TDF Stage 3:まるで忍者!ユワンがするりとライバルたちの間をかいくぐっての爆速スプリントで勝利!ベネットは及ばず2位!ポイント賞ジャージはサガンが通算126回目の獲得
グランツールには総合リーダージャージ以外にも山岳賞ジャージとポイント賞ジャージがあるが、それぞれを狙う者たちのバトルもまた見どころでもあるのがグランツールだ。目的意識をはっきりとさせ、それに沿った戦略をいかに着実に遂行できるか、それもまた強者の証となる。通算8度目の大会ポイント賞を狙うピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)が、このステージでも躍動、きっちりと通算126度目のステージ終了時のポイント賞ジャージを獲得して見せた。
そんなステージを制したのはカレブ・ユワン(ロット・ソウダル)、小柄なポケットロケットが大男たちをあざ笑うかのようなトリッキーで繊細な動きを勝利へとつなげて見せた。バイクコントロールのみならず、激しいスプリント勝負の中でどのラインが勝利へと繋がるかを明確に見極めた感性は脅威だ。その動きはさながら忍者、軽快かつ誰にも真似できない動きでまずは今大会一勝目を挙げた。
この日は山岳賞争いが勃発する。そして暫定で山岳賞ジャージを獲得したアンソニー・ペレス(コフィディス)だったが、パンク、そして落車と立て続けに不運に見舞われると、肋骨開放骨折と気胸によりリタイアに追い込まれてしまった。そしてそんな山岳バトルに便乗していたジェローム・クザン(トータル・ダイレクトエナジ―)がこの日は逃げ続け敢闘賞を獲得する。
しかしステージ勝利を目指す各チームは逃げ切りなどは許さない。きっちりとクザンをとらえると、各チームの主導権争いは激しくなっていく。しかし向かい風などの状況もあり、どのチームも完全優位というものを獲得できぬままに残り1㎞へと突入していく。
相変わらずのトレイン組織力のあるドゥクーニンク・クイックステップは、きっちりと最終局面にサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)を送り込むことに成功する。ヨーロッパチャンピオンとなったジャコモ・ニッツォーロ(NTTプロサイクリング)やユーゴ・ホフステッター(イスラエル・スタートアップネーション)、サガンらがスプリントするが、ベネットの加速は頭一つ抜けていた。誰もがベネットの勝利を確信した瞬間、猛然とユワンが加速、しかもライバルたちの背後から、その隙間を縫うように蛇行しながら加速していく。「すり抜けた」という言葉がぴったりなほどに見事なラインどりで、一気にベネットをとらえると、そのまま力でベネットを抜き去り勝利を挙げた。
「チームメイトが落車でリタイアするし、チームとして余り状況は良くなかったんだよ。でもモチベーションは維持していたしハマれば勝てることはわかっていたからね。リスキーだったけどあの最終局面で、うまくすり抜けられたのが勝因だね。コース脇のバリアすれすれだったけど、うまくいけばすべてよし、ということで。」昨年度のステージ3勝に引き続き、ユワンがその速さを改めて示して見せた。
ベネットは2位、ニッツォーロがステージ3位を獲得、ステージ5位のサガンはこのステージでポイント賞リーダーの証のグリーンジャージを手に入れた。また総合ではジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が総合リーダージャージをきっちりとキープ、「明日以降も守り抜くよ。」と笑顔で語った。
TDF第3ステージハイライト
TDF第3ステージ
1位 カレブ・ユワン(ロット・ソウダル) 5h17’42”
2位 サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)
3位 ジャコモ・ニッツォーロ(NTTプロサイクリング)
4位 ユーゴ・ホフステッター(イスラエル・スタートアップネーション)
5位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
6位 エドワード・テウンス(トレック・セガフレド)
7位 シーズ・ボル(チームサンウェブ)
8位 マッテオ・トレンティン(CCCチーム)
9位 ブライアン・コカード(B&Bホテルズ・バイタルコンセプト)
10位 ニコロ・ボニファッツィオ(トータル・ダイレクト・エナジー)
TDF総合順位
1位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 13h59’17”
2位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +04”
3位 マルク・ヒルシュ(チームサンウェブ) +07”
4位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +17”
5位 ダビデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ)
6位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)
7位 トム・デュムラン(ジャンボ・ヴィズマ)
8位 セルジオ・イギータ(EFプロサイクリング)
9位 ギヨーム・マルティン(コフィディス)
10位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)
H.Moulinette