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©Bettini Photo

開幕してまだ2ステージ目、そうでなくとも総合優勝候補が乏しい中で、早くも総合勢が大きく動き、そしてその明暗がくっきりと分かれた。確かに頂上ゴールが多く、簡単に大逆転が起きるとはいえ、これほどまでに早いステージでのタイムロスは間違いなくディスアドバンテージ、不利な状況と言えるだろう。そんなステージを制したのはナイロ・キンターナ（モビスター）、小集団の逃げから単独で飛び出し、ゴールまでの2kmほどを独走で勝利した。

残り23kmほど、山岳ポイントまでの上りは予想以上に険しく、あっという間に集団は大きくばらけていく。積極的に仕掛けたのはピエール・ラトゥール（AG2R）、何度となくアタックを繰り返したことで、集団は大きく分裂していく。世界チャンピオンジャージのアレハンドロ・バルベルデ（モビスター）もここで元気な姿を見せ、集団先頭で積極性を見せたが、残り20km、人数が少なくなっていた先頭集団はさらに分裂をする。

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飛び出したのはニコラス・ロッシュ（チームサンウェブ）とミケル・ニエベ（ミッチェルトン・スコット）、そしてこれに素早く反応したキンターナ、ファビオ・アルー（UAEチームエミレーツ）、リゴベルト・ウラン（EFエデュケーション・ファースト）、プリモズ・ログリッチ（ジャンボ・ヴィズマ）だった。マイヨ・ロホを着用するミゲル・アンヘル・ロペス（アスタナ）は必死に追走グループを牽引するが、協力者が少なく先頭の6人との差は広がっていってしまう。

先頭の6人は快調にペースを上げて逃げ切りを確定的とすると、ゴールスプリント勝負になれば勝ち目のないキンターナが残り3kmで思い切って飛び出していく。完璧にタイムポケットができたこのアタック、ライバルたちは一瞬あっけにとられたかのようにその後姿を見送ってしまう。すぐにニエベとログリッチが追走を始めるが時すでに遅し、ギアをあげたキンターナはそのまま独走態勢へと持ち込むと、笑顔でゴールラインでポーズを決めた。

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「ツールの後休めたからね。それにモチベーションが上がっていたから積極的に攻めたんだよ。バルベルデともうまく連携出来て、最高の形で勝利をもぎ取れたよ。今日は多くの選手が脚があり動きたがっていたから、ちょうどそれにはまったんだよ。でも最後はそのハングリーさでお互い牽制を始めたから、あっさりと仕掛けられたよ。」キンターナは喜びをにじませながら語った。

しかしまだ勝負は終わらない、2位争いではロッシュが先着すると、ボーナスタイムをこちらも獲得、それによりなんとキンターナを僅か2秒上回りマイヨ・ロホ奪取に成功した。総合2位にはステージ優勝のキンターナ、そして総合3位にはウランが順位を上げ、ロペスは必至の追走むなしく、一日天下に終わった。

バルベルデはキンターナのアシストとしてロペスグループを抑えたこと、さらには総合狙いのウィルコ・ケルデルマン（チームサンウェブ）、エステバン・チャベス（ミッチェルトン・スコット）はチームメイトが先行したことで追走もできない状態となり、結果的にタイムを失う結果となってしまった。

さらにはスティーブン・クライズワイク（ジャンボ・ヴィズマ）、ルイス・メインチェス（ディメンション・データ）、デビ・デ・ラ・クルス（チームイネオス）らはこの集団からも大きく後れを取り大幅にタイムを失う結果となってしまった。クライズワイクはツールで表彰台を獲得し期待されたが、昨日のTTの落車の影響もかなりありそうだ。

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早くも総合バトル勃発、明暗くっきり、これで各チームの戦略もまた変わってくるだろう。スポンサーの手前ステージ優勝も狙いたいチームの思惑も見え隠れする中、緻密で綿密な戦略が必要とされるがレースは生き物、そんな事お構いなしのドラマは展開する。

「調子は上向きだね。2015年はここでタイムをかなりリカバーしたしね。今はまだ怪我からの復帰途中だけど、いい感じだよ。」アルーは調子を見ながら今大会で仕掛けそうだ。

「まだ僕が選手として終わってないって証明できたんじゃないかな。こんな勝ち方したことなかったしね。」～ナイロ・キンターナ（モビスター）

「まだ焦ってはいないよ。あと19日もあるだろ。」～ミゲル・アンヘル・ロペス（アスタナ）

「また総合リーダージャージに袖を通せる日が来るとは思わなかったよ。とにかく感無量で言葉が見つからないよ。」～ニコラス・ロッシュ（チームサンウェブ）

ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージ
1位　ナイロ・キンターナ（モビスター）　　　5h11’17”
2位　ニコラス・ロッシュ（チームサンウェブ）　　　+05”
3位　プリモズ・ログリッチ（ジャンボ・ヴィズマ）
4位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーション・ファースト）
5位　ファビオ・アルー（UAEチームエミレーツ）
6位　ミケル・ニエベ（ミッチェルトン・スコット）　　　+08”
7位　セルジオ・アンドレス（EFエデュケーション・ファースト）　　　+37”
8位　ダデイ・ポガカー（UAEチームエミレーツ）
9位　アレクサンダー・アランブル（カハルーラル・セグロスRGA）
10位　アレハンドロ・バルベルデ（モビスター）

ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージ　総合順位
1位　ニコラス・ロッシュ（チームサンウェブ）　　　5h26’12”
2位　ナイロ・キンターナ（モビスター）　　　+02”
3位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーション・ファースト）　　　+08”
4位　ミケル・ニエベ（ミッチェルトン・スコット）　　　+22”
5位　ミゲル・アンヘル・ロペス（アスタナ）　　　+33”
6位　プリモズ・ログリッチ（ジャンボ・ヴィズマ）　　　+36”
7位　ウィルコ・ケルデルマン（チームサンウェブ）　　　+38”
8位　セルジオ・アンドレス（EFエデュケーション・ファースト）　　　+40”
9位　ダビデ・フォルモロ（ボーラ・ハンスグロエ）　　　+46”
10位　ラファル・マイカ（ボーラ・ハンスグロエ）

H.Moulinette