世代交代進む!開花した才能!ワウト・ファン・アートがストラーデ・ビアンケとミラノ・サンレモのダブル勝利!元シクロ王者の快進撃!アラフィリップやサガンを撃破し、強さを認めさせる

再開された今シーズンのオープニングレースとなったストラーデ・ビアンケ、そしてそれに引き続き行われたメジャークラシックのミラノ・サンレモ、昨年度は期待をされながらも思ったほどの結果が残せなかった男が爆走、見事連勝を成し遂げた。
元シクロ世界王者といえば、昨年度驚異の走りで勝利を量産したのがマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)だが、シクロ時代に2強と呼ばれたもう一人の男、ワウト・ファン・アート(ジャンボ・ヴィズマ)にとっては歯がゆいシーズンが続いていた。しかし新型コロナでシーズンが分断され再開幕した今シーズン、調整期間を最大限に活用した男の勢いが凄まじい。

©Strade Binache

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まずは8月1日のストラーデ・ビアンケ、白の道と呼ばれる未舗装路区間で有名なレースでは、ゴール前に控える街中の劇坂区間で成長の跡を見せた。昨年度はこの区間まで先頭集団として突入するも力尽き勝利を逃したが、今年は早めの仕掛けで残り13キロで独走態勢に持ち込むと、その劇坂区間でも圧倒的な加速力を披露、ライバルたちを圧倒する勝利を挙げた。「このレースが大好きでどうしても勝ちたかったレースなんだ。」そう語るファン・アートは早くもその目標を達成した。
続いた一つ下のカテゴリーのミラン・トリノでも3位に入ると、その3日後のメジャークラシックの一つ、ミラノ・サンレモでその速さとパワーがまたしても炸裂する。全体的な優勝候補に名が上がっていた昨年度の覇者ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)の二人で残り6.7㎞で飛び出すと、そのまま一騎打ちのスプリント勝負となる。追走が背後に迫る中で、横並びでスプリントを開始すると、アラフィリップよりも一回り体格の大きなファン・アートは背中を丸めたまま踏み込み続け、アラフィリップを僅差でかわして勝利を挙げた。

©Milano Sanremo
「強いものが勝つ、それがレースだよ」敗北したアラフィリップは悔しさをにじませながらレース後にう語った。またトップ二人の背後でのスプリント勝負で表彰台を逃した世代最強の怪童ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)は「彼は若く才能がある、間違いなくこれからの時代を担っていくよ。」とその実力を認めた。

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ファン・アートは昨年度は終盤でガス欠になるケースがよく見受けられ、シクロクロスに比べて圧倒的に距離も時間も長い長丁場のレースでのペース配分に問題が見られたが、今シーズンは間違いなくそれが改善されている。力の抜きどころを覚え、無駄な体力の消耗をするシーンを極力減らすその動きがきっちりと勝負に繋がっており、今シーズンのチーム力もさることながら、エースとしての風格と、勝てる男としてのオーラが漂い始めている。
1時間を全力で走り続けるシクロクロスというハードな競技で得た、長時間高出力という最大の武器の使い方を覚えたこの男の今シーズンの活躍から目が離せない。
ストラーデ・ビアンケ順位
1位 ワウト・ファン・アート(ジャンボ・ヴィズマ) 4h58’56”
2位 ダビデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ) +30”
3位 マックス・シャッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +32”
4位 アルベルト・ベッティオール(EFプロサイクリング) +1’31”
5位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +2’55”
ミラノ・サンレモ順位
1位 ワウト・ファン・アート(ジャンボ・ヴィズマ) 7h16’09”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
3位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ) +02”
4位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(NTTプロサイクリング)
H.Moulinette