TDF Stage13:難関ステージを制したのはマルチネス!総合バトルも勃発でログリッチとポガチャルのスロベニアコンビの破壊力の前にライバルたちが大ダメージで大シャッフル!
アタッカーの人間がこのステージを狙うと公言していたように、このステージは山岳ステージとしての破壊力はあまりないかもしれない、コースの高低表だけを見る限り、そんなニュアンスの受け取られ方をしていたステージは、とんでもなく破壊力のある難関ステージだった。
そんなステージを制したのは、終盤数的不利な状況に追い込まれながらもそれをものともしなかったダニエル・マルチネス(EFプロサイクリング)だった。そして総合ではプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)とタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ))のスロベニア勢が躍動、他の総合系ライバルを突き放し大ダメージを与えることに成功した。またこのステージで総合トップ10も大きくシャッフルされ、大会中盤にして総合上位争いが大きく絞られることとなった。
この日は激しくアタック合戦が繰り返される。その中でジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、マックス・シャッフマン、レナード・カムナ(共にボーラ・ハンスグロエ)、マルチネスらが加わり逃げ集団18名が形成される。
しかしそれと同じころ、残り86㎞地点では総合4位のナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック)と総合5位のロメイン・バルデ(AG2Rモンディアル)も含めた落車が下りで発生、リッチー・ポート(トレック・セガフレド)の最強アシスト、バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)がそのままリタイアを余儀なくされた。
残り50㎞の段階で後続のメイン集団とのタイム差は11分、これで逃げ切りが確定的となると、積極的な動きがさらに活性化する。その中でシャッフマンが抜け出し独走状態となると、さらにマルチネスとカムナが追走する形となる。そして残り1.6kmでようやくシャフマンをとらえると、そのまま置き去りしてしまう。最後はカムナがまずアタックを仕掛けるがこれにマルチネスは余裕をもって対応、冷静に自分の脚力を考え加速すると、余裕をもってカムナをとらえて逆転でゴールラインを駆け抜けた。「うれしいよ!山岳が本当に好きだよ!今日は自分自身を褒めてあげたいね。」マルチネスは笑顔で語った。
そしてその背後では総合勢によるバトルが本格化する。まずはイネオス・グレナディウスがペースが上がると続々と各チームのエースが脱落していく。まず犠牲になったのがこの日落車をしてダメージが残るバルデ、そして総合3位のギヨーム・マルティン(コフィディス)も遅れてしまう。
しかしそのイネオス・グレナディウスのエースであり、昨年度の覇者のイーガン・ベルナルが、ポガチャルの加速についていけず遅れてしまう。苦悶の表情でバイクを左右に振りながら懸命に食い下がるが、その差はどんどんと広がっていく。
ポガチャルとログリッチに対応できたのはわずかにミケル・ランダ(バーレーン・マクラーレン)、リッチー・ポート(トレック・セガフレド)、そしてミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)のみ、この3人はスロベニア勢にはわずかにタイムを失ったものの、ベルナルに対して大きくタイムを稼ぎ出し、総合順位を上げることに成功した。
またステージを最後まで走り切ったバルデだったが、落車で脳震盪を起こしていたことが発覚、そのままリタイアとなっている。
これによりログリッチの総合順位は変わらずも、総合2位には総合7位から一気にポガチャルが浮上しスロベニアがワン・ツーとなり、ベルナルは総合3位と順位を下げた。「最後ののぼりは良かったね。勾配もきついし、下から見上げた時に”きつい”とおもったよ。だからこそここで稼ぎ出すすべての秒数には重い意味と価値があるんだよ。」ログリッチはこのステージでタイムのみならず、精神的にもライバルたちに対し優位に立った。
TDF第13ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第13 ステージ
1位 ダニエル・マルチネス(EFプロサイクリング) 5h01’47”
2位 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +4”
3位 マックス・シャッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +51”
4位 ヴァレンティン・マドゥアス(グルーパマFDJ) +1’33”
5位 ピエール・ローラン(B&Bホテルズ・ヴァイタルコンセプト) +1’42”
6位 ニコラス・エデ(コフィディス) +1’53”
7位 サイモン・ゲシュケ(CCCチーム) +2’35”
8位 マルコ・ソレル(モビスター) +2’43”
9位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +3’18”
10位 ダビ・デ・ラ・クルス(UAEチームエミレーツ) +3’52”
TDF総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 56h34’35”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +44”
3位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +59”
4位 リゴベルト・ウラン(EFプロサイクリング) +1’10”
5位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック) +1’12”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +1’31”
7位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +1’42”
8位 ミケル・ランダ(バーレーン・マクラーレン) +1’55”
9位 リッチー・ポート(トレック・セガフレド) +2’06”
10位 エンリック・マス(モビスター) +2’54”
H.Moulinette