ストラーデ・ビアンケ2021:新旧オフロード選手が大躍動!前戦でハンドルバーが折れたファン・デル・ポエルが最後の激坂でロード世界チャンピオンのアラフィリップを振り切り勝利!(動画あり)
「白い道」と呼ばれるストラーデ・ビアンケ、未舗装路区間と激坂のレースは、元シクロクロッサー、現シクロクロッサー、そして元MTB選手たちが上位を占める大会となった。今シーズンクラシック開幕以降圧倒的な結果を残しているシクロクロス勢に加え、MTB出身の選手も加わり、一つの流れができている。このレースではトップ10のうち7人がオフロード出身という状況は、想像以上の結果となった。
この日も主人公は現シクロ世界チャンピオンのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)だった。それに加え今シーズン絶好調のトム・ピドコック(イネオス・グレナディアス)、元MTB出身の現世界ロードチャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、さらには昨年度の覇者で元シクロ世界王者のワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)、さらにはMTB出身のタディ・ポガチャル(UAE・チームエミレーツ)、イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)、ヤコブ・フグルサング(アスタナ・プレミアテック)らオフロード出身者たちが集団先頭をけん引する。
そして残り50㎞、アラフィリップのアタックで一気に展開は動き出す。ファン・デル・ポエル、ファン・アールト、ベルナル・ピドコック、ポガチャルに加え、ミカエル・ゴグル(キュベカ・アソス)が先頭集団を形成、ペースを上げ一気に上げていく。
その中から最後の未舗装路区間の勝負どころの激坂でファン・デル・ポエルが飛び出すと、それに対応できたのはアラフィリップだけだった。そしてさらにそこへベルナルが合流、強烈な3人のメンバーはそのまま後続たちを一気に引き離していく。
3人で街中の最終激坂バトルへと突入すると、仕掛けたのはまたしてもファン・デル・ポエルだった。切れ味鋭すぎるアタックはなんと瞬間最高出力1362ワットをたたき出すと15秒間1100ワットを15秒間、そしてゴールまで55おわっとを約1分半出力したのだ。市販のサイクルトレイナーの負荷を最大にするとおよそ400ワット相当と言われており、いかにこの数値が常人離れしているのかがわかる。
アラフィリップのお株を奪う驚異の切れ味のアタックに、アラフィリップもただただ脱帽するしかなかった。反応をしてベルナルを置き去りにしたものの、加速度の違いは明白、ファン・デル・ポエルが昨年度失速して優勝を逃した雪辱を果たした。ファン・デル・ポエル平均でも318ワットを5時間近く出力しており、まさに超人レベルのパワーと言える。しかしそれだけではなく駆け引きや勝負勘も鋭く、まさに世代最強の選手となりつつある。
「このレースはどうしても勝ちたかったレースの一つだったんだ。勝てて最高の気分だよ!最後の未舗装路のセクションでアタックをしたら、あらフィリップとベルナルしかついてこなかったんだけど、最強のメンツだったから一気にライバルをリードできたね。最後の上りではまだ脚力が残っていたんで思い切って仕掛けたんだ。独走でのこの勝ち方は最高に気分がいいね。」ファン・デル・ポエルは笑顔で語った。
対して敗れた現世界王者のアラフィリップは、「2位に満足しているよ。ファン・デル・ポエルのアのアタックはすごかった。あの走りには勝てなかったから、この結果には満足しているよ。」と半ば諦めにも似た表情を見せた。
ストラーデ・ビアンケ2021ダイジェスト
ストラーデ・ビアンケ順位
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス) 4h40’29”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +05”
3位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +20”
4位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) +51”
5位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +54”
6位 ミカエル・ゴグル(キュベカ・アソス)
7位 タディ・ポガチャル(UAE・チームエミレーツ)
8位 サイモン・クラーク(キュベカ・アソス) +2’25”
9位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ・プレミアテック)
10位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ビクトリアス) +2’39”
H.Moulinette