TDF Stage 7:恐るべしファン・アールト!またしてもスプリント真っ向勝負で勝利で今大会2勝目!魔の横風ステージでポガチャルやランダら有力選手がタイムロス!
横風というのは選手たちにとって時には悪夢になることがある。いったん分断されると、風の影響もありなかなか前集団に追いつくことができないという現実、そしてそれが起きたらどうしようという不安感にさいなまれながらのステージは、選手たちにとっては精神的にストレスフルなステージとなる。そしてこのステージも分断が発生、そのタイミングで間が悪く後方にいた総合系有力選手数名が大きくタイムロス、山岳以外でも要注意なタイムロスステージがあることを改めて思い知らされた。
そんなステージはゴールスプリントバトルとなる。横風分断をうまく回避し、さらにはライバルたちに差をつけたユンボ・ヴィズマは、ここでもステージの勝負を今大会絶好調の元シクロ世界王者のワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)に託した。純粋なスプリンターではないながらも、今大会強豪スプリンターを力でねじ伏せステージ勝利を挙げた男は、このステージでも勝利、そのスプリント力がフロックではないことを世に知らしめた。これで今大会2勝目、勢いに乗った男は止められそうにない。
逃げの醍醐味を証明する男、トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル)が逃げ続けたこのステージ、残念ながらこの日の逃げ切り勝利は夢に終わった。そんなレースが大きく動いたのは残り40㎞だった。横風区間で分断が発生、プリモズ・ログリッチとトム・デュムランのダブルエース擁するユンボ・ヴィズマは、イーガン・ベルナルで大会の総合を狙うイネオス・グレナディウスと共に、分断された後方集団を突き放しにかかる。
この分断で後続に取り残されたのがタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)、そしてミケル・ランダ(バーレーン・マクラーレン)だった。またリッチー・ポート、バウク・モレンマのトレック・セガフレドコンビもタイムロス、さらにはイネオスのサブリーダーだったリチャード・カラパズはメカニカルトラブルで遅れてしまい、結果的にはポガチャルらとゴールすることとなった。
そしてそのまま先頭集団はゴールスプリント勝負へと流れ込んでいく。主導権を握ったのはNTTプロサイクリング、エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲンのために完璧なおぜん立てをする。しかし発車がわずかに早すぎた。ブライアン・コカード(B&Bホテルズ・ヴァイタルコンセプト)がコース左側を駆け上がる中、ヴァン・アールとは視野が広がった右サイドを一気に加速していく。そして豪快なスプリントでそのまま先頭に躍り出ると、ガッツポーズを決めてのゴールとなった。
「この勝利を誇りに思うよ。今日はスタートからかなりハイスピードだったし。ボーラ・ハンスグロエがグリーンジャージのために物凄い仕事をしていたからね。それで多くのスプリンターたちが脱落していったからね。あとは横風のおかげで主導権争いがはっきりしない混沌、そんな中で総合系のライバルを脱落させ、さらにそんなステージを勝利できたのは感慨深いよ。」ファン・アールトの勝利に、世代最強の覇権争いが、ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)らからこの男中心へと変わっていきそうな予感を感じさせた。
これでユンボ・ヴィズマは今大会7ステージ中3勝目、そしてさらにはログリッチがライバルたちに対してのアドバンテージを獲得した。またアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がステージ10位に入り、大ベテランが健在であることを示した。
TDF第7ステージダイジェスト
TDF第7ステージ
1位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマナ) 3h32’03”
2位 エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(NTTプロサイクリング) +55”
3位 ブライアン・コカード(B&Bホテルズ・ヴァイタルコンセプト) +2’25”
4位 クリストフ・ラポルテ(コフィディス) +2’17”
5位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド) +2’52”
6位 クレメント・ヴェントゥリーニ(AG2Rモンディアル) +2’53”
7位 ユーゴ・ホフステッター( イスラエル・スタートアップネーション)
8位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)
9位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
TDF総合順位
1位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 30h36’00”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +03”
3位 ギヨーム・マルティン(コフィディス) +09”
4位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +13”
5位 トム・デュムラン(ジャンボ・ヴィズマ)
6位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック)
7位 ロメイン・バルデ(AG2R)
8位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)
9位 ティボー・ピノ―(グルーパマFDJ)
10位 リごベルト・ウラン(EFプロサイクリング)
H.Moulinette