波乱だらけのイル・ロンバルディアを制したのはフグルサング!注目のエヴァネポエルが橋から落下し骨盤骨折の大怪我、シャフマンはコースに紛れ込んだ車に巻き込まれ落車(怪我続報あり)

イル・ロンバルディア、本来は落ち葉のクラシックと呼ばれ、シーズン再終盤のレースだが、今シーズンは新型コロナの影響もあり8月の炎天下の中での開催となった。そんなレースは主力選手たちが災難に次々と見舞われるまたしても波乱の展開、短縮され延期となったレースがひしめくこれからの季節、どれだけの選手たちが無事にシーズンを乗り切れるのかが心配になってくる。

©Il Lombardia
そんなレースを制したのはヤコブ・フグルサング(アスタナ)、自身にとって2019年のリエージュ・バストーニュ・リエージュに次いで二つ目のモニュメント制覇となった。今シーズンここまでも好調だった男は、確実に結果を残して見せた。

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僅か7名となっていた先頭集団には、レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ヤコブ・フグルサングとアレクサンダー・ヴラソフのアスタナコンビ、ジョージ・ベネット(ジャンボ・ヴィズマ)、そしてトレック・セガフレドはヴィンチェンツォ・ニーバリバウク・モレンマ、ギウリオ・チッコーネの3名を送り込んでいた。マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)ら強豪選手たちも、有力勢が終結した先頭集団にはついていけない。

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しかしまずはエヴァネポエルがニーバリのアタックで加速した集団の後方で落車、脱落してしまう。数的優位のトレック・セガフレドだったが、二人を擁していたアスタナがここで強烈な動きを見せる。丘の頂上へ向けフグルサングがアタックを仕掛けると、ベネットが反応、そしてヴラソフがそれをぴったりマークする。しかし残り3名すべてのトレック・セガフレド勢はここで動きを見せるも追走は届かない。下りに入り、ロシアチャンピオンのヴラソフが渾身の引きを見せフグルサングをアシストする。

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これによりトレック勢は完全に脱落、優勝争いはフグルサング、ベネット、ヴラソフに絞られる。しかしまたしても上り区間でフグルサングがアタックを仕掛けると、ベネットも脱落、最後はフグルサングが独走という形でレースを締めくくった。ベネットは悔しながらの2位、ヴラソフは見事なアシストをしながら3位表彰台を獲得した。

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「今日はスプリント勝負まで持ち込みたかったんだよ。そうしたらベネットには勝てると思っていたんだ。でもその前に仕掛けたら彼が脱落したので、そのまま逃げようと思ったんだ。今日の勝利の功労者はヴラソフだよ。彼がこの勝利を決定づけてくれたんだよ。」フグルサングはチームメイトを讃えた。
一番の痛手を被ったのはエヴァネポエル、その落車は、残り50㎞で起きた。先頭集団につけていたエヴァネポエルだったが、ニーバリによるアタックで差が生まれ、それを追走していた時だった。下りのカーブを曲がって橋を越えていくのだが、曲がり切れずに橋の入り口付近に衝突、そのまま橋の欄干を乗り越え、そのまま下へと落下してしまったのだ。「生きているだけで十分だよ。」ルフェーブル監督もそうため息交じりにこたえるほど、衝撃的な瞬間だった。エヴァネポエルは肺損傷と骨盤の亀裂骨折となっているが、プライベートジェットでイタリアからベルギーへと戻り、順調に治療が進められている。しかしながらもし橋の中央部分で欄干を乗り越えてしまっていたら・・・と考えると、橋の入り口付近だったことが、生死を分けたといえるかもしれない。だがクイックステップにとっては災難続きだ。エーススプリンターのヤコブセンが顔面複雑骨折で今シーズン中の復帰は難しく、またステージレースで今シーズン4度の総合優勝を果たしており、ツール・ド・フランスでの活躍が期待されていたエヴァネポエルがこの状況となり、常勝軍団としては極めてつらい状況となっている。

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そしてもう一人の強豪。マックス・シャッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)は7位ゴール目前で、道路に侵入してきた一般車両に進路を阻まれるアクシデントに遭遇。そのまま車に突っ込んでしまい落車、何とかゴール完走を果たしたものの、鎖骨を亀裂骨折、こちらもしばらくの離脱を余儀なくされた。侵入した車の運転手はレースが行われていなかったことを認識していなかったうえに、封鎖対象となっていた公道ではない私道から出てきたために、このような事態となってしまった。運転手にはすでに罰金と免許の減点が言い渡されている。
イル・ロンバルディア順位
1位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) 5h32’54”
2位 ジョージ・ベネット(ジャンボ・ヴィズマ) +31”
3位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ) +51”
4位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +1’19”
5位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +1’40”
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +3’31”
7位 マックス・シャッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +4’31”
8位 ディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ) +5’20”
9位 ベン・ヘルマンス(イスラエル・スタートアップネーション) +6’00”
10位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス) +6’28”
H.Moulinette