ツール・ド・フランス第15ステージ:サイモン・イェーツが今大会2勝目!ピノーがアタックで総合勢がまたも分散、アラフィリップはタイム失うも粘りの走りでマイヨ・ジョーヌキープ

今大会アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)の総合の夢ついえたことで、再びチャンスをもらった双子の兄弟サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)がまたしても快走を見せ、見事に頂上ゴールを独走で達成した。圧巻の走りでチームに貴重な今大会2勝目をもたらした。そして総合争いも激化、仕掛けたティボー・ピノー(グルーパマFDJ)がまたしてもタイムを稼ぎ出し総合順位を上げてきた。

©Bettini Photo
この日は逃げ切りが可能なステージ、しかしながら山岳は厳しく、追走のメイン集団の展開次第で逃げ切りが容認されるかどうかというステージとなった。しかしこの日の逃げは、サイモンに加え、すでに優勝圏外の総合系のヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)、バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)、マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ロメイン・バルデ(AG2R)、イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)らに加え、ナイロ・キンターナ(モビスター)という総合での一発逆転を狙う選手が入ったことで、メイン集団の警戒網の中でレースをすることとなった。

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レースはその後先頭の逃げ集団が分裂していく中で、追走集団では昨日同様に総合上位の選手達による小集団が形成される。すると急勾配セクションでミケル・ランダ(モビスター)がその中からアタック、これによりレースは一気に動く。ジャンボ・ヴィズマが主導権を握った総合上位の集団は僅か16名にまで人数を減らし、脱落して来る逃げのメンバーを次々と飲み込んでは吐き出していく。
そしてついに残り6kmでピノーが動く。一撃目でまずゲラント・トーマス(チームイネオス)とスティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ)らが脱落すると、さらに二撃目で総合リーダーのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が遅れてしまう。何とかついていっていたエマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)とイーガン・ベルナル(チームイネオス)もここでピノーに振り払われると、ピノーは先行していたチームメイトと合流し、さらにペースアップを図る。
残り3.5km、アラフィリップはトーマスとクライズワイクの集団にもつかまり置き去りにされてしまう。ピノーは快調に飛ばし続けるが、最後までサイモンに追いつくことはなかった。独走でステージ優勝を決めたこの日最後の逃げの一人サイモンはそのままステージ優勝、そしてその背後でピノーがゴール、更に順番に総合勢がゴールをしていく。アラフィリップは遅れたものの、渾身の走りで食らいつき、総合の逆転を許すことはなかった。しかしこれで一気に総合タイムが縮まり、2分以内に総合トップ4がひしめき合う結果となった。
「今日は天候が僕の見方をしたよ。あの雨は恵みの雨だったね。コースも理解していたし、脚の周りからもいける気がしていたんだ。脚がいい感じの時は、それを満喫しないと損だからね。今日はリスクを余り取らずに、確実に加速して後続を引き離したんだよ。まだまだこれから本格的なステージが待っているんだよ。レースはこれからだよ。」ステージ2位のピノーは満足げに語った。

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「今日の結果を誇りに思うよ。ほんときつかった。今日もチャンスがあるのはわかっていたんだよ。そのチャンスをしっかりと両手で抱え込んだよ。今日はただ疲れたね。まだ残りのステージも狙うかもね。」
サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) ステージ1位

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「きつくなるのはわかっていたよ。でもガッカリはしていないよ。ただもう力をすべて使い果たしたよ。クライマー相手に遅れたことは驚きもしないし、ましてや昨日のあのステージの後だからね。昨日は全力を出し尽くして力尽きたからね。今日のステージは本当にダメージが出かかったよ。2週間全開バトルをした後に、まだこれから1週間もあるわけだからね。今までの無理のツケをこれから払っていくことになるよ。」
ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
「昨日よりは気分がましだったよ。でも自分のペースで走らざるを得なかったんだよ。ポエルスが調子が良かったから、そこは彼に任せたんだ。」
ゲラント・トーマス(チームイネオス)
ツール・ド・フランス第15ステージ
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 4h47’04”
2位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +33”
3位 ミケル・ランダ(モビスター)
4位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +51”
5位 イーガン・ベルナル(チームイネオス)
6位 レナード・カムナ(チームサンウェブ) +1’03
7位 ゲラント・トーマス(チームイネオス) +1’22”
8位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ)
9位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
10位 リッチー・ポート(トレック・セガフレド) +1’30”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 61h00’22”
2位 ゲラント・トーマス(チームイネオス)) +1’35”
3位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’47”
4位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +1’50”
5位 イーガン・ベルナル(チームイネオス) +2’02”
6位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’14”
7位 ミケル・ランダ(モビスター) +4’54”
8位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +5’00”
9位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +5’27””
10位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +5’33”
H.Moulinette