ジロ・デ・イタリア第4ステージ:写真判定で本人もびっくりのデマール勝利!サガンは勝利に届かず2位、総合はアルメイダがキープ、そしてゲラント・トーマスは骨盤骨折発覚でリタイア
スプリント勝負というのはいつ何時でも迫力がある。わずか1ミリでも早くゴールラインを通過すれば勝利、そのためにスプリンターたちは限界までペダルを踏み続け、そしてゴールライン手前でバイクを前に投げ出すのだ。そのタイミングが完璧にはまるとき、勝利の女神は微笑むのだ。
スプリント勝負となった第4ステージだが、まずは昨日落車をしたゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)の骨盤骨折が判明、今日のステージ前に正式にリタイアとなった。そもそも骨盤にひびが入った状態でエトナ山を登り切ったこと自体が驚きだが、イネオス・グレナディアスにとっては、ツール・ド・フランスに引き続き、ここでも総合を狙えない状況となってしまった。しかしそんなことはお構いなく勝負は進む。そしてステージを制したのはアルノー・デマール(グルーパマFDJ)、本人もびっくりの勝利を僅差で飾った。
この日はスタート同時に3名の逃げが発生、タイム差を4分ほどまで広げる。このステージでは数多くの落車が発生、多くの選手が地面に転がる羽目となった。それでもこの日はスプリントを目指すチームが積極的な動きを見せる。ボーラ・ハンスグロエはピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)で勝利すべく主導権を握り、集団の追走のペースを上げていく。コース中盤にある山岳でのこのペースアップに徐々にスプリンターたちが遅れ始めてしまう。
中間スプリントでは昨日ステージ勝利をしながらも、1秒差以下のタイム差で総合リーダージャージを獲得できなかったヨナタン・カイセド(EFプロサイクリング)がボーナスタイム獲得での逆転を狙った。しかし分厚いドゥクーニンク・クイックステップのチームワークの前に、逆にジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)にポイントを奪われ、タイム差が広がる結果となった。
そしてさらにレースが進むと今度はグルーパマFDJが主導権を握りペースを上げる。エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス)は何とか集団復帰を果たすが、フェルナンド・ガヴィリア(UAEチームエミレーツ)とアルバロ・ホデグ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は追いつくことができない。遅れたスプリンターたちが再び合流することを阻止すべくグルーパマFDJはペースを維持し、デマールでの勝負を目論む。残り3㎞ではイスラエル・スタートアップネーションが主導権を奪うが、グルーパマFDJはそれをあっさりと奪い返す。
サガンはチームメイトのおぜん立ての元2019年7月以来の勝利を狙うが、今シーズン8月以降だけで10勝を挙げているデマールに対して、勝負運ではかなわなかった。残り200mで先攻したサガンだったが、ゴールラインで共にバイクを投げ出したデマールとほぼ同着となる。そして写真判定の結果、僅か数センチの差でデマールに軍配が上がった。サガンはこれで105度目の2位、113勝を挙げているが、2位の多さも群を抜いている。
「正直2位か3位かと思っていたんだよ。でも勝ったと聞かされて驚いたよ!運は僕に味方したね。この勝利は特別だよ。最後のバイクの投げだし方で勝敗が分かれたね。」デマールはジロ2勝目を喜んだ。
アルメイダはこの日もきっちりとマリア・ローザをキープ、曲者集団の若人の快進撃はまだ継続中だ。
ジロ・デ・イタリア第4ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第4ステージ順位
1位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ) 3h22’13”
2位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 ダビデ・バレリー二(ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 アンドレア・ヴェンドラメ(AG2R)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス)
6位 ステファノ・オルダーニ(ロット・ソウダル)
7位 ダビデ・チモライ(イスラエル・スタートアップネーション)
8位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)
9位 フィリッポ・フィオレッリ(バルディア―二CSFファイザネ)
10位 エンリコ・バッタリン(バーレーン・マクラーレン
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 7h44’25”
2位 ヨナタン・カイセド(EGプロサイクリング) +02”
3位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン) +39”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +44”
5位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル) +55”
6位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +57”
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング) +1’01”
8位 ブランドン・マックナルティ(UAEチームエミレーツ) +1’13”
9位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +1’15”
10位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’17”
H.Moulinette