世代最強の呼び声高いログリッチが振り返る2019年とこれから、「ブエルタの総合優勝よりもジロの3位を誇りに思う」、世界ランク年間1位が次に目指すはツール・ド・フランスの頂点!
昨年度のこの時期、プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)がこれほどまでに大暴れして勝利を量産すると誰が予想しただろう。ティレーノ・アドリアティコ、UAEツアー、ツール・ド・ロマンディーといったステージレースで総合優勝を果たし、さらにはグランツールのブエルタ・ア・エスパーニャを制するまでの大活躍は、ほとんどの人がイメージできていなかっただろう。30歳と中堅に差し掛かった男の今年の活躍からも目が離せない。
「僕にとって2019年の最高のシーンと言えば、ジロでの表彰台獲得だよ。ブエルタの優勝じゃなくてこっちなんだよ。とにかくきつかったんだよ。全力で戦ってつかみ取ったという実感がすごかったんだよ。最終的に表彰台に登れたのがとにかく最高の瞬間だったよ。あのレースではいろいろなことを学んだよ。」
「エースとして挑んだ初めてのレースだったんだけど、前評判では全然注目されてはいなかったけど、実は秘かに総合を狙ってはいたんだ。でも現実はそう甘くはなかった。チームも僕も経験不足で何も思ったようにいかなかった。でもそんな中で途中でおなかの調子を崩したけど、それによって何をどのように食べればいいかが分かったりと、経験が積めたことが本当に収穫だったよ。ブエルタの勝利が悪いということではないんだよ。ただチーム力の問題だったり、僕個人の落車だったり、おなかの調子だったり、様々な問題があったにもかかわらず、最終的に3位を獲得できたという満足感と達成感がとにかく他の全ての勝利より上だったんだよ。何とか最後まで戦い抜く気持ちで挑み続けられたことが、そこからの残りのシーズンでの勝利に結びついたと思うんだよ。」
ジロでの苦戦があったことが、ログリッチのブエルタでの総合優勝に繋がっていることは間違いなさそうだ。「チーム全員が一丸となって走れたのがブエルタだね。それで結果がでたんだよ。」
そしてログリッチはこれからに関して語った。「自転車選手になったとき、皆が夢見るのはグランツールに頂点に立つことだろ。去年は初めて僕もその目標を持って挑めたシーズンだったんだ。そしてきちんと勝利という結果を残せたのは最高だったよ。そして今年はツール・ド・フランスを狙うよ。今年はチームが強いからね、今年はデュムランが加入したけど、別に問題はないよ。彼が僕の為に、そして必要であれば僕が彼のために働くことだけだよ。彼の加入はチームにとっては大きなプラスだよ。僕らはチームとして勝利したいんだよ。」ログリッチはチーム愛を口にした。
「勝ちたいと思うし、勝てると思うよ。勝つには最強であること、シンプルだろ。」
不敵に笑う今年もログリッチは視界良好のようだ。
H.Moulinette