UCIシクロクロス世界選手権シリーズ第6戦&7戦:連戦連勝のファン・デル・ポエルは年末の連戦を勝利、所属チームは年明けにコレンドン・サーカスからアルペシン・フェニックスに名称変更
昨シーズン、シクロクロスの世界王者としてそのままロードシーズンに突入し、そしてクラシック勝利など大暴れをしたマシュー・ファン・デル・ポエル(コレンドン・サーカス)だが、ロードシーズンの終わりと共に休みなくシクロクロスに今年も参戦、ここでもその圧倒的な強さを発揮している。特にシクロクロスの最高峰UCI世界選手権シリーズでは出場したレースではすべて勝利してきており、今自転車レース界の至宝となりつつある。昨年度年末クリスマス前後に行われた第6戦、そして第7戦でも勝利し、その勢いは一向に衰えを見せない。
そして年が変わりチームはスポンサーの変更と共に名称をコレンドン・サーカスからアルペシン・フェニックスへと変えた。強豪チームからのオファーをけってまで残ったチームは、新たにスポンサーを加え最強の男の為のチーム作りをさらに加速させていく。
泥まみれのバトルとなった第6戦ナミュール、雨と泥で多くの選手がてこずる中、悪路など全く意に介さず激走を続けた。2度のパンクに見舞われるも地力でライバルたちをねじ伏せて見せた。「寒かったよ!今日はもう集中するだけで精いっぱいだったよ。なのに途中で2度もパンクしたまま走り続けなければならなかったから、さらにぐったりだよ。こういう条件下では、ミスが少ない人間が勝つんだよ。去年の世界選手権(悪天候下で敗北したため)?もうそれは持ち出さないでくれよ(笑)。そりゃ思い出したよ、はこれだけハードに運動しているのに、体が心底冷えてしょうがなかったからね。」震えながらファン・デル・ポエルはコメントした。
そしてこのような荒れたレースでは、思わぬ伏兵が現れる。イギリスシクロクロスチャンピオンのトーマス・ピドコック(トリニティ・レーシング)が終盤まで表彰台県内を走り続けるも、最後は落車でシートポストが折れるハプニングに見舞われ4位に終わった。しかし間違いなくこの日のレースで一番沿道を沸かせた。
ここまでの世界選手権シリーズリーダーでもあり、今シーズンエリート初参戦中のイーライ・イザルビット(パウエルス・サウザン・ビンゴール)は寒さに負けまさかのリタイア、これでこのレースでファンデル・ポエルに真っ向勝負を挑み2位に入ったトゥーン・アールツがシリーズリーダーとなった。しかしこのレースで落車したアールツはろっ骨を2骨折、さらにもう2本を亀裂骨折という状況だ。
UCICX第6戦ナミュール
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(コレンドン・サーカス) 1h05’59”
2位 トゥーン・アールツ(テレネット・フィデア・ライオンズ) +55”
3位 コーン・ファン・ケッセル(テレネット・フィデア・ライオンズ) +1’14”
4位 トーマス・ピドコック(トリニティ・レーシング) +1’31”
5位 ティム・メリエール(パウエルス・サウザン・ビンゴール) +1’41”
第7戦のフースデン・ゾルダーはきわどい勝負となったが、最終的にはファン・デル・ポエルがローレンス・スウィーク(パウエルス・サウザン・ビンゴール)とクインテン・ヘルマンス(テレネット・フィデア・ライオンズ)を引き離して僅か6秒差で勝利を収めた。勝利慣れしている男にとっては、この差で十分だった。「ここは独走が難しいんだよ。コースが開けているから、常に目視でどこにだれがいるかが確認できてしまうからね。そうなるとチームメイトが多いチームが有利になるんだよ。」ファン・デル・ポエルはここでの戦略の難しさを語った。
前レースで総合リーダーに躍り出ながらもろっ骨を骨折したことでこのレースが懸念されたアールツだが、なんと出場しただけでなく序盤落車に巻きこまれ最下位まで順位を落とすも粘りの走りで14位でゴール、イザルビットがこのレースでもシーズン序盤の勢いはなく13位と沈んだために総合リーダーの座をキープした。しかしこのレースで4位に入ったマイケル・ファントゥーレンハウト(パウエルス・サウザン・ビンゴール)が一気に総合2位にジャンプアップ、次戦でファン・デル・ポエルが出場しないだけに、シリーズ総合優勝争いは大激戦の様相を呈してきた。
このレースでは元シクロ世界王者のゼネク・スティバー(ドゥクーニンク・クイックステップ)も参戦、大いに沿道のファンを盛り上げた。残念ながらメカトラで上位フィニッシュとはならなかったが、今でもトップシクロクロッサーと互角に戦ってみせた。
UCICX第7戦フースデン・ゾルダー
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(コレンドン・サーカス) 1’02’22”
2位 ローレンス・スウィーク(パウエルス・サウザン・ビンゴール) +06”
3位 クインテン・ヘルマンス(テレネット・フィデア・ライオンズ)
4位 マイケル・ファントゥーレンハウト(パウエルス・サウザン・ビンゴール) +09”
5位 ジャンニ・フェルメサーチ(コレンドン・サーカス) +20”
H.Moulinette