ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージ:ブエルタ初出場のイギタが逃げ切り大金星!ログリッチとバルベルデがまたも激戦、新人争い激化でロペスがポガチャルからジャージ奪取

最終盤戦へ来て、ブエルタは激しく連日のように動く。今年は世界選手権向けに大会後半の山岳ステージが甘めに設定されているとはいえ、それでも激戦必至、ライバル同士攻撃の乱れうち状態となっている。そんなステージはまたしても総合上位勢が動いたが、その中でもタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)とルイス・アンヘル・ロペス(アスタナ)の新人賞争いが最も激しく推移している。そんなステージを制したのはセルジオ・イギタ(EFエデュケーション・ファースト)、逃げ集団に乗ったブエルタ初出場の男がただ一人逃げ切りの快心の勝利、大金星をつかみ取った。
この日の逃げは一発で決まらず、ワウト・ポエルス(チームイネオス)のアタックに徐々に加わっていく形となった。最終的には山岳賞ジャージのジョフリー・ブシャール(AG2R)、イギタを含む13名の逃げとなり、後続のメイン集団との差を広げていく。2年前まで靴売りをしていた男が今やブエルタの山岳賞ジャージというシンデレラストーリーは、フロックではなく現実のものとなりつつある。
逃げはレース中盤まではそのまま順調に歩を進めたが徐々に崩壊、しかしそれでもブシャールはキッチリと山岳賞ポイントを集め続けた。そして残り60km、その背後の追走グループでロペスがアタックを仕掛けると、これをきっかけに追走集団も大きくばらけてゆく。

©Bettini Photo
最初に苦しそうな表情を浮かべたのは、昨日大きく順位を上げたナイロ・キンターナ(モビスター)だった。しかしここでは何とか踏ん張り、総合リーダーのプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)らと主に残り40kmでロペスを捉える。この段階で追走は僅か21名まで絞られる。この日はアスタナが完全に攻めモード、ポガチャルから新人賞を奪うべく積極果敢に攻め立てる。
そして先頭はイギタただ一人となり、最後の上り、頂上まで5kmの時点ででまたしてもロペスが仕掛ける。これに反応できたのはログリッチ、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、さらにはラファル・マイカのみだった。ポガチャルとキンターナは必死についていこうとするが脱落してしまう。

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そしてゴールまでの最後の下りにイギタは単独で向かっていく。その背後では4名となった追走が迫るが、迫られるも15秒振り切りステージ優勝を果たした。ゴールでのボーナスポイント争いはログリッチが制しステージ2位、バルベルデは3位となり僅かながらログリッチがタイムを広げた。
ポガチャルとキンターナはこのステージだけで約1分の遅れとなり、キンターナ、ポガチャル共に総合順位を下げることとなった。
「この勝利は僕にとってもチームにとっても最高のモチベーションとなったね。スプリントでも勝てるとは思ったけど、ソロで勝ち切ることもできるかと思ったんだ。一人になったけど、脚がよく回っていたんだよ。」イギタはこの日勝利を確信していたようだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージ
1位 セルジオ・イギタ(EFエデュケーション・ファースト) 4h33’09”
2位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +15”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
4位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +17”
5位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +1’16”
6位 カール・フレドリック・ヘーゲン(ロット・ソウダル)
7位 ルイス・メインチェス(ディメンション・データ)
8位 ナイロ・キンターナ(モビスター)
9位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
10位オスカル・ロドリゲス(エウスカディ・バスクカントリー・ムリアス) +3’47”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 71h16’54”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +2’50”
3位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +3’31”
4位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +4’17”
5位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +4’49”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +7’46”
7位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +9’46”
8位 カール・フレドリック・ヘーゲン(ロット・ソウダル) +11’50”
9位 ジェームス・ノックス(ドゥクーニンク・クイックステップ) +12’44”
10位 マルク・ソレル(モビスター) +21’09”
H.Moulinette