ブエルタ・ア・エスパーニャ第1ステージ:いきなりの1級山岳バトルで総合勢に早くも明暗!ログリッチが完勝でマイヨ・ロホ獲得!フルームは初日で11分遅れで早くも総合圏外へ
コロナの影響でジロ・デ・イタリアと被って開催となった最後の3大グランツールのブエルタ・ア・エスパーニャ、3ステージ短縮となり全18ステージのバトルは、初日から1級山岳の頂上ゴールという前代未聞のコース設定となり、いきなり総合系の明暗が分かれることとなった。11ステージ用意されている山岳ステージ、その中の最初のステージで総合バトルは一気に動くこととなった。
そんなステージで強さを見せたのは、今年のツール・ド・フランスでまさかの大逆転を許し総合優勝を逃したプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)、大会連覇を狙う男が初日から本気モードで爆走、ステージ優勝と総合リーダーの証マイヨ・ロホを早くも獲得、記者団からは「最終日までそのジャージを守り抜くのか」との質問が早くも飛ぶほどだった。
前回この地域とコースが設定されたのが2012年、その時はホアキン・ロドリゲス、アルベルト・コンタドールという二人のレジェンドに続き、現役のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)とクリス・フルーム(イネオス・グレナディアス)がガチンコ勝負(バルベルデが勝利)をしたことからも、いかに困難なステージが初日に組まれたかがわかるだろう。
レースは序盤から動き、パラパラと逃げが発生する。結局5名が飛び出し、後続に4分ほどのタイム差をつける。しかし中盤には早くもその差を詰められると、結局この日の逃げはメイン集団に飲み込まれ、初日に勝利し総合リーダージャージを獲得するという奥の選手の夢は儚く潰えてしまう。
ゴールが近づいていくと、途中総合上位候補のマイケル・ウッズ(EFプロサイクリング)が落車、いら立ちを見せながらも何とか集団に復帰する。半身をすりむき痛々しい姿ながら、なんとか初日をこなした。
そして頂上ゴールまでの上りに差し掛かると、なんとここで驚いたことにフルームとティボー・ピノ―(グルーパマFDJ)が脱落してしまう。やはり調整が難しかったのか、総合優勝候補にも名前が挙がっており、ログリッチの最大ライバルになるかと思われた二人の初日での脱落は、今大会の混沌を感じさせることとなる。
先頭集団はどんどんと小さくなっていき、気が付けば総合系とそのアシストしかいない状況となる。ここでもセップ・クス(ジャンボ・ヴィズマ)の攻撃によりアレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ)、ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)など有力勢らも脱落していく。気が付けば先頭集団はログリッチとアシストのクスとジョージ・ベネット、さらにはリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)、エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)、ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング)、エンリック・マス(モビスター)、ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)、フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ)の8名にまで絞られてしまう。
追走はアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、トム・デュムラン(ジャンボ・ヴィズマ)などが名を連ねるが、双方ともにエースが先頭集団にいるだけにペースは上がらない。
先頭集団は容赦なくペースを上げ、そしてゴールが近づくとログリッチが一気に仕掛ける。パンチある加速でライバルたちを引き離すと、追いすがるライバルを背にガッツポーズを決めた。バルベルデグループは51秒差、ヴラソフは4分半、ピノーは10分弱、フルームは11分オーバーと初日で早くも総合のふるい落としが行われた。
「勝利はいいだろ。最高にハッピーさ。今日はチームが完璧な仕事をしてくれたよ。その上で勝利できたんだから文句なしだね。後は毎日楽しむだけさ。今日は最後がきつかったけど、うちのネジ飛んでるクスがすごい山岳アシストをしてくれたからね。変なシーズンだよ。レースも多いけどスケジュールの関係でイライラするしね。僕はただレースを純粋に楽しみたいだけなんだよね。見る人にとってもそれが楽しいレースであってほしいと願っているよ。」ログリッチはエンターテイナーとして、勝利を演出した。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第1ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第1ステージ
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 4h22’34”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +01”
3位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)
4位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)
5位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ)
6位 エンリック・マス(モビスター)
7位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +04”
8位 セップ・クス(UAEチームエミレーツ) +10”
9位 ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ) +40”
10位 アンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +51”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 4h22’24”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +05”
3位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +07”
4位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット) +11”
5位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +11”
6位 エンリック・マス(モビスター) +11”
7位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +14”
8位 セップ・クス(UAEチームエミレーツ) +20”
9位 ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ) +50”
10位 アンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’01”
H.Moulinette