ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージ:連日の総合バトルで、早くも総合上位候補が絞られる事態に、ステージ優勝はタイミング良く飛び出したソレル、ログリッチはゴールスプリントでステージ2位
ブエルタ・ア・エスパーニャは序盤からあまりにも総合勢にとっては厳しい展開となっている。第1ステージの山頂ゴールに加え、このステージでも総合バトルが勃発、総合系以外にステージ優勝はないのではと思うほどに、大会最初から佳境のような展開となっている。
そんな第2ステージを制したのはマルク・ソレル(モビスター)、アシストとして牽引をしながら、隙を見てアタック、ライバルたちがエースアタックの序章ではないかと勘繰る間にどんどんとその差を広げ、見事ステージ勝利を挙げた。
昨日のいきなりの総合バトル勃発、そしてこの第2ステージでもその予兆はスタート前から感じられた。ピリピリとした緊張感が空気に漂う中、スタートからレースは激しい展開となる。アタックが勃発し4人の逃げがまず発生するが、一つ山岳を超えるとその逃げがシャッフルされ、新たなメンバーを加えた5人の逃げが決まる。後続とのタイム差は4分ほどにまで開くが、メイン集団は総合リーダーのプリモズ・ログリッチ擁するユンボ・ヴィズマがコントロールする。
そんな中残り72㎞ではティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)が逃げ集団から飛び出し独走態勢となる。逃げ集団とは1分半、メイン朱運檀徒は6分以上にまでその差は広がった。しかしメイン集団がここから猛追を始める。モビスターが主導権を握ると、一気にペースが上がり、その差が見る見る間に縮まっていく。
そしてこのアタックは昨日同様に総合系の選手たちを餌食にしていく。ギヨーム・マルタン(コフィディス)が遅れ、チームメイトたちのアシストの元懸命に集団復帰を図る。これらの動きが全て集団全体のさらなるペースアップへと繋がり、あっという間にウェレンスとそれを追う逃げ集団はアドバンテージを失っていく。そしてウェレンスは独走は難しいと判断、逃げ集団へと戻っていく。
その背後のメイン集団では残り33㎞でリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)がチームメイトのアンドレイ・アマドール(イネオス・グレナディアス)と共にアタックを仕掛ける。しかしそのアタックも実らず、集団はどんどんと逃げ集団を追い詰めてゆき、あっという間に吸収してしまう。
モビスターのペースアップは、ログリッチの片腕、トム・デュムラン(ユンボ・ヴィズマ)を削り、メイン集団の人数は30名ほどにまで減ってしまう。そしてこの日最後の山頂から5.7㎞、ルイス・レオン・サンチェス(アスタナ)がアタックを決める。しかし頂上まで残り2.5㎞、そのサンチェスも捕まると、メイン集団の人数は15名にまで減っていた。
ソレルはアシストとして猛烈な牽引を見せ、ライバルチームは苦しい状況に追い込まれて行き、気が付けばメイン集団はわずか9名にまでその数を減らしていた。そこにはフェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ)とアンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)を除く総合勢が残っており、、今年の大会のこの面々で総合上位争いとなりそうな雰囲気が漂い始める。モビスター3名にユンボ・ヴィズマ2名と数的優位はモビスター、そしてそのモビスターのソレルは先ほどまで恐ろしくハイペースな牽引を行っていたが、ここへきて下りでアタックを仕掛け飛び出していく。らユンボ・ヴィズマはジョージ・ベネットが合流するが、ソレルのアタックがエースアタックへのきっかけではないのかと動かない。
しかしこのアタックこそが本物、ソレルはどんどんと後続とのタイム差をつけていく。ソレルはそのまま後続に追いつかれることなく勝利、見事自身初のグランツールステージ優勝を挙げた。
「とても嬉しいよ。まずはここは僕らのホームだからね。実はこのステージは最初から狙っていたんだ。だから綿密に戦略を立てていたよ。この勝利は僕にとってグランツール初勝利、本当にうれしいよ。今シーズンはなかなか結果が伴わずに大変だったけど、ようやく結果が出せて安心したよ。コースはよく知っていたので、だからペースをどんどんと上げていったんだよ。万が一僕がメイン集団に飲み込まれても、最後はバルベルデが控えているし勝てるとは思っていたよ。」ソレルは素直に勝負を喜んだ。
総合勢はソレルの背後でスプリントを開始、昨日の覇者で総合リーダーのプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)がスプリントを制し2位、ボーナスタイムを獲得してライバルたちとのタイム差を広げた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージ順位
1位 マルク・ソレル(モビスター) 3h47’04”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +19”
3位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)
4位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
6位 エンリック・マス(モビスター)
7位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)
8位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング)
9位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)
10位 ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 8h09’41”
2位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +09”
3位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +11”
4位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット) +17”
5位 エンリック・マス(モビスター)
6位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +20”
7位 セップ・クス(UAEチームエミレーツ) +26”
8位 ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ) +56”
9位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +59”
10位 マルク・ソレル(モビスター) +1’04”
H.Moulinette