TDF Stage 5:元シクロ世界王者の絶好調男ファン・アールトが、スプリンター相手に真っ向勝負でステージ勝利!アラフィリップは残り20㎞以内での補給でペナルティーでマイヨ・ジョーヌ失う
時に監督は選手を擁護し、UCI(世界自転車競技連盟)や、大会主催者にかみつくが、まさか自分のチームスタッフに大激怒する羽目になろうとは・・・総合リーダージャージを着用していたジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、ステージ終了後に「残りゴールから20㎞以内には補給を受けられない」というルールに抵触する行為があったとして20秒のペナルティー、そのままマイヨ・ジョーヌを手放す羽目になってしまった。怒りの収まらないルフェーブル監督、選手の頑張りをスタッフが踏みにじったと大激怒しながらも、安全に補給できる場所が終盤少なかったことも嘆いた。
そんなステージは今シーズン絶好調な男のためにあった。昨日は最後の頂上ゴールでの献身的なアシストでライバルチームを粉砕したワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)が、強豪スプリンター立ち合い手に真っ向勝負を挑んで見せた。そして自らの力でスプリンターを撃破、ツール・ド・フランス初勝利を挙げた。ユンボ・ヴィズマはこれでで連日の勝利、今大会を大いに盛り上げている。
横風区間の恐れから、この日はボーラ・ハンスグロエとドゥクーニンク・クイックステップが集団をコントロールし続けた。それにより集団は明確な目的意識をもってゴールでのスプリント勝負に備えることとなる。本来クライマー的な要素の強いファン・アールトは、クラシックでも見せたとおり上りでも仕掛けることができる。しかしこの日はスプリンターとしてステージ勝利に挑むことを選択する。
残り20㎞を切り、向かい風などに翻弄されるメイン集団は、警戒心を解くことなく主導権争いを続ける。そしてゴールが近づくと、万全な体制を見せたのはチームサンウェブだった。残り2㎞で5名のアシストが残り、シース・ボル(チームサンウェブ)のために完璧なリードアウトを形成、コーナー内側を押さえこれ以上ない状況でボルを発射する。その背後をとったファン・アールトがサイド・バイ・サイドでゴールを目指す。しかし一騎打ちとなった勝負はファン・アールトに軍配、快心のガッツポーズで勝利を祝った。
「このステージは僕向きだと思っていたんだよ。だからチームがしょぶするチャンスを与えてくれたことに感謝しているよ。そしてそのもらったワンチャンスで勝利できたんだから格別だよね。サンウェブがよかったから、きっちりそこをマークしたんだよ。最後はタイトだったから、コーナー外側を走ることにはなった分僅差になったね。勝負は勝たないとね。」ファン・アールトの言葉には貫録を感じた。
敗北したボルは、「ミスはなかったよ。ただ僕より早い男がいただけのことだよ。残念だけどそれが勝負というものだよ。」と完敗を認めた。
そしてその背後で繰り広げられた3位争いで先着したのはサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)、これにより4位に入ったピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)を抜きポイント賞リーダージャージを獲得した。しかしドゥクーニンク・クイックステップはアラフィリップがまさかのペナルティーでリーダージャージを失い、これによりアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が難なくマイヨ・ジョーヌを手に入れた。
TDF 第5ステージダイジェスト
TDF第5ステージ
1位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) 4h21’22”
2位 シース・ボル(チームサンウェブ)
3位 サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
5位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
6位 ルーカ・メズゲック(ミッチェルトン・スコット)
7位 ブライアン・コカード(B&Bホテルズ・バイタルコンセプト)
8位 カレブ・ユワン(ミッチェルトン・スコット)
9位 クレメント・ヴェントゥリーニ(AG2Rモンディアル)
10位 ユーゴ・ホフステッター(イスラエル・スタートアップネーション)
TDF総合順位
1位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 22h28’30”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +03”
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +07”
4位 ギヨーム・マルティン(コフィディス) +9”
5位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +13”
6位 トム・デュムラン(ジャンボ・ヴィズマ)
7位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック)
8位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)
9位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)
10位 ロメイン・バルデ(AG2Rモンディアル)
H.Moulinette