TDF Stage 6:今大会2度目の頂上ゴールバトルを制したのはルチェンコ!逃げ集団からそのまま抜け出し独走勝利!ユンボ・ヴィズマとイネオス・グレナディアスは沈黙
逃げ切りというのはロードレースの一つの醍醐味である。しかしそのような逃げはなかなか決まるものではない。まずはアタックを仕掛け逃げに乗り、さらにはその逃げが力技で後続を引き離すか、もしくは容認されなければ成立しない。だからこそそこにはロマンがあり、勝利を目指す大博打の逃げ選手たちは挑むのだ。
第6ステージは今大会2度目の山岳頂上ゴールステージ、しかしながら山岳はゴール前だけであり、コース全般はフラットな展開だ。つまりは逃げ切りの可能性が非常に高いステージであったのだ。そしてそのアドバンテージを最大限に生かして勝利したのは、アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ)、逃げ集団の中から飛び出し、独走で頂上ゴールを決めた。
この日は8人にの逃げからスタートする。逃げに乗ったのはルチェンコ、ヘスス・エラダ(コフィディス)、ニールソン・パウレス(EFプロサイクリング)、ニコラス・ロッシュ(チームサンウェブ)、レミ・カバーニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ダニエル・オス(ボーラ・ハンスグロエ)、エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(NTTプロサイクリング)、グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(CCCチーム)のかなり強力なメンバー、さらには総合上位をうかがうヴァン・アーヴェルマートが入ったことで、追走もペースを緩ませない展開が続く。
最大で6分半ほどまでは差が開いたが、バーチャルでのリーダージャージ移動を踏まえ、追走は徐々にペースアップしていく。しかしこの日の逃げは心も体も強かった。逃げ切りの可能性がある状態で迎えた残り17㎞、ルチェンコが一級山岳で動く。パウレスとともに逃げ集団からアタックを仕掛けると、残り4kmではルチェンコが独走状態となる。
パウレスはさらに追走のエラダにも抜かれるが、何とかヴァン・アーヴェルマートとともに踏ん張る。しかしルチェンコの速さは格が違った。最後はエラダに1分近い差をつけての圧勝、大会前の狙い通りのステージで勝利を奪って見せた。ヴァン・アーヴェルマートはステージ3位、パウレスは4位に終わった。
「このステージは最初から狙っていたんだよ。今日は頑張っただけのことはあったね。結果に繋がり嬉しいよ。このステージで勝利を狙うために、総合で問題視されないレベルの順位とタイム差に調整していたんだよ。一時はエラダが迫って焦ったけど、自分のペースで行くしかなかったからね。ここまで全開で行かなければ勝利はなかったね。」ルチェンコはしかける意味を教えてくれた。
この日おとなしかったユンボ・ヴィズマとイネオス・グレナディアスは、「今日のステージは我々のものではなかったよ。だから最初から今日は脚を休める予定だったんだ。」とこのステージ以降の作戦と思惑を垣間見せた。
総合勢には大きな動きはなく、トップ10には総合系の選手が顔を揃えている。一昨日ペナルテイーでタイムを失ったアラフィリップは、この日は少しでもタイムを奪い返そうと、最後の最後で1秒の差をつけた。
TDF第6ステージダイジェスト
TDF第6ステージ
1位 アレクセイ・ルチェンコン(アスタナ) 4h32’34”
2位 ヘスス・エラダ(コフィディス) +55”
3位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(CCCチーム) +2’25”
4位 ニールソン・パウレス(EFプロサイクリング) +2’17”
5位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +2’52”
6位 バウケ・モレンマ(トレック・セガフレド) +2’53”
7位 ミカル・クウィアトコウスキー( イネオス・グレナディアス)
8位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)
9位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
10位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
TDF総合順位
1位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 27h03’57”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +03”
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +07”
4位 ギヨーム・マルティン(コフィディス) +09”
5位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +13”
6位 トム・デュムラン(ジャンボ・ヴィズマ)
7位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)
8位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック)
9位 ロメイン・バルデ(AG2R)
10位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)
H.Moulinette