ジロ・デ・イタリア第6ステージ:ゴール前の2つの連続コーナーでの位置取りで勝負あり、デマールが快心のスプリントで今大会2勝目!アルメイダは停車中に追突されるハプニングも無傷
スプリントステージのゴール勝負で重要なのは位置取りだ。どんなにスプリント力のある選手だろうと、位置取りを間違えれば勝利の女神はそっぽを向く。そしてその位置取りこそが優れたゴールハンターかどうかを判断する基準の一つでもある。
この日のアルノー・デマール(グルーパマFDJ)の位置取りは、難しいコースを考えたときにベストだったと言えるだろう。ゴール手前に連なる二つの直角コーナーを抜けると、残りは数百メートルの直線のみ、先に仕掛けたデマールはライバルたちを全く寄せ付けず、完璧なステージ2勝目を飾った。
188㎞の第6ステージは、スタート直後に逃げが容認された。ジェームス・ウィーラン(EFプロサイクリング)ら4人が飛び出すと、総合に影響もないメンバーだったこともあり集団はあっさりと容認、ぐんぐんとその差を広げ、最大で9分差にまで広がる。集団はこの日もマリア・ローザのジョアオ・アルメイダ擁するドゥクーニンク・クイックステップが主導権を握る。さらにはこのステージで勝利が欲しいポイント賞リーダーのピーター・サガン擁するボーラ・ハンスグロエも積極的に集団コントロールに参加する。さらにチームサンウェブもマイケル・マシューズでステージ勝利を狙っており、集団ンのペースアップに参加、残り80㎞でタイム差を6分台に戻し、逃げを射程圏内にとどめる。
ここから追走の大集団のペースはさらに上がる。スプリント勝負のために動くチームが多く、残り40㎞を切りその差は2分にまで縮まる。しかしここで追走集団ではプイニングが起きる。総合リーダーのアルメイダが無線の不調のため落車を避けそれを交換すべく道路わきにチームメイトたちと停車したところ、前を見ていなかったブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツ)がアルメイダに突っ込み、二人はそのまま落車してしまう。「結局落車してしまったよ」アルメイダはゴール後に笑いながらそう話したが、不幸中の幸いというべきか、アルメイダに大きなけがはなく戦列に復帰した。
先頭の逃げ集団ではウィーランが飛び出し最後まで粘ったが、残り14㎞で大集団に飲み込まれていった。そして集団はボーラ・ハンスグロエからチームサンウェブ、さらにはグルーパマFDJと激しく主導権が変わるが、ゴール前が上り勾配が続くだけに、パンチャーのアタックを警戒した各チームはハイペースを維持し続ける。
その影響もあってか勾配がきつくなる残り2㎞を切ってもだれも動かず、再び緩斜面となったコースでは激しい位置取り合戦が始まる。しかしこの日のゴール前はコーナーが連続し、位置取りはかなり難しい。残り600mで総合10位のラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)がサガンのために牽引を始めるが、その時点では後方に陣取っていたデマールがここから一気に動く。
アスタナが突如として先頭に集結し、ファビオ・フェリーネ(アスタナ)で勝負に出る。この動きによりサガンは進路を塞がれてしまい、前に動くことができない。逆に進路が開けたデマールはそのまま加速、そしてゴール前で連続する二つのコーナーで一気に集団先頭付近に躍り出ると、勾配2.6%の上りをもろともせずコーナーからの立ち上がりでそのまま先攻アタックを決める。
ライバルたちも一テンポ遅れてそのスプリントに反応したが、緩やかであろうと上り勾配での追走には一瞬の反応の遅れは致命的だった。前回の勝ったことに驚いた勝利とは違い、今回デマールは圧勝でステージを制した。マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)がそれに続き2位、そしてフェリーネが3位に入った。
「素晴らしい!本当にきついゴール前だったよ。いったんは番手を下げたんだけど、そこで冷静でいられたからね。落ち着いてアスタナをマークして、彼らの背後に隠れたんだよ。あとは視界が開けたから直線で一気に仕掛けただけさ。信じられないよ、完璧な勝利だったよ。ボーラが主導権を握ったときは、もうだめかと思ったけどね。一度あることは二度目が必ずある、勝利とはそういうものさ。」デマールはいつになく上機嫌で勝負を振り返った。これでデマールはポイント賞争いでも、ステージ8位に終わったサガンを逆転、紫のポイント賞ジャージを手に入れた。
ジロ・デ・イタリア第6ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第6ステージ順位
1位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ) 4h54’38”
2位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)
3位 ファビオ・フェリーネ(アスタナ)
4位 ホァンセバスチャン・モラーノ(UAEチームエミレーツ)
5位 ダビデ・チモライ(イスラエル・スタートアップネーション)
6位 アンドレア・ヴェンドラメ(AG2R)
7位 ミケル・フロリッヒ・ホノレ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
8位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 エンリコ・バッタリン(バーレーン・マクラーレン)
10位 ヨナタン・マニュエル・ナバエズ(イネオス・グレナディアス)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 22h01’01”
2位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン) +43”
3位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +48”
4位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル) +59”
5位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +1’01”
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング) +1’05”
7位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +1’19”
8位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’21”
9位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +1’26”
10位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +1’32”
H.Moulinette