ジロ・デ・イタリア第3ステージ:伏兵カイセドが見事な逃げ切りでエトナ山を制す!しかし1秒以下のタイム差でマリア・ローザはアルメイダへ!総合明暗くっきり、S.イェーツ脱落G. トーマス完全脱落

ジロ・デ・イタリアはいつでもドラマチックな展開を用意している。圧倒的な総合優勝候補がいない今大会、それでも最有力候補はゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)だと思われていた。しかしスタート前のニュートラルゾーンでまさかの落車、それが大きく影響をしこの日だけで12分以上のタイムを失い、総合優勝争いから早くも姿を消す結果となった。

©Giro d’Italia
そんなステージを制したのは伏兵のヨナタン・カイセド(EFプロサイクリング)、エクアドルチャンピオンがこれ以上ない最高の結果を残した。そのまま総合リーダージャージのマリア・ローザも奪取するかに思われたが、ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が初日のTTでの1秒以下のタイム差のおかげで同タイム扱いながらもマリア・ローザ獲得となった。
いきなりのハードな山岳ステージは、総合勢にとっては最初の試練の場となった。まずステージスタート前のニュートラルゾーンでハプニングが起きる。ペロトン内で捨てられたボトルが起因となり優勝候補のG.トーマスが落車、それにより一時走行が中断されることとなる。ジャージを破くほどではあったが、大きなケガはなくそのままスタートが切られる。しかしトーマスはその後チームカーに戻るなど、何かしらの異変があったことを感じさせる。

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この日の逃げは、カイセドに加え、ジョバンニ・ヴィスコンティ(ヴィーニ・ザブKTM)、初日3位に入ったミケル・ビョルグ(UAEチームエミレーツ)、ヴィクトル・カンペナールツ(NTTプロサイクリング)ら8人で構成される。
この日はミッチェルトン・スコットが集団をコントロール、エースのサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)は過去にエトナ山ステージで結果を残しており、総合勢の直接バトルに向け先手を打つ。そしてさらにヴィンチェンツォ・ニーバリ(トレック・セガフレド)をアシストすべくトレックセガフレドがペースを上げると、なんとG.トーマスがどんどんと遅れて行ってしまう。何とかマリア・ローザのフィリポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)らが牽引を試みるが、G.トーマスのペースは全く上がらない。

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一時は最大で5分以上にまで広がったタイム差も、残り16㎞では2分半にまで縮まる。しかしここで先頭ではカイセドとヴィスコンティが逃げ集団から飛び出し、ぐんぐんとその差を広げていく。そして追走集団ではボーラ・ハンスグロエが主導権を握りペースを上げると、、なんとS.イェーツが今度は遅れてしまう。
先頭の二人が逃げ続ける中、メイン集団では総合系の選手が一気に動き出す。G.トーマスとS.イェーツという強豪二人が脱落したことでヤコブ・フグルサング(アスタナ)が動く。追走のメイン集団は、ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)、スティーブン・クライズワイク(ユンボ・ヴィズマ)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング)、ニーバリ、そしてフグルサングらに絞られる。時を同じくして先頭ではカイセドが単独トップに躍り出て、そのまま独走態勢へと持ち込んでいく。

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残り3.5㎞、今度はウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)が追走集団から飛び出し、ニーバリの追走を振り切り単独追走へと持ち込む。先頭ではカイセドが苦しみながらも最後まで逃げ続け、大金星といえるエトナ山山頂ゴールでの勝利を飾った。惜しくもマリア・ローザこそ逃したが、見事な逃げ切り勝利だった。ヴィスコンティは何とか2位、ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル)が3位でゴール、単独追走のケルデルマンは4位で一気に総合でのジャンプアップを果たした。

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「去年の僕には、こんなことを成し得ることができるなんて夢にも思っていなかったよ。でも今年はずっと好調だったんだ。ヴィスコンティは経験豊富だから、彼の動きを見ながらなるべく体力の温存に努めたよ。」遅咲き26歳でワールドツアーデビューを果たしたカイセドは冷静だった。
そして大方の予想を裏切る大活躍を見せているのがアルメイダだ。他の若手選手の活躍が際立っているドゥクーニンク・クイックステップにおいて、初日の個人TTでステージ2位に入ると、このエトナ山の山岳ステージでも総合系に続いてステージ11位でゴールを果たし、誰も予想すらできなかったマリア・ローザ獲得を果たした。いつも驚きの活躍と結果を残してくれるドゥクーニンク・クイックステップは、この大会でも早くも嵐を呼び起こしている。

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「今日はただひたすら耐え抜こうと思ったんだよ。。脚がよく回っていたからね。正直総合リーダーに躍り出ることは夢にも思っていなかったよ。でも残り3㎞の時点でその可能性が現実になるだろうと感じたんだ。正直これからが大変だけど、チームとしてこのジャージを守ることができるか挑んでいくよ。」ドゥクーニンク・クイックステップの新たなる若手のホープは笑顔でそう語った。
このステージを終え総合は大きくシャッフルされた。
ジロ・デ・イタリア第3ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第3ステージ順位
1位 ヨナタン・カイセド(EGプロサイクリング) 4h02’33”
2位 ジョバンニ・ヴィスコンティ(ヴィーニ・ザブKTM) +21”
3位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル) +30”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +39”
5位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +51”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)
7位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド)
8位 ヨナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアス)
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング)
10位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +56”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 7h44’25”
2位 ヨナタン・カイセド(EGプロサイクリング)
3位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン) +37”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +42”
5位 ハーム・ファンホッケ(ロット・ソウダル) +53”
6位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +55”
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング) +59”
8位 ブランドン・マックナルティ(UAEチームエミレーツ) +1’11”
9位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +1’13”
10位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’15”
H.Moulinette