ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージ:実質総合決着!恐るべし20才、ポガチャルがなんと今大会3勝目を独走で決め、総合3位表彰台へ!スロベニア勢大躍進のブエルタ!
自転車はチームスポーツであるが、それとは別に国別の勢力も常に皆の関心事だ。その中で今大会最も注目を浴びたのがスロベニア、もちろん総合優勝を確定的とさせたプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)が元スロベニア代表のジャンプ選手で、世界選手権金メダリストであることはすっかり有名になったが、今大会初出場ながら大躍進を遂げた男もまたそれに一役買った。このステージでも早々と攻撃を仕掛けると独走態勢へと持ち込み、そのまま独走で今大会3勝目を飾ったタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)もまたスロベニア出身、勝利と共に新人賞、さらには総合表彰台も逆転で確定的にした。
最後のバトル、モビスター勢にとっては大逆転を狙うには攻撃あるのみ、しかしログリッチのモチベーションと余裕ある表情、そして圧倒的な威圧感はそれを最後まで許さなかった。代わりに白熱していた新人賞バトルはルイス・アンヘル・ロペス(アスタナ)とポガチャルの間で激しく争われてきた。個人の実力ではポガチャルながら、圧倒的なチーム力を誇るアスタナがどう決着を図るかに注目が集まった。
逃げの数名が先頭を走る中、この日6つのカテゴリー山岳のうち5つ目、まだ残りを40km残した段階でポガチャルはアタックを決めた。誰もこれに反応せず、ポガチャルはそのまま一気に加速していく。本来追わなければいけないロペス、さらには総合順位での逆転を阻止しなければならないモビスターも動かなければならないはずが沈黙、そのままポガチャルを行かせてしまう。
ポガチャルは先行していた逃げをあっという間に追い抜くと、そのまま独走態勢へと持ち込んでいく。一度開いた後続とのタイム差は1分40秒ほどで推移、バーチャルでポガチャルが新人賞と総合3位となる。
それでも後続の追走集団はなかなか動きを見せない。そして最後の山岳になり、ヘルマン・ペルシュタイナー(バーレーン・メリダ)とラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)がアタックを仕掛ける。それに乗じて集団はペースアップ、ログリッチと総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がキッチリとそれに対応したのに対して、総合3位のナイロ・キンターナ(モビスター)と総合4位のロペスが遅れてしまう。これで勝負あり、今大会の総合争いが事実上決着、ログリッチがグランツールs朝鮮初年度にして総合優勝を確定的とした。ステージ2位となったバルベルデは最後まで調子を崩すことなく走り切り、総合2位をほぼ手中にした。
ステージ優勝を果たしたポガチャルは大逆転でこれで総合3位、最終日がパレードステージであることを踏まえ、総合表彰台が確定的となった。また併せて新人賞も確定的、初のグランツール参加の男が末恐ろしい才能を世に知らしめた。
「さいこうだね。この結果は自分でも予測していなかったよ。今日と今回の結果を理解するには数日かかりそうだね。今日はただひたすら耐えしのぐだけだったよ。脚はよかったんだけど、精神的に維持し続けるのは本当に難しかったんだよ。でも皆が雨と寒さで調子が悪そうなのを見ていけると思ったんだ。ロペスの揺動は見ていたし、それに対して一発、いいタイミングで仕掛けられたね。」ポガチャルには大満足の大会となった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージ
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 5h16’40”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +1’32”
3位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)
4位 ヘルマン・ペルシュタイナー(バーレーン・メリダ)
5位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +1’41”
6位 セルジオ・イギタ(EFエデュケーション・ファースト) +1’49”
7位 ディラン・テウンス(バーレーン・メリダ)
8位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +1’56”
9位 ミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット) +1’59”
10位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 71h16’54”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +2’47”
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +3’31”
4位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +4’17”
5位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +4’49”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +7’46”
7位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +9’46”
8位 カール・フレドリック・ヘーゲン(ロット・ソウダル) +11’50”
9位 ジェームス・ノックス(ドゥクーニンク・クイックステップ) +13’20”
10位 マルク・ソレル(モビスター) +21’09”
H.Moulinette