ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージ:最終ステージを制したのはヤコブセン、完璧なチームワークの個性派集団ドゥクーニンク・クイックステップは今大会5勝!ログリッチ総合優勝!

今シーズン最後のぐらんつーる、ブエルタ・ア・エスパーニャが閉幕した。昨日までのステージで総合など主要タイトルは決定、最終ステージは恒例のパレードステージからのスプリント勝負となった。最も目立つ最終ステージのスプリントを制したのはファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)、チームの完璧な御膳立てからこれ以上ない快心のスプリントでステージを制しチームに今大会5勝目をもたらした。勝利量産中の個性派集団は、総合とは関係のないところで21ステージ中5勝と約1/4のステージを勝利する快進撃ぶりをここでも見せた。

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「人生最高の勝利だね。オランダチャンピオンジャージでこの勝利獲得できたことが、何よりも大きいよ。これが僕にとっては初のグランツール出場、肉体的にも精神的にもアップダウンが激しかったけど、最後の最後で大きな仕事ができたね。僕らはただ走り続けるんだよ。」ヤコブセンはチームメイトと勝利を分かち合った。

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そんな大会は、元スキージャンプ世界選手権金メダリストのプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)がジロ・デ・イタリアの総合3位を上回る総合優勝、グランツールをエースとして初挑戦のシーズンでいきなりの総合優勝を手にして見せた。「皆の応援とサポートに感謝だよ。次のレースでもまた応援してくれよ。」普段は表情の硬いログリッチはこの日は常に笑顔だった。
総合2位にはアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、年間世界ランキング1位を目指す大ベテランは、大会前にステージ優勝を狙うと公言していたが、その公約通りステージ優勝を果たしたのみならず、安定した走りで総合優勝争いを最後まで繰り広げ、世界チャンピオンとしてまだまだ若い世代にはそのポジションを譲れないという意気込みを見せた。

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そして大躍進となったのが総合3位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)だ。注目はされていたが、初出場のグランツールでどこまで活躍するかは未知数だった。調子の波はあったが、結果的にはステージ3勝、しかもそのすべてが山岳バトルを制してという圧倒的な才能を見せつけた。実質最後の直接対決となった第20ステージでは独走で大逆転で総合3位へとジャンプアップを果たした。間違いなく来シーズンは大本命としてグランツール総合優勝を狙う存在となりそうだ。
ポイント賞はログリッチが獲得、毎ステージの安定した走りで、山岳ステージでも常にライバルたちをキッチリとマークしてポイントを積み重ね続けた。総合3位に入ったポガチャルがポイント賞争いでも2位に入った。
山岳賞はジョフリー・ブシャール(AG2R)が獲得、2年前までは靴の販売員だった遅咲きの男が、いきなりの大仕事をやってのけた。チームとしても全く予想していなかった大躍進、なかなかステージ勝利や総合に絡めなかったチームにとってはこの山岳賞ジャージ獲得は極めて価値あるものとなった。

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圧倒的なチーム総合はモビスター、ツートップのバルベルデとナイロ・キンターナ(モビスター)が総合優勝争いを繰り広げたことで、毎ステージのように上位でゴールし続けた。さらにはそのエースアシストだったマルク・ソレル(モビスター)も何度となくステージ上位に入り続け総合9位、なんと総合トップ10に3人が入るという圧倒的な総合タイムで2位のアスタナに50分以上の大差をつけた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージ
1位 ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ) 2h48’20”
2位 サム・ベネット(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 スジモン・サノック(CCC)
4位 ヨン・アベラツリ(カハルーラル・セグロスRGA)
5位 エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ディメンション・データ)
6位 エドワード・テウンス(トレック・セガフレド)
7位 トッシュ・ファン・デル・サンド(ロット・ソウダル)
8位 クレメント・ヴェンチュリーニ(AG2R)
9位 マルク・サラウ(グルーパマFDJ)
10位 ディオン・スミス(ミッチェルトン・スコット)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 83h07’31”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +2’16”
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +2’38”
4位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +3’29”
5位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +4’31”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +7’16”
7位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +9’47”
8位 カール・フレドリック・ヘーゲン(ロット・ソウダル) +12’54”
9位 マルク・ソレル(モビスター) +22’10”
10位 ミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット) +22’17”
山岳賞
ジョフリー・ブシャール(AG2R)
ポイント賞
プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)
新人賞
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
チーム総合
モビスター
H.Moulinette