ジロ・デ・イタリア第20ステージ:ビルバオが今大会2勝目!カラパズとランダのモビスターコンビまたも炸裂、ニーバリのみがそれに対応でログリッチは大きく遅れ総合4位、ロペス観客殴る

今大会最後の山岳ステージ、総合勢がどのように動くかが注目される中でで積極的に動き続けたのは、数的優位に立っているモビスターだった。総合1位のリチャード・カラパズ(モビスター)と総合4位のミケル・ランダ(モビスター)という二枚の攻めのカードを持つ優位性を確実に使い、最大ライバルのヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)の攻撃を封印、さらには最大の懸念材料、TTの強いプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)の引き離し見事成功、これで総合優勝に大きく一歩前進した。
他のグランツールでは最終日はパレードランが多く、最終日前日の山岳ステージは総合を決する場となるが、ジロでは最終日に個人TTが待ち構えるため、TTが苦手な選手にとってはここでどのような走りを見せるかが正念場となる。もともと予定されていたルートが雪崩の恐れがあるとの判断からコース変更、難易度は高いままだがゴールまでの上りを考えれば攻めどころは減っただろう。

©Bettini Photo
そんなステージは総合系にとっては大逆転を狙う可能性のある選手にも目を光らせねばならないステージ、逃げは大きく容認されることはなかった。しかしそれでも山岳賞ジャージのギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)、ペッロ・ビルバオ(アスタナ)、タネル・カンゲルト(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)ら強豪が顔を揃えた。
しかし追走の総合系集団は、最初の山岳から人数を減らしながらモビスターがアタックを仕掛ける。残り117kmで早くもカラパズ、ランダ、ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)らが加速していく。これにニーバリとログリッチはすぐさま反応できず、徐々にその差は広がっていく。しかしこの動きは一旦収束する。するとここからモビスターは追走の主導権を握りライバルたちの動きに神経をとがらせる。

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中盤戦は大きな駆け引きがないまま、残り16kmからの最後の頂上決戦へとレースが進むと、ランダとロペスがアタック、それにカラパズとニーバリはキッチリと対応する。しかしここでログリッチはここで苦しい表情を見せる。ランダは単独でゴール手前の頂上を超え一旦下りに入っていく。しかしここで遅れて頂上を越えてきたニーバリが得意のダウンヒルで猛追、カラパズもそれを追随しながら一気にランダへと合流を果たす。しかしこの下りでログリッチがスピードに乗り切れない。
カラパズ、ランダ、、ニーバリの思惑は合致、ログリッチを振り切ることで得られるそれぞれのメリットにより協調体制が生まれる。ログリッチは、下りで落車したラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)、バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)、ロペスらと共に追走を仕掛けるが、その差はじわじわと広がっていく。ここでロペスを不運が襲う。上りに入ったところで沿道の観衆が並走して転倒、激怒したランダは思わず観衆を殴りつける。これにより集中力を失ったランダは、再び走り出したが勝負からは脱落してしまった。

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カラパズらはそのまま先頭の逃げ集団をも吸収、逃げのメンバーとともにステージ勝利で得られるステージボーナス獲得に動く。マリア・ローザのカラパズもアシストに徹してきたランダへの感謝をみせ集団を牽引する。そのランダはゴール勝負に挑むが、今大会ロペスのアシストに徹しステージ勝利にこだわったビルバオの加速にはかなわなかった。ステージを制したのはビルバオ、ランダは2位に終わったが、それでも総合では3位へとジャンプアップを果たした。

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ログリッチはこのステージでも大きくタイムを失い、更には山岳区間でファンがおしりを押して手助けしたとしてさらに10秒のペナルティをもらってしまった。最終日のわずか17kmの個人TTでは挽回不能な3分台にまでカラパズとの差が開いてしまった。可能性のあった総合優勝は一歩遠のいたが、それでもまだ総合表彰台のスポットはまだ十分に可能、ニーバリとランダを逆転することに専念することとなりそうだ。
「カラパズがランダを勝たせるために牽引しているのが分かったから、だからランダをマークすることに専念したんだ。結果正解、今大会2勝目をあげられたよ。」
~ペッロ・ビルバオ ステージ1位

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「起きていることの全てをコントロールすることはできないよ。でもファンは触れずに応援することに専念してほしいね。ペナルティーは受け入れるよ。気分?ただ疲れたよ。今日が本当にクイーンステージで110%の力を出してベストを尽くしたよ。結果には満足しているよ。」
~プリモズ・ログリッチ 総合4位
「明日のTTでランダに対して23秒取り戻せれば、ステージ2勝と総合3位で祝杯をあげられるよ。素晴らしい結果だよ!」
~ログリッチ所属ジャンボ・ヴィズマ監督
「出来ることに全力を尽くしたよ、でもからパスとランダのモビスターはとにかく強すぎたよ。勝負の局面で総合系の選手をまだ4人も残していたからね。あの状況下ではこちらが出来ることは限られるよ。最後の上りもきつくて、アタック一つ成功すれば戦局は変わったんだよ。でもカラパズがそれを許してくれなかったよ。」
~ヴィンチェンツォ・ニーバリ ステージ5位 総合2位
「今日のゴール勝負がきついのはわかっていたよ。ランダはよかったね。僕はとりあえず最後まで待つことにしたんだよ。状況を見回して誰が僕らについてこれているかを見ていたんだ。着いてこれていたのはニーバリだけだったね。それでランダとともにニーバリを徹底マークしたんだよ。まあ利害関係も一致したしね。最後はランダが勝って欲しかったね。最後まで気は抜かないよ、何があるかわからないのがレースだからね。」
~リチャード・カラパズ ステージ4位 総合1位
ジロ・デ・イタリア第20ステージ
1位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) 5h46’02”
2位 ミケル・ランダ(モビスター)
3位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +02”
4位 リチャード・カラパズ(モビスター) +04”
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
6位 タネル・カンゲルト(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック) +15”
7位 ミケル・ランダ(モビスター)
8位 バレンティン・マドゥアス(グルーパマFDJ) +25”
9位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +44”
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)
ジロ・デイタリア・総合順位
1位 リチャード・カラパズ(モビスター) 89h38’28”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’54”
3位 ミケル・ランダ(モビスター) +2’53”
4位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +3’16”
5位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +5’51”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +7’18”
7位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +7’28”
8位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +8’01”
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +9’11”
10位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +12’50”
H.Moulinette