TDF Stage 19:クラー・アンデルセンが逃げ集団から見事な抜け出しからの独走16㎞で今大会2勝目!今大会4人目の複数ステージ勝者に!ポイント賞バトルはベネットががっちりキープ
総合の勝負が翌日のTTに委ねられる中、最終ステージのシャンゼリゼ決戦の前には通常ステージはこのステージのみ、まだ勝利がないチームにとって、そして平坦なコースはスプリンターたちにとってポイント賞とステージ優勝を狙う貴重な場である。まだ勝利のない選手が多くいる中で、同一大会複数回ステージ勝利の課題に挑戦できるのはわずかな選手たちに限定されるが、ソレン・クラー・アンデルセン(チームさんウェブ)はそのチャンスをきちんと結果に繋げ、今大会2勝目を挙げた。
今大会第14ステージで勝利を挙げているアンデルセンにとって、このステージは狙っていたわけではなかった。それでもチャンスあれば狙うのが選手の本能、すでに勝利を挙げていたことも自信と追い風となり、鮮やかに逃げ集団から飛び出して、そのまま逃げ切っての勝利を達成した。これで今大会の複数ステージ勝利者はワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)、カレブ・ユワン(ロット・ソウダル)、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)に次いで4人目となった。
この日のステージでまず飛び出したのはレミ・カバーニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、スタートからわずか4㎞で独走での逃げとなる。この日はこの強力な逃げがなかなか掴まらない展開となる。後続では何度となくアタックが発生、逃げへのジャンプアップを目論むが、集団がそれを簡単には許さない。
ボーラ・ハンスグロエとチームさんウェブが集団をコントロールする中、レース中盤になり少人数がカバーニャに合流を果たす。さらにそこに残り36㎞でメイン集団から新たに飛び出した選手が加わる。そこからの展開は早かった。残り30㎞でこの逃げ集団が再編成される。12名に数を減らしたそこには、多くの有力スプリンターたちが顔をそろえていた。ポイント賞ジャージのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)、その対抗馬のピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)とマッテオ・トレンティン(CCCチーム)名と競合スプリンターたちが顔をそろえる。ステージ勝利とともに、逆転でのポイント賞ジャージを狙う動きも重なり、かなりパンチ力のある選手たちがこの日の主役に名乗りを上げた。
もともとがチームのエーススプリンター、シース・ボル(チームサンウェブ)のためのアシストをする予定だったクラー・アンデルセンは、気が付けばチーム内のもう一人のスプリンター、ニキアス・アルント(チームサンウェブ)と共に勝利をうかがう立場となっていた。チーム内での戦略の切り替えがあり、スプリントに持ち込まれればアルント、そうでなければクラー・アンデルセンが勝利を狙うという新しい戦略が決まると、すでに大会で勝利を挙げており、失うものもないクラー・アンデルセンの思い切りの良さと自信が形となる。
残り16㎞、トレンティンのアタックが吸収されるタイミングをクラー・アンデルセンは狙っていた。ポイント賞ジャージをめぐる3強がお互いをマークし追走を躊躇、飛び出していったクラー・アンデルセンに誰も反応できない。あっという間に独走力で個人TT状態へ持ち込むと、そのままタイム差を広げてガッツポーズでステージ2勝目に花を添えた。
「ぼくらのチームは若い選手がたくさんいる。まだまだ発展途上なんだよ。だから今大会もプレッシャーなく楽しめたし、今回の大会を通して絆が深まったよ。レース途中でテレビカメラクルーに、後続とのタイム差を聞いたんだけど、あれは周囲の歓声が大きすぎて、チームラジオからの声が聞こえなかったからなんだよ。でもタイム差を聞いても勝ち切れるとは思わなかったんだ。」クラー・アンデルセンはカメラに向かっての絶叫をそう説明した。
総合勢は安泰、明日の個人TTに向けて危険回避をする一日となった。ログリッチとポガチャル、の2強による総合優勝争いが予想されるが、表彰台を目指す戦いと、トップ10入りをめぐる戦いも明日に委ねられることとなった。
TDF第19ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第19ステージ
1位 ソレン・クラー・アンデルセン(チームサンウェブ) 3h36’33”
2位 ルーカ・メズゲッツ(ミッチェルトン・スコット) +53”
3位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド))
4位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(CCCチーム)
5位 オリビエ・ナーセン(AG2Rモンディアル)
6位 ニキアス・アルント(チームサンウェブ)
7位 ルーク・ロウ(イネオス・グレナディアス) +59”
8位 サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’02”
9位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
10位 マッテオ・トレンティン(CCCチーム)
TDF総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 83h29’41”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +57”
3位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +1’27”
4位 リッチー・ポート(トレック・セガフレド) +3’06”
5位 ミケル・ランダ(バーレーン・メリダ) +3’28”
6位 エンリック・マス(モビスター) +4’19”
7位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +5’55”
8位 リゴベルト・ウラン(EFプロサイクリング) +6’05”
9位 トム・デュムラン(ユンボ・ヴィズマ) +7’24”
10位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +12’12”
H.Moulinette