進む”脱違反行為”!多くのチームが所属するMPCC(自転車競技信頼回復活動団体)が、レース主催団体にMPCC加盟チームのワイルドカード選出を要望、ここ2年で一気に浸透

自転車レースシーンは絶え間ない薬物汚染の波に飲まれ続けてきた。今でも過去に遡り調査が行われ、また未だに禁止薬物に手を出す選手は後を絶たない。そんな中で立ち上がったのがMPCC(自転車競技信頼回復活動団体)という団体。多くのチームが加盟し、過去にドーピング違反したものを所属させないことを条件とするなど、厳しいルールを設定している。

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その厳しい条件が故に、ワールドツアーチームでは2019年度の段階で加盟が18チーム中僅か7チームではあったが、プロコンチネンタルレベルでは浸透しつつあり、25チーム中20チームが加盟している。ただしその下のコンチネンタルチームなどでは、まだまだ浸透率は低い。
しかしこのMPCCは、自転車レースへの信頼回復の為にUCIにかなり厳しい提言を常に行っているだけではなく、レース主催者にもMPCC登録チームを積極的にワイルドカードで選択するように推し進めている。そのかいもありレースに関しては2018年度ではワールドツアーのワイルドカード中89%がMPCC登録チーム、そして2019年度は91%がMPCC登録チームと増えつつある。特にグランツールではMPCC登録チームがワイルドカードの100%を占めていることは活動が浸透していることを意味しているだろう。目指すはワールドツアーでも100%ということは、今現在プロコンチネンタルでまだ登録していないチームは「ワールドツアーに出場したければ登録せよ」ということとなる。

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2020年度はプロコンチネンタル19チーム中16チームがMPCCに登録をしている。残念ながら世代最強との呼び声高いマシュー・ファン・デル・ポエルを中心としているアルペシン・フェニックス、Uno-Xノルウェイ育成チーム、ヴィーニ・ザブ・KTMの3チームは登録をしていない。既にASOは今シーズンのパリ~ニース、クリテリウム・ド・ドーフィネのワイルドカードをMPCC登録チームに決定、これから益々登録していないチームは活動が制限されることとなる。アルペシン・フェニックスに関しては来シーズンのワールドツアー昇格を目指しているだけに、主要レースに出場できないのは痛いところだ。
ワールドツアーチームの多くが、主要選手にドーピングで出場停止処分を経験しているベテラン世代の選手がまだ多く、彼らの登録は進んでいないのが現状だが、今後世代交代の波と共に間違いなくこの活動は広がっていくだろう。まずは近い将来プロコンチネンタルでの登録率100%は間違いないだろう。
昨今自転車レース界を取り巻いている様々な環境と状況は厳しくなってきている。だからこそしっかりとした規律と厳格なドーピングとの決別を掲げる事での信頼回復に努めていかねばならない。
MPCCではUCIに対してドーピングテストを今よりも強化することを求めている。それでも常に新たなドーピング手段が生み出され、いたちごっこは続くだろう。だがチームや選手、レース主催団体、競技団体などが毅然とした態度を示し続ける事は必要不可欠だ。
より楽しいレースシーンを、一ファンとして観戦し続けられることを願いたい。
H.Moulinette
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