ジロ・デ・イタリア第5ステージ:エース失ったイネオスを救う!ガンナが逃げから独走で今大会5ステージで2勝目!圧倒すぎる独走力!おまけで山岳賞も奪取!アルメイダ総合首位堅守
グランツールにおいて、総合系のチームはエースでの総合優勝を狙い、その合間のステージでアシストをする選手たちに時折ステージを狙う許可が出る。しかしエースを失ってしまうと、結果としてステージ狙いに切り替えることができるが、一度統率力を失ったチームが勝利を挙げるのは難しいものだ。
しかしそんな状況をものともせず、オープニングステージの個人TTでTT世界チャンピオンとして勝利し初日の総合リーダージャージに袖を通したフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)がこのステージでも爆走、逃げからの独走勝利という圧倒的な走りでステージ2勝目を挙げた。これで5ステージで早くも2勝、総合は狙えずとも、チームにとってはまさに救世主となった。
個人TTが速い選手は、どちらかといえば山岳は登れずに、平地に強い印象がある。ただ個人TT世界チャンピオンになったばかりで、さらにマリア・ローザを公言通り奪取した男にはそれを上回る勢いがあった。225㎞の距離に獲得標高3700mというステージは、逃げを得意とする選手たち向けのステージだ。身長2m近い大男のガンナはこの日スタートから50㎞ほどで決まった逃げに乗る。さしよは4名、さらに4名が合流し、総勢8名となった逃げはどんどんと後続との差を広げていく。
集団はジョアオ・アルメイダのマリア・ローザを守るドゥクーニンク・クイックステップが支配、先頭との差を5分ほどで推移させる。さらには総合2位のヨナタン・カイセド擁するEFプロサイクリング、そしてユンボ・ヴィズマがそれに加わる形となる。総合勢はチーム力の差も影響するため、追走集団内での駆け引きは常に緊張感がある。残り60㎞になると、今度はヤコブ・フグルサング擁するアスタナ、そしてウィルコ・ケルデルマン擁するチームサンウェブが主導権を握る。
先頭の逃げとのタイム差はその後もどんどんと近づいていき、残り30㎞で逃げ職人のトーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル)が動きを見せる。レース序盤でも逃げを試みたが容認されなかった男は、ここへきて積極的な動きを再び見せると、エイナー・ルビオ(モビスター)を引き連れ、まんまと追走集団から飛び出すことに成功する。
逃げは人数を減らしながらもこの日最大の山岳へと突入、デ・ヘントらがその差を一気に詰め、集団は一つとなる。残り19㎞で5名と再編成された先頭集団では、ここから激しい駆け引きが繰り返される。しかし頂上まで5㎞を残しガンナが飛び出していくと、もうそこからはガンナの一人舞台だった。濃い霧の中をガンナは激走、そして頂上をトップ通過したガンナはこれで山岳賞ジャージも獲得し、そのままゴールへと濡れた路面でのダウンヒルで攻める。
そのころ後続ではトレック・セガフレドがエースのヴィンチェンツォ・ニーバリのためにペースアップ、これで総合2位のカイセドが犠牲となる。そしてニーバリらも下りへと突入すると、今度はドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング)が動く。しかしどれも決定だとはならない。
ガンナはそのままペースが落ちることなく独走を続け、最後はゆっくりとガッツポーズをしながらゴールした。その背後ではボーナスタイムをめぐる戦いが勃発する。総合勢が1秒でも獲得したいそれを狙い、直接のスプリント対決となる。結果パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ)が2位に入り、アルメイダは3位、きっちりとボーナスタイムを獲得し、総合首位をがっちりとキープした。
「G.トーマスが抜けた穴埋めをしたかったんだよ。チームの士気は下がっていたしね。ほんらいはサルバトーレ・プッチオのアシストをし、僕自身が逃げに乗るべきではなかったんだけどね。でも展開的にそうなってしまったんだ。実はG.トーマスが昨晩逃げに乗ったら狙え、と言ってくれてたんで、状況が許したのでその通りにしてみたよ。僕は身長も体重もあるから、上りはきつかったよ。あと無線が壊れてたんで、チームの指示が得られなかったんで、自分自身を信じて奮い立たせるしかなかったよ。」ガンナは上機嫌で状況を説明した。
「カイセドが脱落していたのは知っていたし、このマリア・ローザを守ることがモチベーションになっているんだよ。」ガンナと元チームメイトだったアルメイダはガンナと健闘を称えあいながらそう語った。
ジロ・デ・イタリア第5ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第5ステージ順位
1位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス) 5h59’17”
2位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +34”
3位 ホァオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)
5位 ルーカス・ハミルトン(ミッチェルトン・スコット)
6位 ジェイ・ヒンドリー(チームサンウェブ)
7位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル)
8位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン)
9位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ)
10位 ファウスト・マスナダ(CCCチーム)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 17h06’23”
2位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン) +43”
3位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +48”
4位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル) +59”
5位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +1’01”
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング) +1’05”
7位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +1’19”
8位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’21”
9位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +1’26”
10位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +1’32”
H.Moulinette