ジロ・デ・イタリア第1ステージ:個人TT世界チャンピオンのガンナが口約通りオープニングステージを制しマリア・ローザ獲得!G.トーマスが総合争いでアドバンテージ、ロペス落車でリタイア
ツール・ド・フランスから大して間もなく開催される今年のジロ・デ・イタリア、オープニングステージは距離の短い個人TTでもあり、勝者が総合リーダージャージを獲得できるこのステージはTTスペシャリストたちが本気で狙ってくる。
そんなステージを制したのは、先日世界チャンピオンとなり、アルカンシエルと着用するフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)、口約通りステージ勝利を成し遂げ、世界チャンピオンとしてジロ・デ・イタリアの総合リーダーの証、マリア・ローザに袖を通すことに成功した。
たった15.1㎞のコースながら、序盤に出走した選手たちの時にはさほどでもなかった風が中盤から後半にかけ強風が吹き荒れる最悪の状況となった。ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は序盤出走で好タイムをたたき出すと、長らくそのまま暫定首位の選手が座るホットシートに座り続ける。
次々とTTスペシャリストたちがコースに飛び出していくが、風にあおられホイールが流れたり、コーナーでドリフト状態になったりするなど安定して走れない。ましてやDHポジションという上半身をハンドルバー上に乗せた状態では、バイクコントロールが難しく、上半身を起こして対処する選手が続出する。そんな中でも世界チャンピオンジャージが与える力なのか、安定した走りに終始したガンナはトップタイムをたたき出して見せた。
「本当にうれしいね。このジャージは僕にピッタリだろ。チームも喜んでいるし、万々歳のステージだよ。この”ピンク”ジャージを獲得できたことに感謝しかないよ。」ガンナは宣言通りの結果でチームへの感謝を示した。
このステージの結果のみならず、総合を狙う選手にとってもいかにタイムロスを少なくこのステージをクリアするかが課題となる。ツール・ド・フランス出場ではメンバーから外れたゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)にとってはこの大会こそが主役となる場だけに気合の入り方が違った。トップから23秒遅れのステージ4位、幸先の良いスタートとなった。
そんな中ジロ・デ・イタリアではステージ優勝も上げ、総合でも6位に入っていたミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)だったが、コース中盤でDHバーからハンドルを握り変えようとした瞬間に、地面の凹凸でバイクが跳ね上がりコントロールを失ってしまった。そのままコース脇のバリアに突っ込み、救急車で搬送されリタイアとなってしまった。スーパーマンのあだ名で呼ばれる男は、幸いにも骨折こそなかったものの、足の動脈の手術を受け、今シーズン中の復帰は微妙となった。
ステージ2位には22歳のアルメイダが、ステージ3位にはミケル・ビョルグ(UAEチームエミレーツ)が入った。U-23で3度個人TTの世界チャンピオンになっている21歳の若者が、初出場のグランツールでいきなりの結果を出して見せた。
アワーレコードホールダーのヴィクトル・カンペナールツ(NTTプロサイクリング)は、ガンナの対抗馬と目されていたが、こちらもロペス同様に落車してしまった。「コース上にオイルがあり危なすぎる」と後続スタートの選手たちに注意を促しつつ、「安全面を考え、もっとしっかりとコースを綺麗にすべき」主催者に苦言を呈した。
ジロ・デ・イタリア第1ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第1ステージ
1位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス) 15’24”
2位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +22”
3位 ミケル・ビョルグ(UAEチームエミレーツ)
4位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +23”
5位 トビアス・フォス(ユンボ・ヴィズマ) +31”
6位 ヨセフ・チェルニー(CCCチーム) +36”
7位 マッテオ・ソブレロ(NTTプロサイクリング) +40”
8位 ローソン・クラドック(EFプロサイクリング) +41”
9位 マイルス・スコットソン(グルーパマFDJ) +42”
10位 マテアス・ブランドル(イスラエル・スタートアップネーション)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス) 15’24”
2位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +22”
3位 ミケル・ビョルグ(UAEチームエミレーツ)
4位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +23”
5位 トビアス・フォス(ユンボ・ヴィズマ) +31”
6位 ヨセフ・チェルニー(CCCチーム) +36”
7位 マッテオ・ソブレロ(NTTプロサイクリング) +40”
8位 ローソン・クラドック(EFプロサイクリング) +41”
9位 マイルス・スコットソン(グルーパマFDJ) +42”
10位 マテアス・ブランドル(イスラエル・スタートアップネーション)
H.Moulinette