ツール・ド・フランス第6ステージ:未舗装の最大勾配26%で総合勢の明暗分かれる、アラフィリップはクライマー相手に驚異の走りもマイヨ失う、ステージ優勝はテウンスでチッコーネがマイヨ獲得
今年の第6ステージ、ゴール前に用意されていた未舗装路の最大26%の激坂は、今年のツール総合勢の明暗を分ける形となった。致命的な差にはならずとも、ライバルの脚の具合と調子を図るにはうってつけのステージとなった。そんなステージを制したのはツール・ド・フランス初出場のディラン・テウンス(バーレーン・メリダ)、ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)とのマッチレースを制して嬉しいステージ優勝をあげた。ステージ優勝こそ逃したがチッコーネも嬉しいマイヨ・ジョーヌ獲得、二人にとって価値あるステージとなった。
過去に何度もツールに登場しているラ・プランシュ・デ・ベル・フィルだが、今年は今までのゴールからさらに距離が延長され、その先の未放送路、グラベルの急勾配の先がゴールとなった。この日の逃げが容認されることが予想され、14名の選手が逃げに乗ることとなった。しかし総合リーダーのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)とドゥクーニンク・クイックステップにとってはマイヨ・ジョーヌを守れれば守りたいという思惑もあり、タイム差は縮まりながら残り20kmを切る。
この日はミスター逃げ男、トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル)も逃げを見せ、さらに独走態勢へと持ち込んだが上りで失速、逃げ続ける集団はばらけていき、先頭を走るのはテウンスとチッコーネ、さらにはティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)とザンドロ・メウリス(ワンティ・グループゴベール)となる。
その後方ではアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がペースアップ、総合系はアシストなく残されここから持久戦となる。しかしマルク・ソレル(モビスター)もさらに加速に加わり、モビスターのミケル・ランダとナイロ・キンターナ(ともにモビスター)のエース格がライバルたちにチーム力を見せつける。懸命についていくエースクラスだが、その表情は苦悶にゆがむ選手が出始める。
先頭ではテウンスとチッコーネの二人となり、メイン集団とのタイム差が縮んでいくが安全圏を維持し続ける。それぞれにステージ優勝と総合リーダージャージ獲得という思惑が一致することでペースは落ち切らずに何とか推移し続ける。今までのゴール地点を越え、未舗装のグラベルに入ると二人はいい気に勝負に出る。しかしゴール手前の26%でテウンスが気合で乗り切りステージ優勝を果たしたのに対し、チッコーネは止まりそうになるほど失速、蛇行しながらなんとかステージ2位でゴールを果たした。
その背後では壮絶なバトルが勃発する。まず抜け出したのはランダ、徐々に後続との差を広げていくが大きな差とはならない。そして最後のグラベルに入りアラフィリップが渾身のアタック、クライマーにここまでついてきただけではなく、最後になりまだ上りで仕掛けて見せた。一気にその差が広がるが、じわじわと迫ってきた集団から今度は大会連覇を狙うゲラント・トーマス(チームイネオス)が加速し、ゴール前でアラフィリップをかわす。さらにはティボー・ピノー(グルーパマFDJ)もそれを猛追し、アラフィリップと並んでゴールをする。しかしそれ以外の総合勢は完全に粉砕され、ここからバラバラでゴールしていく。
アラフィリップの後にはキンターナとエマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)が入り、さらにヤコブ・フグルサング(アスタナ)、イーガン・ベルナル(チームイネオス)、リッチー・ポート(トレック・セガフレド)、ランダと続く。更にダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ジョージ・ベネット(ジャンボ・ヴィズマ)、エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ)と続いていく。
スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ)、ワーレン・バルギル(アルケア・サムシック)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)、ファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ)、ロメイン・バルデ(AG2R)らがゴールらが遅れながらもまだ何とか踏みとどまる中、イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)らは完全にこのステージで総合争いから大きく脱落となった。
アラフィリップは奮闘むなしく、チッコーネが獲得したボーナスタイム分届かずに6秒逆転されてしまう結果となった。チッコーネは勝負には負けたが結果的にマイヨ・ジョーヌを獲得に成功した。モビスターとチームイネオスはそれぞれエースが2枚ずつ残ったが、アシストではモビスター有利、さらにジャンボ・ヴィズマ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)も2枚の総合が残ったが攻撃の手札には乏しいことが露呈、総合争いはこの第6ステージで大きく絞らることとなり、この結果を受けて今後各チームはそれぞれ戦略を練り直すことになるだろう。
ツール・ド・フランス第6ステージ
1位 ディラン・テウンス(バーレーン・メリダ) 4h29’03”
2位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +11”
3位 ザンドロ・メウリス(ワンティ・グループゴベール) +1’05”
4位 ゲラント・トーマス(チームイネオス) +1’44”
5位 ティボー・ピノー(グルーパマ) +1’46”
6位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
7位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +1’51”
8位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +1’53”
10位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) 23h14’55”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +06”
3位 ディラン・テウンス(バーレーン・メリダ) +32”
4位 ジョージ・ベネット(ジャンボ・ヴィズマ) +47”
5位 ゲラント・トーマス(チームイネオス) +49”
6位 イーガン・ベルナル(チームイネオス) +53”
7位 ティボー・ピノー(グルーパマ) +58”
8位 スティーブン・クライズワイク(ジャンボ・ヴィズマ) +1’04”
9位 マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +1’13”
10位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +1’15”
H.Moulinette