世界選手権2020個人TT:制したのはガンナ!イタリア人初のTT世界チャンピオンに!銀メダルは最強オールラウンダーになりつつあるワウト・ファン・アールト!キュングが銅メダル
コロナでスケジュールが変更となり、イタリアのイモラで行われている世界選手権の男子個人タイムトライアル(ITT)、世界最速のTTスペシャリストの証は、地元の若手、フィリッポ・ガンナ(イタリア)が掴み取った。地の利を、そして沿道の歓声を味方につけ、イタリアに念願の個人TTのアルカンシエルをもたらした。
もともとトラック競技の個人追い抜きでは無類の強さを発揮しており、僅か24歳にして2016、2018、2019、2020と4度も世界チャンピオンになっている。ロードレースでも、2019、2020と2年連続でイタリア選手権を制しており、今回は大きな期待が寄せられていた。事前のティレーノ・アドリアティコでも第8ステージの個人TTで勝利するなど、世界選手権にぴたりと照準と調子を合わせてきた。
ガンナは中間計測でも最速タイムをたたき出すと、ゴールではただ一人35分台の好タイムで平均時速53㎞をたたき出した。そして今シーズンは、この世界チャンピオンジャージで、母国のグランツール、ジロ・デ・イタリア出場が決まっている。
「ティレーノ・アドリアティコの後に、高度キャンプを行ったんだけど、あまりネット環境もよくないし、程よく世の中の評価を聞くことなくリラックスできたんだよ。これが最高の準備期間になったね。プレッシャーを感じることなくいられたことが勝因だね。これでジロのオープニングの個人TTでステージ勝利とマリア・ローザまで獲得出来たら最高だね。」若者は貪欲に次を狙っている。
そして銀メダルを獲得したのはワウト・ファン・アールト(ベルギー)、クラシックを制し、ツール・ド・フランスではスプリントステージで純粋なスプリンター相手に真っ向勝負で勝利、そして山岳でも見事なアシストをした上で、さらにはTTでも結果を残していたが、その勢いのままに世界選手権でも見事な走りを見せた。
「これ以上速く走るのは無理だったよ。だから銀メダルには納得しているよ。今日最高の選手に敗北した、素直におめでとうと言いたいよ。コース後半は僕向きだったので、それに合わせて途中で少しペースを落としたんだけど、落としすぎたね。そのタイム差が最後まで響いたね。でも最後は全力だったわけだし、結局力負けということだよ。」ファン・アールトは謙虚に語った。
そして銅メダルはステファン・キュング(スイス)が滑り込んだ。ファン・アールトとの差は3秒、ヨーロッパチャンピオンは世界の頂点には届かなかった。「ガンナはとにかく強かったよ。ファン・アールトはツールを走ってきた、それぞれ違うアプローチで世界選手権を目指してきた結果、ガンナが強かったんだよ。敗北は敗北、悔いる必要はない。でも負けは認めないといけない。」キュングは冷静に結果を受け止めた。
表彰台に一歩届かなかったのは、ゲラント・トーマス(イギリス)、結果が欲しかったところだが、あと一歩及ばなかった。トム・デュムラン(オランダ)はコーナーでバランスを崩しあわや落車の危機をなんとか逃れたが、結局タイムは伸びずに10位に沈んだ。
世界選手権個人TTダイジェスト
世界選手権個人TT エリート男子
金メダル フィリッポ・ガンナ(イタリア) 35h54”
銀メダル ワウト・ファン・アールト(ベルギー) +27”
銅メダル ステファン・キュング(スイス) +30”
4位 ゲラント・トーマス(イギリス) +37”
5位 ローハン・デニス(オーストラリア) +40”
6位 キャスパー・アスグリーン(デンマーク) +47”
7位 レミ・カバーニャ(フランス) +48”
8位 ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー) +53”
9位 アレックス・ダウセット(イギリス) +1’06”
10位 トム・ドュムラン(オランダ) +1’14”
H.Moulinette