ジロ・デ・イタリア第21ステージ:総合優勝はカラパズ!誰も予想しなかった新世代ウィナー誕生!ニーバリは2位、ログリッチは逆転で3位!ステージ優勝はハガ、初山も大会完走
最終個人TTを前に、昨日の山岳での結果化からリチャード・カラパズ(モビスター)の総合優勝は確実だった。そしてそのステージを走り切り、史上初のエクアドル人グランツール覇者が誕生した。大会前誰も予想しなかった男の活躍は、モビスターというチーム力と組織力があって初めて成し遂げられたといえるだろう。またこのステージで惜しくも再逆転を許し総合表彰台を逃したが、そのチームメイトでもありエースだったミケル・ランダ(モビスター)の走り無くしてカラパズの総合優勝はなかっただろう。その意味で言えば今年のジロ・デ・イタリアはチーム総合優勝も果たした”モビスターの勝利”と言える大会だった。
そんな大会の最終ステージを勝利したのはチャド・ハガ(チームサンウェブ)、今大会総合優勝候補のトム・デュムラン(チームサンウェブ)が早々とリタイアしてしまうと、代わってエースとなったセカンドエースのサム・オーメン(チームサンウェブ)までもがリタイア、僅か4人しかここまで残らず、チームとしては全く何もできないで終わりかねない大ピンチを救ったのは、まだメジャーな勝利の無かった中堅30才のハガだった。
この日のステージ優勝候補と目されたプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)がタイムを伸ばせずゴールすると、ステージ優勝を確信した男の表情が一気に緩んだ。「ログリッチが疲れていることを願っていたよ。僕自身は昨日の感触で、今日はいけるんじゃないかという確信はあったんだ。あとはそれを実行するだけだったよ。」満面の笑みでハガは語った。
そのハガに遠く及ばず、ステージ10位に沈んだログリッチは、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)のステージ9位の後着、最後の最後で疲れが出たが、今大会2勝と共に、この日の走りで昨日逆転されたランダを再び逆転、最後の最後で総合3位を確定させた。間違いなく今大会を盛り上げた一人、成長著しい男のグランツール挑戦はこれから本格化していきそうだ。
カラパズにとっては、大会前には想定もしていなかったピンクジャージ、総合優勝の証マリア・ローザ、感極まる姿に初々しさを感じた。それと同時に山岳賞はギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)、ポイント賞はパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)とこちらも大会前の予想をいい意味で裏切られる顔ぶれとなった。新人賞ジャージを獲得したミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)は、昨日のステージでも積極的な動きを見せながらも興奮する観客の転倒に巻き込まれ落車、怒り心頭でその観客を殴ってしまう一幕もあり、今UCIと主催者側でその対応に関して議論が行われている。
最後の最後まで目が離せない大会となった今年のジロ、様々なシーンと意味で主力選手たちに世代交代の波が着々と近づいていることを感じさせる大会となった。また日本から二人の選手が参加したが、残念ながら西村大輝(ニッポー・ヴィーニファンティーニ・ファイザン)はまさかの第1ステージリタイアという結果に終わり、メンタルの弱さを露呈したが、代わって初山翔(ニッポー・ヴィーニファンティーニ・ファイザン)が2度の大逃げを敢行するなどその名を世に知らしめた。完走者の中で再会の142位ではあるが、今大会に刻んだ走りは見ごたえ十分のものであった。
「僕が今年のジロ勝者だよ!正直言いたいことはたくさんあったけど、最後勝利が決まるまでは言うまいと思っていたんだよ。幸運が逃げてしまって変なジンクスがついても嫌だったからね。それにしても”ジロ勝者なんです”ってなんて最高の響き何だろう!ぼくよりも結果を残してきているニーバリやログリッチを脇に携えての表彰台中央、これこそこの勝利の価値をさらに高めているよ!」
~リチャード・カラパズ 総合優勝
「無駄な議論だろ。僕がログリッチの戦略を否定したのだって、僕自身調子が悪かったから愚痴を言っただけなんだよ。大会に後悔はないよ。カラパズを逃がしたことは失敗だったという人もいるけど、あの時点でそれが失敗になるかなんてわからなかったからね。彼は積極的で攻撃的、カウンターアタックがうまかったからね。隙あらばタイムを稼ぎ続けた彼の勝利だよ。僕は自分なりのベストを尽くした、だから後悔はないんだよ。」
~ヴィンチェンツォ・ニーバリ 総合2位
「今日これだけ多くのスロベニアのファンの方が集まってくれたことは勝利に匹敵する価値があるものだよ。皆が勝利を目指して戦っていたし、僕もそうだったよ。後半戦はとにかくトラブルと不調続きで我慢しかなかったよ。だからそれを考えれば総合表彰台を獲得できたのは勝利と同じくらい価値があるよ。人は敗戦から学ぶものだろ。これからどう何を変えていけばさらに改善ができるのかを学ぶチャンスなんだよ。今年のジロに参加できたこと、結果を残せたことを誇りに思うよ。」
~プリモズ・ログリッチ 総合3位
「8秒ね。2017年もツール・ド・フランスで僅か1秒差で表彰台を逃したけど、それに比べたら8秒差だからまだあきらめもつくよ。カラパズの総合優勝と、チーム総合優勝は嬉しいね。僕自身の総合4位は残念だけど、TTスペシャリストに逆転されたんだからしょうがないよ。それもレース、今回もベストを尽くしたしこれ以上の結果はないと思う。全力を尽くしたんだから後悔はないよ。まあでもよく考えればすべてのステージで0.5秒ずつ速く走っていたら総合3位だったかと思うとね・・・悔しさはあるよ。」
~ミケル・ランダ 総合4位
ジロ・デ・イタリア第21ステージ
1位 チャド・ハガ(チームサンウェブ) 22’07”
2位 ヴィクトル・カンペナールツ(ロット・ソウダル) +04”
3位 トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル) +06”
4位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・メリダ) +09”
5位 トビアス・ラドビグソン(グルーパマFDJ) +11”
6位 ジョセフ・チェルニー(CCC)
7位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +17”
8位 マッティア・カッタネ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +20”
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +23”
10位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +26”
ジロ・デイタリア・総合順位
1位 リチャード・カラパズ(モビスター) 90h01’47”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’05”
3位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +2’30”
4位 ミケル・ランダ(モビスター) +2’38”
5位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +5’43”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +6’56”
7位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +7’26”
8位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +7’49”
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +8’56”
10位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +12’14”
ポイント賞
パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)
山岳賞
ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)
新人賞
ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ
チーム総合
モビスター
H.Moulinette