ジロ・デ・イタリア第19ステージ:チャベスが一人波状攻撃で復活の勝利!ヴェンダラメはメカトラも復活し2位!総合上位勢はお互い仕掛けるも決定打なく、勝負は最後の山岳バトルへ持ち越し

ジロ・デ・イタリア、総合勢によるハードな山岳バトルは激戦が期待されたが、ふたを開けてみればモビスターの圧倒的な牽引、さらにはアスタナの牽引により仕掛けどころが少ない展開へと持ち込まれ、誰も決定的なアタックしきれない持ち込まれてしまった。これもまた優位に立っているモビスターの戦略、逆転を狙うプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)にとっては厳しい展開となった。そんなステージを制したのはエステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)、昨年度は療養などでまともに走れなかった男が復活ののろしを上げた。

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この日は総合勢のバトルが予測され、それに伴い逃げが容認されることは確実だった。その逃げに乗ったのは、昨年度ジロで勝利を挙げた後に療養に入りレースが出来ず、復活の期待がされた元優勝候補のチャベス、さらにはピーター・セリー(ドゥクーニンク・クイックステップ)やアンドレア・ヴェンダラメ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)らは最大で9分半近くまでその差を広げる。
後続のメイン集団はモビスターが主導権を握り、圧倒的な存在感でライバルたちの動きを封じる。バーレーン・メリダもそれに合わせて集団前方にアシスト勢を固めるが、モビスターの容赦ないペースに、仕掛けるタイミングがない。
先頭集団はゴールまでの上りに入るとチャベスがアタック、そこにヴェンダラメ、セリー、フンランソワ・ビダード(AG2R)の3人が反応、この4人に加えアマロ・アントゥネス(CCC)、ジョバンニ・カルボーニ(バルディアーニCSF))が加わり激しいバトルを繰り広げる。それでも常に仕掛けるのはチャベス、一人波状攻撃でライバルたちを疲弊させていく。そんな中ヴェンダラメはチェーン脱落に見舞われ、一度は遅れてしまう。

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チャベスは自分のタイミングで何度となく仕掛けると、残り2.7kmで独走態勢へと持ち込む。そのまま手を緩めることなくゴールまで踏み続け、世界の大舞台への復帰を印象付ける勝利を飾った。その背後では猛追してきたヴェンダラメがなんと2位でゴール、メカトラが悔やまれる結果となった。
その背後ではモビスターの牽引に対して今度はアスタナが主導権を握ると、総合での逆転は難しいが、新人賞ジャージを確実にしたいミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)がこの日もアタックを敢行する。これは完全に容認され、ロペスはそのままぐんぐんとタイム差を広げていく。

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追走もリチャード・カラパズ(モビスター)、ミケル・ランダ(モビスター)の二人に対し、ニーバリとログリッチが何とかしたいという雰囲気は見せるものの、やはり二人体制のモビスターを攻めあぐねる。辛うじてログリッチが一度は加速を見せるが、すぐにカラパズとニーバリが反応、結局この動きは封じ込められてしまった。数の優位とチーム力の差がそのまま結果となってしまった。
「信じられないよ。全てのチームワーク、努力、家族や友達の協力などがもたらした結果だよ。僕は諦めなかったんだ。今日の上りがその象徴だろ。全員を振り落とせるまで何度も何度もアタックし続けたんだ。人生も似たようなものだろう。みんなを脱落させ、勝利を確信できるまで仕掛け続けたんだよ。なんて最高の一日なんだろう!皆に感謝だよ!」
~エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット) ステージ1位

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「ライバルたちが攻撃することはわかっていたよ。レース序盤からチームは好調だったね。ランダは明日は僕の為に走ってくれると約束してくれた。チームの力には確信を持っているよ。一番怖いのは偶発的なハプニングだよ。それ以外は特に考えないようにするよ。明日はとにかくアップダウンが激しく、どこまで攻撃を耐えしのいでタイムを維持できるかが優勝への条件だね。」
~リチャード・カラパズ 総合1位
「今日は長い上りもなかったしね。最後はきつかったよ、かなりペースも早かったしね。でもあれじゃあまりタイム差はつかないよね。ランダが表彰台獲得のために動くかどうか、それで僕らの戦略は変わるよ。」
~ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) 総合2位
ジロ・デ・イタリア第19ステージ
1位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット) 4h01’31”
2位 アンドレア・ヴェンダラメ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +10”
3位 アマロ・アントゥネス(CCC) +12”
4位 ジョバンニ・カルボーニ(バルディアーニCSF) +24”
5位 ピーター・セリー(ドゥクーニンク・クイックステップ) +32”
6位 フンランソワ・ビダード(AG2R) +35”
7位 マルコ・カノーラ(ニッポー・ヴィーニファンティーニ・ファイザン) +1’02”
8位 マニュエレ・ボアーロ(アスタナ) +1’37”
9位 マニュエル・センニ(バルディアーニCSF) +1’53”
10位 オリビエ・レ・ガック(グルーパマFDJ) +2’33”
ジロ・デイタリア・総合順位
1位 リチャード・カラパズ(モビスター) 83h52’22”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’54”
3位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +2’16”
4位 ミケル・ランダ(モビスター) +3’03”
5位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +5’33”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +6’17”
7位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +6’48”
8位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +7’17”
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +8’27”
10位 ダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ) +10’06”
H.Moulinette