ツール・ド・ポローニュ第1ステージ:再開されたシーズン最初のスプリント勝負でグローネウェーゲンの斜行でヤコブソンが鉄作に激突し重傷、人工的昏睡状態で現在も治療続く
再開されたばかりの今シーズン、各選手たちの勝利への渇望が大きな事故を招いてしまった。ツール・ド・ポローニュ第1ステージのゴールスプリント、有力スプリンターのディラン・グローネウェーゲン(ジャンボ・ヴィズマ)が先頭に躍り出ると、その背後に成長著しいオランダチャンピオンのファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が余裕をもってマークする。そしてタイミングよくヤコブセンがコース右側へと展開し加速する。
狭い進路ではあったが、十分にスペースがあり、ヤコブセンが一気に駆け上がろうとした瞬間、突如グローネウェーゲンが斜行、さらには肘を広げ進路を塞いでしまう。これによりゴールライン間近で行き場を失ったヤコブセンはゴールわきの鉄柵にハイスピードで突っ込む形となり、その体は鉄柵とともに大きく跳ね上げられてゴールアーチの構造物に叩きつけられる形となった。グローネウェーゲンもそのまま落車し、さらに多くのスプリンターたちが避けられずに多重クラッシュとなってしまった。
ピクリとも動かないヤコブセンは、そのままヘリで救急搬送されるが、出血量と頭部へのダメージが大きく、そのまま人工的昏睡状態に置かれる措置が取られた。現在まででわかっているのは、口蓋(上あご部分の骨)と気道の損傷が激しく、また内臓などにもダメージを負っており、様態が安定し次第緊急手術が複数回行われる予定だ。脳や脊椎の損傷は今のところないが、顔面へのダメージが酷く、気道などの確保とともに、整形外科手術を行わなければならない状況だ。
皮肉にも宙を舞った状態でゴールラインに到達していたために、ステージ勝者はヤコブソンとなり、グローネウェーゲンは失格処分と大会からの除外、また罰金が科されたうえで、UCIの倫理委員会により、さらなる処罰が下される予定だ。また3位以下も落車しながらゴールラインを通過した選手たちが名を連ねた。しかし多くの選手は大けがをしており、明日以降のレース出走は難しく、そのままリタイアとなっている。
心待ちにしていた今シーズンだが、、いきなりのハプニングにUCIも怒り心頭だが、それと同時に選手たちの間からも、高速になるくだりでのゴールスプリントを設定した主催者とそれを認めたUCIに対しても非難の声が上がっている。
ツール・ド・ポローニュ第一ステージ
1位 ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ) 4h31’50”
2位 マルク・サラウ(グルーパマFDJ)
3位 ルーカ・メズゲック(ミッチェルトン・スコット)
4位 ジャスパー・フィリップセン(UAEチームエミレーツ)
5位 ライアン・ギボンス(NTTプロサイクリング)
最新のニュースでは5時間半にわたる顔面の手術が終了、現在も人口昏睡下に置かれているが、これから意識回復に向けた治療が始まる。
H.Moulinette