ジロ・デ・イタリア第9ステージ:山岳頂上ゴールを制したのはゲレーロ!しかし逃げた選手たちからは共闘しなかったとブーイング!総合争いは僅差のシャッフルでケルデルマンが2位浮上!

勝利のために手段を選ぶのか、勝利のために手段を択ばないのか、どちらも実は同じことなのだが、紳士のスポーツといわれるロードレースでは、協調体制を取ることが一つのマナーとなっている。そして最後の勝負所でフェアな戦いをしてこそ、仲間内からは評価されるのだ。

©Giro d’Italia
しかしこの日のルーベン・ゲレーロ(EFプロサイクリング)は、処理することにのみストイックにこだわり、逃げの中での協調体制を取らずに、ひたすら体力温存に努めたのだ。それでも勝利は勝利、結果として名前が残るのは勝者なのだ。

©Giro d’Italia
この日は天候が悪く、逃げが決まるまでに少しの時間を要した。そして最初の山岳でようやく7人の逃げが決まる。ゲレーロ以外にも、ヨナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアス)やジョバンニ・ヴィスコンティ(ヴィーニ・ザブ・ブラドKTM)、ラリー・ウォーバス(AG2R)と言ったところが顔を揃え、さらにミケル・ビョルグ(UAEチームエミレーツ)が単独で数分のタイム差を詰めて合流し、最終的に逃げは8人となる。
総合で6分49秒遅れのカストロビエホはいるものの、集団は逃げを容認し、その差は7分以上にまで広がり、一時はカストロビエホがバーチャルの総合首位となる。しかし頂上ゴール手前の山岳で総合勢がようやく動きを見せトレック・セガフレドが主導権を握ると、その差は一気に縮まり、残り22㎞で3分半にまで縮まる。だがここで総合リーダーを抱えるドゥクーニンク・クイックステップが主導権を握ると、その差は縮まらなくなる。これで逃げ切りの現実味が増してきた先頭集団は、勝利へ向けペースを維持し続ける。

©Giro d’Italia
残り6.3㎞、ゴールまでの上りで先頭に残るは5名のみだが、そこからカストロビエホが仕掛け飛び出していく。これに反応できたのはゲレーロのみだった。そして残り1㎞を切り再びカストロビエホがアタックを仕掛けゲレーロを振り切ろうとするが、ゲレーロはひたすら仕掛けない。しかし残り200mようやくゲレーロが満を持したように動く。カストロビエホが諦め勝負あり、勝利に徹した男がステージ優勝を挙げた。

©Giro d’Italia
そして後続のメイン集団では総合バトルが勃発する。残り1㎞でウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)、ヤコブ・フグルサング(アスタナ)がアタック、すると総合上位勢は完全に散り散りバラバラになってしまう。これにより総合勢は僅差ながらシャッフルとなったが、ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)はここでも踏ん張りを見せ総合首位、マリア・ローザをキープして見せた。ケルデルマンは総合2位へとジャンプアップとなった。正直ドングリの背比べともいえるほどに誰も抜きんでた存在がいない総合争い、でもだからこそ思いもよらぬ選手にも総合優勝のチャンスがあるだけに、見ごたえはありそうだ。

©Giro d’Italia
「チームも何度も勝利を逃してきたけど、ようやく勝てたよ。この勝利は価値ある一勝だよ。今日この山頂で勝てたことは大きいよ。」そうゲレーロは語ったが、同じく逃げに乗っていたウォーバスは「あいつは本当に何もせず、ただ金魚のフンだった。」と痛烈に批判した。ゲレーロの戦略は褒められたものではないかもしれないが、しかし勝者の前ではウォーバスの言葉は負け犬の遠吠えになってしまった。
ジロ・デ・イタリア第9ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第9ステージ順位
1位 ルーベン・ゲレイロ(EFプロサイクリング) 5h41’20”
2位 ヨナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアス) +08”
3位 ミケル・ビョルグ(UAEチームエミレーツ) +58”
4位 キリアン・フランキニー(グルーパマFDJ) +1’16”
5位 ローレンス・ウォーバス(AG2Rモンディアル)
6位 タオ・ゲオグヘーゲン(イネオス・グレナディアス) +1’19”
7位 ルーカス・ハミルトン(ミッチェルトン・スコット) +1’32”
8位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +1’38”
9位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ)
10位 ジェイ・ヒンドリー(チームサンウェブ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 35h35’50”
2位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +30”
3位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン) +39”
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング) +53”
5位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +57”
6位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +1’01”
7位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル) +1’02”
8位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +1’11”
9位 ジェイ・ヒンドリー(チームサンウェブ) +1’15”
10位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +1’17”
H.Moulinette