ツール・ド・フランス第17ステージ:トレンティンが独走勝利!スプリンターが隙を突き逃げ切りでチーム3勝目!アラフィリップら総合勢はのんびりと翌日からのアルプス決戦に備え
嵐の前の静けさ…これは総合勢に限ったことであり、翌日からの山岳ステージで活躍する予定のない選手たちにとっては、このステージこそが活躍の場、スプリンターと逃げを狙うパンチャーにとってはこのステージは一発狙うステージとなった。そんなステージを制したのはスプリンターのマッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)、今大会スプリント未勝利の男が、思わぬ逃げ切りでツール通算3勝目を飾った。
この日の逃げは33名の大所帯、後続の集団との差は大きく広がり逃げ切りは確定的となった。そうなれば後はいかにして勝利するか、まずは残り30kmでニルス・ポリット(カチューシャ・アルペシン)の動きに乗じて加速、一気に集団の分裂を図る。これで一気に先頭集団は10人にまで絞られる。グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(CCC)やキャスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)といった力あるメンツが残り、ここから心理戦が始まる。
しかし残り14kmでトレンティンが一気に加速、単独で逃げ切りを図る。単独で3級山岳を超え、さらに加速していく。10秒差が30秒差にまで広がり残り5kmを迎えるが、単独追走となったアスグリーンも懸命の走りを見せる。しかしその勢いもトレンティンに追いすがるのが精いっぱい、最後までその差は詰まることなくトレンティンが独走勝利を確定させた。これで今大会17ステージでチームは4勝目、総合を狙い損ねたチームはステージ勝利でそのうっ憤を晴らしている。
「正直アスグリーンが怖かったよ。最後まで彼も単独追走だっただろ。この勝利は格別だよ。僕はスプリンターだから、独走勝利というものが極めて少ないんだ。それがツールで達成できたんだからね!仕掛けて10秒くらいまで差が広がったとき、これはお互い見合って追走してこないな、と思ったんだ。あとはもう自分の限界との勝負だったよ。」トレンティンは納得の表情を見せた。
ステージ2位にはアスグリーンが入り、アスグリーンに追いすがったヴァン・アーヴェルマートが3位に入った。その後総合時は20分以上遅れてゴール、明日からのステージに向け体力を温存する形となった。
またこのステージではルーク・ロウ(チームイネオス)とトニーマルティン(ジャンボ・ヴィズマ)がレース中に小競り合いを起こし、双方失格処分と罰金が科せられた。マルティンの不必要な幅寄せであわや落車仕掛け激怒したロウが、今度はマルティンを手でコースから押し出そうとするなど、何度となく非紳士的行為をしたと判断された。双方謝罪はしたが、
「結果にはハッピーだよ。ただ僕は逃げに乗る予定ではなかったんだ。ただ結果的にチャンスがあったんでステージ勝利を目指したんだ。ただこれで脚を使いすぎたかもしれない。明日以降アラフィリップの為に足が残っているといいなぁ。」
キャスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ) ステージ2位
ツール・ド・フランス第17ステージ
1位 マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット) 4h21’36”
2位 キャスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ) +37”
3位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(CCC) +41”
4位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)
5位 ディラン・テウンス(バーレーン・メリダ)
6位 ゴルカ・イザギーレ(アスタナ)
7位 ダニエル・オス(ボーラ・ハンスグロエ) +44”
8位 ピエール・ルック・ペリション(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +50”
9位 トム・スクインス(トレック・セガフレド)
10位 ヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +55”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 69h39’16”
2位 ゲラント・トーマス(チームイネオス)) +1’35”
3位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’47”
4位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +1’50”
5位 イーガン・ベルナル(チームイネオス) +2’02”
6位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’14”
7位 ミケル・ランダ(モビスター) +4’54”
8位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +5’00”
9位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +5’33”
10位 リッチー・ポート(トレック・セガフレド) +6’30”
H.Moulinette