TDF Stage18:最後の山岳ステージで山岳賞ジャージが移動!カラパズとクウィアトコウスキーのイネオスコンビが肩を組んでゴール!総合バトル勃発もトップ3に変動起こらず
いくつもの山岳が連なる最後の山岳ステージ、逆転での山岳賞ジャージを狙うメンバーにとっては大チャンスとなったこのステージの明暗は、たった一度の落車だった。水玉模様のジャージを狙っていたのは今大会躍動したマルク・ヒルシ(チームサンウェブ)と元ジロ覇者のリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)、二人の激しいバトルの終わりはヒルシのDHでの落車だった。
そんなステージを制したのは、カラパズと共に逃げ続けたミカル・クウィアトコウスキー(イネオス・グレナディアス)、リタイアしてしまったイーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)での大会連覇を逃したチームにとっては、何とかステージ優勝を達成し、今大会に結果と記録を残すことに成功した。
総合勢はお互いをマークすることが重要なステージ、それは逃げ切りの可能性が大きく、まだ勝利を挙げていないチームや選手にとっては最後の大チャンスでもある。32名の大所帯となった逃げ集団は、それぞれの思いでレースを展開する。山岳賞争いに関しては、5つの山岳ポイントがあり多くの山岳ポイントが連なるこのステージこそが大逆転のチャンスでもあり、昨日総合争いの結果として山岳賞ジャージを獲得したタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)からリーダーの証である水玉ジャージを奪取すべく、ヒルシとカラパズが激しくバトルを繰り広げる。
逃げ集団は数を減らし、3つ目の山岳まででヒルシがカラパズに先行して山岳ポイントを通過、このままいけばヒルシが山岳賞に最も近い存在となるかに思われた。しかし何とダウンヒルセクションでまさかの落車に見舞われてしまう。単独での落車で怪我はなく、何とかすぐに追走を開始したがバイクを破損し交換を余儀なくされる。これで勝負あり、カラパズが残りの山岳でポイントを荒稼ぎしていくこととなる。最後の超級山岳で、クウィアトコウスキーとカラパズが抜け出し二人でゴールを目指す。
逆転を狙うミケル・ランダ(バーレーン・マクラーレン)は攻めの姿勢を見せるも、未舗装路区間を前に捉えられてしまう。しかしこの動きによりアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)とリゴベルト・ウラン(トレック・セガフレド)が脱落していった。そしてその背後では激しい総合バトルが勃発する。未舗装路区間では総合1位のプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ))とポガチャルがその強さを見せる。それに対応できたのは、総合3位のミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)、エンリック・マス(モビスター)、そしてログリッチのアシスト、セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)だった。
リッチー・ポート(トレック・セガフレド)は一旦遅れるも、トム・デュムラン(ユンボ・ヴィズマ)と協調し何とか脱落を免れた。ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)はこの日も驚異的なアシストを披露しライバルチームのエースとアシストを削っていく。さらに最後はゴール前でスプリントを見せ、カラパズとクウィアトコウスキーに続くステージ3位に食い込む走りを見せた。
ログリッチとポガチャルはこの日もお互いをマークしてゴール、総合トップ2の戦いは個人TTへと持ち越されることとなった。ポガチャルは「未舗装路区間が怖かったんだよ。パンクしなくてよかった」と安堵の表情を浮かべた。
「感無量だよ!チームとカラパズに感謝感謝だよ!この日のことはきっと忘れないよ。今までもいろいろな記憶に残る瞬間はあったけど、でも今回のは特別だよ。勝利を確信してからの最後の1㎞は鳥肌が立ったよ。」2014年の世界チャンピオン、クウィアトコウスキーにとってもグランツール初勝利は特別だったようだ。
また山岳賞ジャージを獲得したカラパズは、「このジャージをパリまで守り抜くには相当の覚悟と戦略がいるよ。」と気合を入れた。
TDF第18ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第18ステージ
1位 ミカル・クウィアトコウスキー(イネオス・グレナディアス) 4h47’33”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
3位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) +1’51”
4位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +1’53”
5位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
6位 リッチー・ポート(トレック・セガフレド) +1’54”
7位 エンリック・マス(モビスター)
8位 ミケル・ランダ(バーレーン・マクラーレン)
9位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・メリダ)
10位 トム・デュムラン(ユンボ・ヴィズマ)
TDF総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 79h45’30”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +57”
3位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +1’27”
4位 リッチー・ポート(トレック・セガフレド) +3’06”
5位 ミケル・ランダ(バーレーン・メリダ) +3’28”
6位 エンリック・マス(モビスター) +4’19”
7位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +5’55”
8位 リゴベルト・ウラン(EFプロサイクリング) +6’05”
9位 トム・デュムラン(ユンボ・ヴィズマ) +7’24”
10位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +12’12”
H.Moulinette