ジロ・デ・イタリア2021第4ステージ:ベテランのドムブロウスキーが逃げ切り勝利!雨の山岳は大荒れで総合は全員大シャッフルでデ・マルキがマリアローザ獲得!(ダイジェスト動画あり)


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雨に濡れた山岳はいつでも波乱があるもの、そして今大会最初の激戦区となった。今大会差し世の頂上ゴール、そんな荒れたレースで輝いたのはベテランのジョー・ドムブロウスキー(UAEチームエミレーツ)。ロードでは主にアシストとしてその役割を担ってきた男が、大舞台で大仕事をやってのけた。そして総合争いもだいっシャッフルとなった。トップ10がすべて入れ替わり、新たにマリア・ローザを獲得したのはこちらもベテランのアレッサンドロ・デ・マルキ(イスラエル・スタートアップネーション)、今シーズン移籍した新チームに大きな勲章をもたらした。

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この日のステージは逃げ決まるまでに時間を要したが、最終的にデ・マルキとドムブロウスキーを含む25名の大逃げが発生する。通常山岳ではこの手の逃げは決まりにくいものだが、大会序盤ということもあり、メイン集団はこれを容認する。23チーム中17チームの選手がこの逃げに乗ったことで集団はそれぞれの思惑で動くこととなる。逃げには総合上位の選手も複数加わっておりその思惑はさらに複雑なものとなる。
レース中盤で逃げ集団とメイン集団との差はおよそ5分、マリア・ローザーを着用する総合リーダーのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)はジャージ死守ではなく、チームのエースイーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)のアシストに徹する。

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レース後半の山岳ポイントでは、クリス・ユーレ・ヤンセン(チームバイクエクスチェンジ)とレイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリアル)がアタック、それに対応できたのはデ・マルキ、ドムブロウスキー、そしてネルソン・オリヴェイラ(モビスター)だった。この段階で昨日チームが勝利を挙げた インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリアルはマリア・ローザ獲得の使命がタラマエに課されることとなる。
残り32㎞でデ・マルキはパンクに見舞われるが、チームの迅速な対応で事なきを得る。そして追走グループは14名で再構成される。後続のメイン集団はドゥクーニンク・クイックステップが積極的に追走を続けるが、結局タイムを縮めることができずに、この日の勝負は逃げ集団に委ねられることとなった。さらには悪天候でこのメイン集団も分裂するなどさらに荒れた展開となっていく。
残り10㎞を切りヤンセンとタラマエが先行する中、デ・マルキがドムブロウスキー、オリベイラらを引き連れ一気にその差を詰め、さらに一気に勝負に打って出る。しかし激坂16%の勾配でリズムよくダンシングをするドムブロウスキーに対し、デ・マルキは徐々に遅れていく。こうなればステージ優勝争いのみならずマリア・ローザの行方はドムブロウスキーとデ・マルキの結果に委ねられることとなった。

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ドムブロウスキーは先頭でゴールしステージ勝利を挙げたが、ステージ2位のデ・マルキを十分に引き離すことができずに総合2位どまり、何とかこらえ切ったデ・マルキがマリア・ローザに袖を通した。
「何とか差は広げられたけど、マリア・ローザ獲得には足りなかったね。でもステージ勝利をあげられただけでも十二分に満足だよ。今日は調子もよかったし、なるべく脚を温存して最後に備えていたんだよ。逃げの中ではデ・マルキが一番の実力者だから、ずっとマークしていたんだよ。」ドムブロウスキーはようやく念願のグランツール勝利を挙げた。

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「ずっとマリア・ローザのことを考えていたんだよ。大会前半にしかそのチャンスはないと思っていたからね。昨日までの展開でそのチャンスが無くなったとばかり思っていたけど、”ネバー・ギブアップ、さすれば努力は報われるだろう”が本当になるとはね!もうこのマリア・ローザを着れるかと思うだけで涙が止まらないよ。何度となく挑戦してきて、今日その11年間の挑戦が報われたよ。」デ・マルキな涙ながらに語った。
ジロ・デ・イタリア第4ステージ順位
1位 ジョー・ドムブロウスキー(UAEチームエミレーツ) 4h58’38”
2位 アレッサンドロ・デ・マルキ(イスラエル・スタートアップネーション) +13”
3位 フィリッポ・フィオレッリ(バルディアーニCSF ファイザネ) +27”
4位 ルイ・ファルファエケ(アルペシン・フェニックス) +29”
5位 ヤン・トラトニック(バーレーン・ビクトリアス)
6位 アティラ・ヴァルター(グルーパマFDJ) +44”
7位 ニコラス・エデ(コフィディス) +49”
8位 ネルソン・オリベイラ(モビスター) +57”
9位 レイン・タラマエ( インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリアル) +1’33”
10位 クリス・ユーレ・ヤンセン(チームバイクエクスチェンジ) +1’36”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 アレッサンドロ・デ・マルキ(イスラエル・スタートアップネーション) 13h50’44”
2位 ジョー・ドムブロウスキー(UAEチームエミレーツ) +22”
3位 ルイ・ファルファエケ(アルペシン・フェニックス) +42”
4位 ネルソン・オリベイラ(モビスター) +48”
5位 アティラ・ヴァルター(グルーパマFDJ) +1’00”
6位 ニコラス・エデ(コフィディス) +1’15”
7位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック) +1’24”
8位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’28”
9位 アルベルト・ベッティオール(EFエデュケーションNIPPO) +1’37”
10位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +1’38”
ジロ・デ・イタリア第4ステージダイジェスト
H.Moulinette