パリ~ニース第5&6ステージ:逃げ続けたトラトニックをゴール前60mで飲み込みボニファッツィオがスプリント勝利!第6ステージはべノートが逃げ切り勝利でシャフマンに迫る!

日に日に出場チームが減っていくという異常事態、コロナウイルスへの感染リスクを避けるために複数のチームが勇気ある撤退をする中でもレースは白熱する。出場したからには全力で狙う、さらに言えば有力チームやワールドツアーチームが減ることは、プロコンチネンタルチームにとっては千載一遇のチャンス、記録に残る勝利を求めてぶつかり合った。

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そんな第5ステージはヤン・トラトニック(バーレーン・マクラーレン)が快心の逃げを見せる。最長227kmのステージを逃げ続けたトラトニックの勝利の可能性が見え隠れする中、集団は微妙な距離感の詰め方で背後に迫っていた。
果たして追いつくことができるのか?そんな疑問が頭をよぎる中、残り1km、タイム差10秒を切っても必死に逃げるトラトニックだが、もう気持ちだけではペダルは回らなかった。スプリンターたちは躊躇すれば追いつけないと判断、原則も駆け引きもあまりないままに力勝負に打って出る。

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そして残り100mで先頭に躍り出たニコロ・ボニファッツィオ(ダイレクト・エナジー)はそのままゴールまで60mでトラトニックを捉えると、追走するライバルスプリンターたちも次々とトラトニックを飲み込んでいった。ボニファッツィオがステージ勝利、第3ステージを制したイヴァン・ガルシア(バーレーン・マクラーレン)が2位に入る中、悔しがる力さえ残っていないほどに限界まで逃げ続けたトラトニックはそのままうなだれながらゴールを果たした。
「イタリアの家族が心配なんだよ。でもチームにとってはこの勝利はとても重要な1勝だよ。パリ~ニースのような大きなレースを狙って冬場トレーニングをしてきたからね。でも今シーズンはここまでレースがキャンセルが続いてあまり走れていなかったから、リズムが掴めなかったんだよ。この勝利で家族が喜んでくれるといいなぁ。」ボニファッツィオは封鎖が続く母国の家族への想いを口にした。
パリ~ニース第5ステージ
1位 ニコロ・ボニファッツィオ(ダイレクト・エナジー) 5h18’02”
2位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・マクラーレン)
3位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
4位 ナセル・ブアニ(アルケア・サムシック)
5位 ユーゴ・ホフステッター(イスラエル・スタートアップネーション))

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そして迎えた第6ステージ、短縮も決まりレースは一気に総合優勝を巡るバトルとなる。アップダウンが続くこのステージで、第5ステージの個人TTでの勝利後の宣言通り、ソレン・アンデルセン(チームサンウェブ)が素晴らしいチームワークを見せる。エースのティス・ベノート(チームサンウェブ)の為に先行すると、それを目指してべノートがジャンプアップ、そしてそのまま残り13kmの丘越えで独走態勢へと持ち込む。
総合で大きくジャンプアップを狙うべノートに対して、この日は防戦一方となりアタックに対応し続けた総合リーダージャージを身に纏うマックス・シャッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)は、ゴールまで僅かの最後の下りで曲がり切れずに鉄柵に突っ込んで落車してしまう。それでもすぐに再スタートを切りなんとかタイムロスを最低限にとどめた。
このステージ勝利でべノートは一気に総合2位へと順位を上げ、セルジオ・イギータ(EFプロサイクリング)も総合3位へと順位を上げた。

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「この勝利は嬉しいね。チームにとって価値ある勝利、これで今大会2勝目だからね。クラシックがないのは残念だけど、このままの勢いを維持していけると思うよ。今日みたいに足が回っている日は、限界点を越えてまだいける、って感覚があるんだよね。だから単独になってもプッシュし続けたんだよ。」べノートは満足げに語った。
対して何とか総合リーダージャージを守ったシャフマンは、「残り800mでクラッシュしたんだよ。皆カッ飛んでたからね。あの下りは頭の中になかったんだよ。もうゴールも近かったし、ちょうど前との差を詰められたところだったから頭のねじが緩んでたね。そしたらミスしてドカンだよ。」安堵の表情を見せながらも落車でぶつけた個所を気にしていた。

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パリ~ニース第6ステージ
1位 ティス・ベノート(チームサンウェブ) 3h57’02”
2位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ) +22”
3位 セルジオ・イギータ(EFプロサイクリング)
4位 ボブ・ユンゲルス(ドゥクーニンク・クイックステップ)
5位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
パリ~ニース総合順位
1位 マックス・シャッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) 22h46’24”
2位 ティス・ベノート(チームサンウェブ) +36”
3位 セルジオ・イギータ・ガルシア(EFプロサイクリング) +1’01”
4位 フェリックス・グロスシャルトナー(ボーラ・ハンスグロエ)
5位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ) +1’10”
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +1’18”
7位 ルディー・モラード(グルーパマFDJ) +1’29”
8位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +1’30”
9位 タネル・カンゲルト(EFプロサイクリング) +1’52”
10位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +2’04”
H.Moulinette