ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ:ウェレンスが逃げメンバーでの勝負を制し今大会2勝目!名ばかりの平坦ステージでの上りスプリントはワインディングロードで位置取りで明暗
ブエルタのコース説明は信じてはならない・・・これは昔から言われることだが、この日もスプリンター向けの平坦ステージと言われていたが、中盤でのあ激しいアップ団に加え、ゴール前はくねくねと複雑に左右に曲がりながらの勾配のある上りが1㎞も続くステージだった。
そうなればもちろん有利になるのはスプリンターではなくクラシックハンター、ステージ中盤のアップダウンもあり分断された集団、そして先頭で激しく繰り返された先頭争いはまさにクラシックそのものだった。
そしてステージを制したのは連続するコーナーのむつかしさをしっかりと把握していたティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)、ベテランがその勝負勘をいかんなく発揮し、見事に今大会ステージ2勝目を挙げた。マイケル・ウッズ(EFプロサイクリング)もステージ2勝目を狙ったが最後のコーナーでインを取れずに勝利を逃した。
この日の逃げはかなり強烈なメンバーがそろった。すでにステージ勝利を挙げているメンバーが3名、マルク・ソレル(モビスター)、ウッズ、ウェレンスが加わった7名の逃げが決まる。さらにはゼネク・スティバー(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ディラン・ファン・バーレ(イネオス・グレナディアス)など強烈な顔ぶれの集団は、最初から逃げ切ることを予想させた。
そしてその予想通りこのメンバーは最大で6分弱までその差を広げると、後続のメイン集団で総合系のチームがなかなか動かないこともあり、安定した距離を保ち続ける。しかしトータル・ダイレクト・エナジーが追走を始めると、残り35㎞では3分弱にまでその差は縮まった。
そんな中先頭集団ではウェレン、ソレルとスティバーが、誰が勝利してもおかしくない3名の新たな逃げを形成する。その追走にはウッズら3人となるが、面子の良さから先頭の3人によるステージ優勝争いが濃厚かと思われた。しかし追走する3人の勢いは想像以上にする鋭く、ゴールまで残り3㎞を切り、ついに先頭の3名に追いついてしまう。
残り1㎞、上り坂にくねくねとしたコースは、位置取りが重要となる。道幅も細く、先頭に先に出た方が有利に思えるが、背後からの仕掛けのほうが決まりやすい側面もあり、誰もがお互いの顔色をうかがいながらの駆け引きとなる。そんな中ライバルたちの心理を読み切ったウェレンスはタイミングよく加速、コーナーのイン側を譲らず、左カーブ直後のゴールラインを制した。ウッズは届かず2位、スティバーが3位に入った。
「勝つのは簡単じゃないよ。まず逃げに乗るのにだいぶ苦労したし、あとメンバーが豪華すぎたからね。最後は先行しなければいけないことと、インコースを閉めておくことは頭に入っていたんだよ。」ウェレンスは老獪な策で勝負を決めた。
総合勢もこのコースでタイム差がつくような動きが起きそうに思えたが、リスクもありあまり積極的な動きとはならない。結局決定的な動き無くステージを終えた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ順位
1位 ティム・ウェレンス(ロット・ソウダル) 4h37’05”
2位 マイケル・ウッズ(EFプロサイクリング)
3位 ゼネク・スティバー(ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 ディラン・ファン・バーレ(イネオス・グレナディアス)
5位 マルク・ソレル(モビスター) +11”
6位 テイメン・アレンスマン(チームサンウェブ) +13”
7位 ピエール・ルック・ペリション(コフィディス) +3’11”
8位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +3’44”
9位 ゴンザロ・ロドリゲス(カハルーラル・セグロスRGA)
10位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)ス) 53h57’05”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディア +39”
3位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +47”
4位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +1’42”
5位 エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ) +3’23”
6位 ワウト・ポエルス(バーレーン・マクラーレン) +6’15”
7位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +7’14”
8位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +8’39”
9位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ) +8’48”
10位 ダビ・デ・ラ・クルス(UAEチームエミレーツ) +9’23”
H.Moulinette