ツール・ド・フランス第18ステージ:逃げからキンターナがアタックし独走勝利!総合ではベルナルが仕掛け総合2位までジャンプアップ!アラフィリップはこの日も粘りの走り

最終山岳バトルがいよいよ勃発、総合系の駆け引きと共に、山岳ステージを狙う猛者どものバトルが始まった。総合で大きく順位を落としていたナイロ・キンターナ(モビスター)はこのステージで逃げ集団から飛び出しての独走勝利、これで総合でも再びトップ10に返り咲いた。そして総合でも仕掛けはあったものの下りゴールということもあり限定的な攻撃にとどまったことで、ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が踏ん張り切り総合リーダージャージをここでも死守して見せた。残り3ステージ、まさかの男が最後まで踏ん張り切れるか、今年のツールは最後まで見ごたえ十分だ。

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この日は名物ガビリエ峠越えの難関ステージ、この日の1級山岳コル・ドゥ・ヴァルスを前に逃げが形成される。キンターナをはじめ、ロメイン・バルデ(AG2R)、アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)といった脱落した総合勢に加え、今シーズン絶好調のアレクセイ・ルチェンコ(アスタナ)など強力なメンバーが顔をそろえた。この逃げは33名の大所帯となり、その差は頂上では7分半にまで広がる。さらに次の山岳コル・ド・イオザードでは逃げ集団は分裂を始める。キンターナ、バルデ、アダムらが積極的な動きで牽引しないメンバーを脱落させていき、逃げは山岳を得意とするメンバーへと絞られていく。
その背後の集団ではモビスターがペースアップ、総合リーダーのアラフィリップはエンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ)のアシストの元キッチリと集団に位置どっている。チームイネオスはここでアシストの枚数が削られてしまい、さらにティボー・ピノー(グルーパマFDJ)も貴重なアシストを失ってしまう。結果この動きが各選手の攻撃の手札を大幅に制限してしまうこととなる。

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そしてガビリエ峠の上り、キンターナがルチェンコらを引き離し独走態勢へと持ち込む。バルデも遅れて追走を始めるが、キンターナは独走となり自分のペースで走ることで水を得た魚のごとく、軽いステップでぐんぐんと加速していく。そのままキンターナはガビリエ峠を越えて下りに入っても独走、ガッツポーズで勝利を決め、今大会のここまでのうっ憤を晴らした。この勝利で総合も一気に7位まで順位を上げてきた。
「このステージはピュアクライマー向けだったね。そこに自分が入れたことが重要だったんだよ。今日は僕向きだと思っていたし、勝利を目指していたから嬉しいね。」キンターナは納得の表情で語った。

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そんなピュアクライマー向けのステージで、総合系ではないクラシックライダーでありパンチャーのアラフィリップの奮闘が続いている。この日もイーガン・ベルナル(チームイネオス)がガビリエ峠頂上まで3kmの地点で単独で仕掛け、ピノーらがそれに反応する中で遅れを取ってしまう。しかし頂上を越えて下りに入ると、一気にその差を詰め集団へと合流、ベルナルにはタイムを失い、総合2位にジャンプアップしたベルナルとのタイム差は1分半にまで縮まったが、この日も総合リーダージャージを守って見せた。
結局総合上位勢のピノー、エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)、スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ミケル・ランダ(モビスター)、ゲラント・トーマス(チームイネオス)はアラフィリップと共にゴールした。
「下りでは限界までリスクを負ったよ。そうしないと追いつくことが出来なかったからね。あれ以上速く走ることは無理だったと思うよ。何とかマイヨ・ジョーヌを死守したかったから、必死だったよ。今このジャージを守れていることに満足だよ。タイムは失ったけど、全く対応できなかったわけじゃなくく、最低限のタイムロスでとどめられたからね。」
ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 総合1位

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「調子よかったし、気分も上々だったよ。それにアラフィリップに対してタイムを稼げたからね。それが一番大きかったよ。トーマスが攻撃しろと言ってくれて、彼も出来れば攻めると言っていたんだ。すべてはチーム戦略であり、僕の独断ではないよ。」
イーガン・ベルナル(チームイネオス) 総合2位
「今日はあまり調子が良くなかったんだよ。今日は必至で耐えたよ。ベルナルには無理をしてついていくことをしなかったのはそのせいだよ。トーマスも揺さぶりをかけたけど、それには反応したけどね。これで残り2ステージの山頂ゴール、これで全てが決まるね。今日以上に調子がいいといいな。」
ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) 総合5位

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ツール・ド・フランス第18ステージ
1位 ナイロ・キンターナ(モビスター) 5h34’15”
2位 ロメイン・バルデ(AG2R) +1’35”
3位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ) +2’28”
4位 レナード・カムナ(チームサンウェブ) +2’58”
5位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・メリダ) +3’00”
6位 ティス・ベノート(ロット・ソウダル) +4’46”
7位 マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
8位 イーガン・ベルナル(チームイネオス)
9位 セルジュ・パウエルス(CCC)
10位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +5’18”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 75h18’49”
2位 イーガン・ベルナル(チームイネオス) +1’30”
3位 ゲラント・トーマス(チームイネオス) +1’35”
4位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’47”
5位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +1’50”
6位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’14”
7位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +3’54”
8位 ミケル・ランダ(モビスター) +4’54”
9位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +5’33”
10位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +5’58”
H.Moulinette