ツール・ド・フランス第14ステージ:ツールマレー峠の激戦を制したのはピノー!マイヨ・ジョーヌのアラフィリップは驚きのステージ2位!トーマスは最後に脱落、キンターナ優勝圏外に

ツール・ド・フランス中盤の勝負所となった第14ステージ、標高2000m越えのトゥールマレー峠への頂上決戦は総合勢にとってはキッチリと明暗が分かられるステージとなった。総合優勝争いから脱落したもの、なんとか踏みとどまったもの、そして優勢に立ったもの、それぞれのツール・ド・フランス優勝争い最前線が一気にヒートアップした。そんなステージを制したのはティボー・ピノー(グルーパマFDJ)、チームメイトの御膳立てをキッチリと活かして、渾身のガッツポーズを決めた。そしてマイヨ・ジョーヌのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)はこの日もマイヨ・ジョーヌマジックか、あっぱれの走りでクライマーたちと渡り合い、そのままステージ優勝争いにまで絡む走りでステージ2位、ボーナスタイムまで獲得する走りを見せた。

©Bettini Photo
この日の距離は短く僅か117.5km、当然ペースは上がった状態での山岳バトルとなった。すでに総合優勝からは大きく脱落しているヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)やポイント賞ジャージのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)など17人の逃げから始まった。しかしこの日は山岳の重要ステージ、逃げ切りなどという安直な結末は許されるはずもなかった。
グルーパマFDJ、そしてモビスターのペースアップにより集団は徐々に削られていく。なんとロメイン・バルデ(AG2R)はレース中盤の1級山岳で早くも脱落、この語二度と先頭集団に追いつくことはなかった。それに対してアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)は一時後れを取るものの、なんとか先頭集団へと復帰を果たす。

©Bettini Photo
しかし残り19km、トゥールマレーに入ると、アダムは脱落、さらにダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)も脱落してしまう。モビスターとして誤算だったのは、チームのエースナイロ・キンターナ(モビスター)までもが脱落してしまう。徐々に遅れていく選手たち、そんな中先頭ではワーレン・バルギル(アルケア・サムシック)が先頭に躍り出る。
先頭集団はダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)が強烈に牽引、さらに集団はばらけていき、人数はどんどんと減っていく。エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)らが脱落、さらにはヤコブ・フグルサング(アスタナ)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)らもどんどんと脱落していく。そして残り1kmを切り、ここでついにゲラント・トーマス(チームイネオス)までもがその犠牲となり遅れていく。

©Bettini Photo
先頭集団はこれで6人、ピノー、アラフィリップ、イーガン・ベルナル(チームイネオス)、スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ)、エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)、さらにはミケル・ランダ(モビスター)となる。ペースを落とすことなく6人はそのまま急こう配で一気に加速しゴール勝負となるが、力を温存していたピノーが一人飛び出す。それを追うのはアラフィリップ、フランス人二人の余裕ある走りの前に、ライバルたちは屈することとなった。余裕でガッツポーズを決めステージ優勝のピノーは総合でも順位を上げた。アラフィリップはステージ2位でボーナスタイムを獲得、昨年度覇者で連覇を狙うトーマスとの差を2分差以上にまで広げることに成功した。

©Bettini Photo
「クライマーだったら、ツールの山岳で勝つことにどれほどの価値があることか!とくにこんな最難関ステージの名物峠で勝てるなんて!選手冥利に尽きるよ!僕らは狙っていたしモチベーションも高かった。ガウドゥのあの牽引が最高だったね。これから数年で、間違いなく彼は今の僕のポジションにいるだろうね。勝利はできたけど、でもまだタイムをすべて取り返せていないことは腹立たしいんだ。でもまだツールは終わっていない、これからだよ。」ピノーは淡々と語った。
トーマスはまさかの失速でタイムを失ったが、何とか踏ん張り切りピノーから36秒差でゴールを果たした。総合順位でも2位をキープこそしたが、ライバルたちとのタイム差が詰まり、一気に総合争いは混戦模様となってきた。皮肉にもこの日キンターナの為に仕掛けたモビスターでは、先日大きくタイムを失い順位を下げたランダが最後まで残り、そしてキンターナが総合トップ10から陥落する代わりに、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がトップ10入りする結果となってしまった。

©Bettini Photo
「最高の一日ではなかったね。ただあまり調子が良くなかったんだよ。今日はただ自分のペースで走るしかなかったんだよ。先行されたときももう追わなかったんだ。とにかくタイムロスを最低限に抑えることだけに専念したよ。これから数日がどうなるかだね。まだレースは続くからね。勝てるかどうかだって?もちろんだろ。」
ゲラント・トーマス(チームイネオス)
ツール・ド・フランス第14ステージ
1位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) 3h10’20”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +06”
3位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ)
4位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +08”
5位 イーガン・ベルナル(チームイネオス)
6位 ミケル・ランダ(モビスター) +14”
7位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +30”
8位 ゲラント・トーマス(チームイネオス) +36”
9位 ワーレン・バルギル(アルケア・サムシック) +38”
10位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +53”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 56h11’29”
2位 ゲラント・トーマス(チームイネオス)) +2’02”
3位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +2’14”
4位 イーガン・ベルナル(チームイネオス) +3’00”
5位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +3’12”
6位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ)
7位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +4’24”
8位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +5’22”
9位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +5’27”
10位 エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ) +5’38”
H.Moulinette