ブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージ:獲得標高4000mの末のスプリントでフィリップセンが勝利!残り1㎞でのオイルと濡れた路面で安全面考慮で残り3㎞がニュートラルに
ブエルタというのはいつでも話題を提供してくれるハードなレースだ。230㎞にも及ぶ向かい風、そして獲得標高4000mという過酷なレースの結末は、総合系にとっては勝負の場を失う結果となった。路面が濡れ、さらにオイルが浮き、危険を考慮して残り3㎞がニュートラル化されそこまでのタイム差が総合に反映されることとなり、大きなドラマは起きないまま総合勢はステージを終えた。
しかしステージ勝利は別の話、若手の台頭著しい今シーズンを象徴するかのように、ジャスパー・フィリップセン(UAEチームエミレーツ)が素晴らしいパワーでパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)を抑え嬉しい初のグランツール勝利を挙げた。
この日のステージは逃げに乗りたい面々が積極的な動きをスタート直後から見せ、向かい風にもかかわらず平均時速43㎞というハイペースで進んでいく。この日二つ目の上りが始まりようやく逃げが確定、すでにステージ2勝を挙げているティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)がどん欲に3勝目を狙いに来た。山岳賞ジャージを着用するギヨーム・マルタン(コフィディス)はこの日も元気にポイントを稼ぎ、その地位を盤石なものとしていく。
一時は5分差以上にまでその差は広がったは、トレック・セガフレドが残り80㎞でペースを上げていくと、その差はあっという間に3分だにまで落ち込んでいく。さらにカテゴリーのない上りが選手たちを容赦なく苦しめ、さらには雨と向かい風という悪条件も重なり選手たちの顔には疲労の色が濃くなっていく。
さらに追走にNTTプロサイクリング、ボーラ・ハンスグロエも合流し、残り40㎞では1分台にまで縮まる。その集団からマッテオ・カッタネオ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が飛び出しソロとなり、その背後でも駆け引きが繰り返されるが、結局9名の追走が再編される。カッタネオは追走の集団に1分、そしてメイン集団がそのさらに後ろ40秒に迫ってくる。メイン集団からはパラパラとアタックが始まり、ジーノ・マダー(NTTプロサイクリング)が追走集団を一気に飛び越え単独でカッタネオを追い始める。
しかしここからダウンヒル区間で一気にメイン集団はペースを上げ、逃げ続けるカッタネオと追走のマダーを追い詰めていく。結局残り3.5㎞で最後まで粘っていたマダーも捉えられてしまう。そしてそのままレースはゴールスプリント勝負へと持ち込まれる。ドゥクーニンク・クイックステップが得意の勝利のパターンに持ち込むが、そこを突き崩したのはフィリップセンだった。残り150mから力で勝負し、勝利して見せた。
「最高だよ!この喜びをどう表現したらいいかわからないよ!今日は狙って勝利できたからさらに嬉しいよ。逃げも強かったけど、メイン集団で向かい風の中で走るのはきつかったよ。そんな感じだったから集団スプリントになるとは思っていなかったよ。」若人が大きな勲章を手に入れた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージ順位
1位 ジャスパー・フィリップセン(UAEチームエミレーツ) 6h18’57”
2位 パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 ヤニク・シュタイムレ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 フレッド・ライト(バーレーン・マクラーレン)
5位 ディオン・スミス(ミッチェルトン・スコット)
6位 レイナート・レンズバーグ(NTTプロサイクリング)
7位 マグナス・コート・ニールセン(EFプロサイクリング)
8位 ドリアン・ゴドン(AG2Rモンディアル)
9位 スタン・デウルフ(ロット・ソウダル)
10位 ミカエル・モロコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)ス) 60h16’02”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディア +39”
3位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +47”
4位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +1’42”
5位 エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ) +3’23”
6位 ワウト・ポエルス(バーレーン・マクラーレン) +6’15”
7位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +7’14”
8位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +8’39”
9位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ) +8’48”
10位 ダビ・デ・ラ・クルス(UAEチームエミレーツ) +9’23”
H.Moulinette