ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ:地元のイトゥリアが粘っての勝利!復活してきたが財政難だったエウスカディを救う勝利となる可能性も!
昨日の個人TTで動いた総合勢は、この日は静かに逃げを容認し続けた。そんなステージでは14人の大所帯の逃げが最後まで逃げ続けることに成功、そしてその中から飛び出したミケル・イトゥリア(エウスカディ・バスクカントリー・ムリアス)が見事地元プロコンチネンタルチームとして念願のステージ優勝を果たした。
エウスカルディと言えばバスクのオレンジ集団として長らく愛されてきたワールドツアーチームがあったが資金難で解体となってしまった。その後地元バスクにチームを、と復活してきたチームがエウスカディ・バスクカントリー・ムリアス、そしてプロコンチネンタルまで上り詰めたものの、やはり資金難という壁に直面していた。先週になり所属選手に移籍先を自由に探してもよいという状況が伝えられたばかりのチームだったが、このステージのイトゥリアの勝利はその状況を大きく覆す一手となりそうだ。
逃げ集団から飛び出したイトゥリアだったが、一時は1分ほどまでその差を広げるも、追走のヨナタン・ラストラ(カハルーラル・セグロスRGA)、ローソン・クラドック(EFエデュケーション・ファースト)、ダミアン・ハウソン(ミッチェルトン・スコット)、フランソワ・ビダード(AG2R)に背後まで迫られた。捕まるのは時間の問題と思われたが、ここからイトゥリアが驚異の粘りを見せる。追走がお互いお見合いしたこともあるが、数キロの渡り目と鼻の先を逃げ続けると、そのまま最後まで逃げきって見せた。
「大会前にどのステージを狙いたい?と聞かれたんだけど、このステージって言ったんだ。家族がここにきているからね。いつもこんな勝利を夢見てきたんだ。僕はアシストだし、勝利を狙う役割ではないからね。僕はペース走法だから、一度は逃げの加速についていけなかったんだ。だからもう死に体のふりをしていて、その後アタックを仕掛けたんだ。残り2kmからはもう振り返らなかったよ。僕はスプリンターではないから、そうなれば勝てないからね。」イトゥリアは冷静にレースを見渡していた。
今大会はワイルドカードチームの奮闘が目立っており、これでアンヘル・マドラゾ(ブルゴスBH)、ヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)がすでに勝利を挙げており、イトゥリアの勝利が11ステージ中3勝目となった。来シーズンのステップアップを狙っている貪欲なチームと選手たちの快進撃はまだまだ続きそうだ。
総合勢は動きなく安泰、明日からのステージに備え順調にステージをこなした。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ
1位 ミケル・イトゥリア(エウスカディ・バスクカントリー・ムリアス) 4h36’44”
2位 ヨナタン・ラストラ(カハルーラル・セグロスRGA) +06”
3位 ローソン・クラドック(EFエデュケーション・ファースト)
4位 ダミアン・ハウソン(ミッチェルトン・スコット)
5位 フランソワ・ビダード(AG2R)
6位 アマニュエル・ゲブレジャビエ(ディメンション・データ) +09”
7位 ベンジャミン・トーマス(グルーパマFDJ) +12”
8位 マッテオ・ファブロ(カチューシャ・アルペシン)
9位 ゴルカ・イザギーレ(アスタナ)
10位 レミ・カバーニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 41h00’48”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +1’52”
3位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +2’11”
4位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +3’00”
5位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +3’05”
6位 カール・フレドリック・ヘーゲン(ロット・ソウダル) +4’59”
7位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +5’42”
8位 ニコラス・エデ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +5’49”
9位 ディラン・テウンス(バーレーン・メリダ) +6’07”
10位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +6’25”
H.Moulinette