UCIシクロクロス世界選手権シリーズ第8戦:ファン・デル・ポエル欠場でイザービットが復活!4勝目を挙げる!またしても2位で未勝利ながらも総合リーダーのアールツは連覇目前
激戦が続くシクロクロスの最高峰、UCIワールドカップシリーズは、フル参戦していないマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)が出場したレースでことごとく勝利を奪い去っていた。シーズン序盤ファン・デル・ポエル参戦前に総合順位を競い合っていた昨年度の覇者トゥーン・アールツ(テレネット・バロワーズ・ライオンズ)と今シーズンエリートにステップアップして大暴れのイーライ・イザービット(パウエルス・サウザン・ビンゴール)は、世界王者に完膚なきまでに叩きのめされ続けたが、それでも腐ることはなかった。そしてファン・デル・ポエルが世界選手権への準備に専念することで欠場のこのレース、その二人がまたも大激突する形となった。
前戦で、最悪のリタイアという結末でシリーズ総合リーダーを陥落していたイザービットだったが、このレースではモチベーション高く挑み、シリーズ序盤の切れ味鋭い走りが復活してきた。最終ラップまでもつれ込む激戦をアールツと繰り広げると、最後の最後で仕掛けて急加速、そのまま逃げ切って今シリーズ4勝目を挙げた。
「勝利ってこんなにもきついんだね。美しいコースだったけど、滑りやすくて苦戦したよ。でもそれが僕には幸いしたよ。勝ててよかったよ。あとは調整を重ねていって、世界選手権に挑むだけだね。とにかく今はぐったりだよ。長くてきつかった、それだけだね。一度アールツに突き放されたときには、もうだめかと思ったけど、もう一回追いつくことができたから勝てたね。」イザービットは息を切らしながらも笑顔で語った。
このレースでは2周回目に早くもアールツとイザービットの一騎打ちとなる。昨年度の覇者でありながらここまでシリーズ未勝利のアールツに取っては喉から手が出るほど欲しい勝利、中盤にはイザービットを突き放し勝負あったかに見えた。しかしアールツよりも頭一つ分小さい小さな巨人イザービットは、どこにそんなスタミナがあるのかわからない走りで追いついてくる。それでもアールツも最終10周回で再びイザービットを突き放す。
これで勝負あったかに見えたが、イザービットはここから驚異的な加速を見せる。ゴール手前でアールツに追いつくとそのままアタック、一気にアールツを突き放して勝利を掴んだ。苦悶の表情で首を横に振るアールツには、もう余力は残っていなかった。しかしアールツはこの2位でポイントを積み重ね、未勝利ながらもシリーズ連覇がいよいよ見えてきた。
「折れた肋骨はもう大丈夫だよ。でもまだ気は使うけどね。でももうそんなことも言っていられないよ。最大の目標である世界選手権はもうすぐだからね。今日は負けてしまったけど、すごくエキサイティングなレースが出来たね。最後は僕の方がガス欠になったよ。」アールツは敗北しながらも世界選手権へ向け調子を取り戻してきた。
前のレースでも素晴らしい走りを見せたトーマス・ピドコック(トリニティ―レーシング)はこのレースでも素晴らしい走りを見せ表彰台争いを演じて見せた。最終的には5位に終わったものの、シクロクロス後進国であるイギリスの若手が一気に台頭してきた。
UCIシクロクロス第8戦ノメイ
1位 イーライ・イザービット(パウエルス・サウザン・ビンゴール) 1h07”13”
2位 トゥーン・アールツ(テレネット・バロワーズ・ライオンズ) +08”
3位 ローレンス・スウィーク(テレネット・バロワーズ・ライオンズ) +1’16”
4位 ラース・ファン・デル・ハール(テレネット・バロワーズ・ライオンズ) +1’28”
5位 トーマス・ピドコック(トリニティ―レーシング) +1’46”
6位 コーン・ファン・ケッセル(サーカス・ワンティゴベール) +1’55”
7位 クインテン・ヘルマンス(サーカス・ワンティゴベール) +1’58”
8位 ジャンニ・フェルメサーチ(クレアフィン・フリスタッヅ) +2’02”
9位 イェンス・アダムス(パウエルス・サウザン・ビンゴール) +2’04”
10位 トム・ミーウセン(グループ・イェンス・マエスコンテイナーズ) +2’07”
H.Moulinette