。無駄なく完璧なチークワークを発揮できたよ。でもゴール前は難しい展開になったよね。でもガヴィリアのロングスパートで脚がパンパンだよ。あれがガヴィリアじゃなかったらもっと余裕のある展開となったんだろうけど、彼は逃げきれてしまう可能性があったからね。でもそこから自分が仕掛けるタイミングも迷ったよ。ガヴィリアの二の舞になるかもしれなかったからね。（自分がガヴィリアを利用したように）。」ユワンの勝者の弁には余裕が感じられた。

総合は明日以降の山岳に備えて動かず、ゴール手前でメカトラに見舞われたヒュー・カーシー（EFエデュケーションNIPPO）らタイムを失った選手もいたが、大きな変動はなかった。

©RCS

ジロ・デ・イタリア第7ステージ順位
1位　カレブ・ユワン（ロット・ソウダル）　　4h42’12”
2位　ダビデ・チモライ（イスラエル・スタートアップネーション）
3位　ティム・メリエール（アルペシン・フェニックス）
4位　マッテオ・モシェッティ（トレック・セガフレド）
5位　アンドレア・パスカロン（インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリアル）
6位　フェルナンド・ガヴィリア（UAEチームエミレーツ）
7位　ディラン・グローネウェーゲン（ユンボ・ヴィズマ）
8位　マックス・カンター（チームDSM）
9位　フィリッポ・フィオレッリ（バルディアーニCSFファイザネ）
10位　ユアン・モラーノ（UAEチームエミレーツ）

ジロ・デ・イタリア総合順位
1位　アティラ・ヴァルター（グルーパマFDJ）　　　26h59’18”
2位　レムコ・エヴァネポエル（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　＋11”
3位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）　　　＋16”
4位　アレクサンダー・ヴラソフ（アスタナ・プレミアテック）　　　＋24”
5位　ルイ・ファルファエケ（アルペシン・フェニックス）　　　＋25”
6位　ダミアーノ・カルーソ（バーレーン・ビクトリアス）　　　＋39”
7位　ギウリオ・チッコーネ（トレック・セガフレド）　　　＋41”
8位　ダニエル・マーティン（イスラエル・スタートアップネーション）　　　＋47”
9位　サイモン・イェーツ（チームバイク・エクスチェンジ）　　　＋49”
10位　ダビデ・フォルモロ（UAEチームエミレーツ）　　　＋55”

ジロ・デ・イタリア第7ステージダイジェスト

H.Moulinette