ジロ・デ・イタリア第14ステージ個人TT:制したのはまたも世界チャンピオンのガンナ!これで今大会3勝目!総合リーダーのアルメイダがステージ6位の快走でライバルとのタイム差広げる!
「こんな距離の個人TTを走ったことがない。」総合リーダーのジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は先日語っていたが、総合リーダーの証マリア・ローザは、そんな若人に大きな力を与えた。グランツールの総合リーダージャージが選手の力を引き出すことを「マジック」と呼ぶが、今年のジロ・デ・イタリアでもそのマリア・ローザマジックが発動されているようだ。
個人TTと言えばオープニングステージで世界チャンピオンジャージのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)がセンセーショナルな勝利を挙げたが、このステージでもガンナの別格の走りは健在、文句なしの圧勝でステージ優勝を挙げた。これで今大会3勝目、総合リーダーを失ったチームにとっては、大成功ともいえるグランツールになりつつある。
それに対してマリア・ローザ―を着用するアルメイダ要するドゥクーニンク・クイックステップは、ステージ優勝を狙いに来て1勝もできていないが、代わりに総合リーダーというまさにイネオスとは真逆の状況だ。チーム方針が総合に切り替わったわけでもないのに、総合トップ10に現在2選手を送り込んでいるあたりが、曲者チームらしいといえばらしいところだ。
スタート順が早かったガンナがトップタイムを叩き出し、後続の選手たちがそれを目指す展開となる。総合上位勢の順まだ来ても、誰も上回ることができない。暫定トップが座るホットシートで笑顔のガンナは、胸を指さし余裕でチーム名をカメラにアピールする。
そして総合勢がスタートしていくが、まず素晴らしい走りを見せたのがブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツ)、ガンナ、ローハン・デニス(イネオス・グレナディアス)に続く3位のタイムを叩き出し、一気に総合4位までジャンプアップを果たす。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(トレック・セガフレド)もいい走りを見せるが、思ったようにタイムは伸びてこない。逆に総合4位から大きく順位を落とすのではと思われたドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング)は、苦手なTTで快心と呼んでもいい走りを見せる。総合順位こそ落としたものの、変わらず表彰台が狙える位置に踏みとどまって見せた。
総合3位のペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン)、総合2位のウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)も安定の走りを見せたが、最後にスタートしたアルメイダの走りがそれを上回った。ステージ6位の走りで総合首位を守っただけではなく、総合トップ10ではマクナルティー以外全員とのタイム差を広げることに成功した。22歳のネオプロの挑戦はまだまだ終わらない。
「すべての勝利は重要だよ。我々はいいチームだし強いんだ。こうして勝利できるのがその証拠だろ。今日はスタートではまあまあって感じだったんだけど、後半に行くにつ入れどんどんと脚が回るようになったんだよ。」ガンナは大会3勝目を楽しんだ。
「今日は思った以上にタイムを稼げたね。ケルデルマンには負けると思っていたんだけど、先着できたのは予想外だったよ。この結果は大きいよ。今日は予定通りに走ったよ。上りではタイムが稼げるから、そこでは目一杯踏み続けたよ。あとは下りでは攻めずに脚を休めて、あとはコース終盤で一気にペースを上げたんだよ。こんな長いTT走ったことなかったからね。それどころかステージレースもベビージロの10日間が最長だよ。これは僕にとって初めてのグランツール、すべては勉強だよ。」アルメイダは経験不足を上回る走りで、大会を盛り上げている。
総合表彰台争いは特に熾烈となってきており、総合3位から11位までが1分半差ほどにひしめき合っている。
ジロ・デ・イタリア第14ステージダイジェスト
ジロ・デイタリア第14ステージ順位
1位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス) 42’40”
2位 ローハン・デニス(イネオス・グレナディアス +26”
3位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツ) +1’09”
4位 トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル) +1’11”
5位 ジョセフ・チェルニー(CCCチーム) +1’16”
6位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’31”
7位 タネル・カンゲルト(EFプロサイクリング) +1’33”
8位 ヨナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアス) +1’44”
9位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +1’47”
10位 ヤン・トラトニック(バーレーン・マクラーレン) +2’00”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 54h28’09”
2位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +56”
3位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン) +2’11”
4位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツ) +2’23”
5位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +2’30”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +2’33”
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング)
8位 ファウスト・マスナダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +3’11”
9位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +3’17”
10位 ジェイ・ヒンドリー(チームサンウェブ) +3’33”
H.Moulinette