ジロ・デ・イタリア2021第6ステージ:雨の本格山岳ステージで総合勢はふるい落としに、メイダーは序盤からの逃げ切りで大金星!総合リーダーもヴァルターが大金星の奪取!(ダイジェスト動画あり)
雨の山岳はまたしてもドラマチックな展開を用意していた。頂上ゴールの日は総合系の選手とチームにとっては格好の勝負所、それをわかっての仕掛けが結果的にライバルたちを削る消耗戦となり、そして今大会の総合優勝を狙えるものとそうでないものが早くも大きく振り分けられる形となった。そんなステージだからこそ逃げ切りは決まりやすい傾向にあり、この日もジーノ・メイダー(バーレーン・ヴィクトリアス)が勝利、昨日エースのランダを失ったばかりのチームに明るい話題をもたらした。そして総合では若干22歳のアティラ・ヴァルター(グルーパマFDJ)が粘りの走りでタイムロスを抑えきり、ハンガリー人として史上初のマリア・ローザ獲得となった。
残り15.5㎞から続く、平均勾配6.1%の頂上ゴール決戦は、雨に打たれながらのサバイバルバトルとなった。まだ大会序盤だが、悪天候での頂上ゴールバトルでは、その前の下りでの仕掛けの可能性もあるなど、荒れるのだが、この日も頂上ゴール的る前からイネオス・グレナディアスが積極的なライバルつぶしともいえるペースアップで、ライバルチームの戦力をそぎ落としていた。
そして始まった頂上バトル、逃げ続けるメイダーはただひたすらに淡々とゴールを目指す。そしてメイン集団はイネオス・グレナディアスが攻撃の手を緩めない。昨日パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアス)のリタイアにより絶対エースとなったイーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)が攻撃の手を緩めない。何度となく揺さぶりを仕掛けライバルを脱落させ、残り2㎞で再加速、これについていけたのはレムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)、そしてダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)のみだった。残りの有力選手たちはこの4名を追う展開となり、昨日までの総合4位ヴァルターの姿もその中にあった。
今年のパリ~ニースの最難関ステージでは、ゴール数m手前でプりモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)に追い抜かれ悔しがったメイダーだったが、このステージでは何度となく後続を確認、十分なタイム差を維持したまま勝利を確定させた。そして2位争いを制したのはベルナル、マーティン、エヴァネポエル、チッコーネと続いた。
「昨日はチームにとってはエースを失った最悪の日だった。だから今日はランダのために頑張ろうとチームが結束したんだよ。そりゃ今日もパリ~ニースの時の光景が脳裏を離れなかったよ。残り100mまでその幻影に襲われ続けていたよ。でも勝利を確信できた時は、とにかく心穏やかだったよ。」メイダーはそのメンタル力の根源を語った。
そしてベルナルらの集団からさらに17秒遅れ、サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ)、アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナプレミアテック)、ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO)らとともにヴァルターがゴール、この瞬間史上初のハンガリアン・マリア・ローザが誕生した。
「もう泣きそうだよ!嬉しい!以外の言葉が見つからないよ。朝スタート前は今日レース後にマリア・ローザ着てたらね~なんてジョークを言い合うけど、それを信じるのは別の話だよ。とにかく僕自身が一番驚いているよ。もちろん選手であるからには狙うものは狙うし、世界屈指のクライマーたちについていける肌感覚はあったんだよ。あとはモチベーションがそれを後押ししてくれたよ。今はこのジャージを目一杯満喫し、チームで守っていきたいね。」ヴァルターは絶好調にしゃべり続けた。
またこの日はピーター・セリー(ドゥクーニンク・クイックステップ)がチームバイクエクスチェンジの監督車にはねられるハプニングがあった。上空から見ていても前方不注意としか思えず、チームの監督は大会からの追放処分となり、運転手には罰金が科された。実はセリーは今年別のレースでもモトバイクに接触されており、運がまったく見方をしていないようだ。
ジロ・デ・イタリア第6ステージ順位
1位 ジーノ・メイダー(バーレーン・ヴィクトリアス) 4h17’52”
2位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +12”
3位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)
4位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ)
5位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +14”
6位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +25”
7位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス)
8位 マルク・ソレル(モビスター) +27”
9位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +29”
10位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 アティラ・ヴァルター(グルーパマFDJ) 22h17’06”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +11”
3位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +16”
4位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック) +24”
5位 ニコラス・エデ(コフィディス) +25”
6位 ルイ・ファルファエケ(アルペシン・フェニックス) +38”
7位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +39”
8位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +41”
9位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +47”
10位 サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ) +49”
ジロ・デ・イタリア第6ステージダイジェスト
H.Moulinette