TDF Stage21:最後まで完遂のTDFでポガチャルが総合優勝!新人賞と山岳賞もポガチャルが獲得!ベネットが有終の美を飾るステージ勝利でポイント賞ジャージ獲得、ヒルシが総合敢闘賞!
「最後まで大会を完遂できたことがツール・ド・フランスにとっての勝利だ。」大会中自らも新型コロナウイルスに感染したが、大会終了前に復帰してきた大会主催者ASOのクリスチャン・プリュドムはそう語った。そんな今年のツール・ド・フランスは変則的な時期での開催、選手たちにとってもコンディション作りは難しく、思ったように走れない選手たちも続出した。そんな中で小国スロベニア出身の二人の選手たちによるハイレベルな総合有優勝争いは、昨日の個人TTで大逆転というドラマを生み出した。
最終ステージはパレードステージ、総合優勝争いは実質的には行われず、総合優勝を祝う形で進んでいく。山岳賞も昨日までで順位が確定、新人賞も総合リーダーのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が総合1位となったことで確定していた。残すはポイント賞となり、最後の直接対決がこの第21ステージとなった。
僅かながら大逆転のチャンスはあったものの、その決着はあっけなかった。周回コースとなるシャンゼリゼ通りの3周回目の中間スプリントでポイントを獲得したサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、ステージ最後のゴールスプリントを待たずしてポイント賞を確定させた。そうなればあとはステージ優勝で自らのポイント賞に華を添えるだけだった。
ミカエル・モロコフのいつもながらの鮮やかなリードアウトから発射・・・そう思われたベネットだったが、冷静だった。マッヅ・ペデルセン(トレック・セガフレド)のためのアシストのジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)がまだ牽引しているのを確認すると即決でそちらへとシフトする。そして満を持して自らのタイミングでスプリントを開始すると、ペデルセンとピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)を抑えて第10ステージに続いて今大会2勝目を挙げた。
「この喜びをどう表現すればいいかわからないよ!ポイント賞ジャージだよ!それに最高峰のシャンゼリゼでのスプリント勝利!それをポイント賞ジャージで勝てたのが最高に嬉しいよ!!!そしてこのドゥクーニンク・クイックステップという最高のチームでそれを達成できたんだからさらに感激だよ。本当に皆に感謝しかないよ」ベネットは喜びを爆発させた。
そして総合優勝の栄冠はポガチャルの頭上に輝いた。第7ステージの横風区間で大きくタイムロス、しかしそこから連日のように積極的な責の姿勢でタイムを奪い返していった。それでもプリモズ・ログリッチが第17ステージのクイーンステージでは貫禄を見せわずかにタイム差が開くも、第20ステージの個人TTで一気にタイム差をひっくり返す大逆転の走りを見せた。僅か21歳、明日が22歳の誕生日を迎える男が1904年以降最年少のツールチャンピオンとなった。
「また信じられないよ。もし総合優勝できていなかったとしても、総合2位だったとしても笑顔でこのステージを迎えたとは思うよ。でもそれでも優勝できたことは本当日特別なことなんだと今実感しているよ。パレードランは本当に特別な時間だった。ようやくチームメイト全員とゆっくり話ができたからね。彼らのおかげで僕はここにいれたし勝利できた、その事に感謝だよ。それに今大会に参加したすべての選手にも感謝だよ。今日は誰もが”おめでとう”と声をかけてくれたんだよ!ロードレースはやっぱり最高だよ!」ログリッチは感慨深くそう語った。
そして山岳賞と新人賞もポガチャルが獲得、まさにポガチャルのために今大会があったことを感じさせた。総合2位のプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズま)もこの日は笑顔で同胞を祝福した。今大会の大部分を総合リーダージャージのマイヨ・ジョーヌで過ごしたユンボ・ヴィズマだったが、チーム総合でもモビスターに届かず、無冠のまま大会を終えることとなった。対してポガチャル擁するUAEチームエミレーツは、開幕ステージでアレクサンダー・クリストフが勝利してマイヨ・ジョーヌを獲得、そして最終的にマイヨ・ジョーヌを獲得と実り多い大会となった。
総合敢闘賞は、今大会何度も逃げに乗り続けステージ勝利を挙げ、山岳賞ジャージ争いでも激しいバトルを繰り広げたマルク・ヒルシ(チームサンウェブ)が獲得した。チームサンウェブはそれ以外にもクラーアンデルセンがステージ2賞を挙げ、大躍進の大会となった。
TDF 第21ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第21ステージ
1位 サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ) 2h53’32”
2位 マッヅ・ペデルセン(トレック・セガフレド) +1’21”
3位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’21”
4位 アレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ) +1’31”
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス) +1’56”
6位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) +1’59”
7位 カレブ・ユワン(ロット・ソウダル) +2’29”
8位 ユーゴ・ホフステッター(イスラエル・サイクリングアカデミー) +2’40”
9位 ブライアン・コカード(B&Bホテルズ・ヴァイタルコンセプト) +2’45”
10位 マックス・ワルシェイド(NTTプロサイクリング) +2’54”
TDF総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 87h20’05”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +59
3位 リッチー・ポート(トレック・セガフレド) +3’30”
4位 ミケル・ランダ(バーレーン・メリダ) +5’58”
5位 エンリック・マス(モビスター) +6’07”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +6’47”
7位 トム・デュムラン(ユンボ・ヴィズマ) +7’48”
8位 リゴベルト・ウラン(EFプロサイクリング) +8’02”
9位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +9’25”
10位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・マクラーレン) +14’03”
山岳賞:タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
新人賞:タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
ポイント賞:サム・ベネット(ドゥクーニンくクイックステップ)
チーム総合:モビスター
総合敢闘賞:マルク・ヒルシ(チームサンウェブ)
H.Moulinette