ジロ・デ・イタリア第18ステージ:間一髪!チーマが逃げ切り勝利!迫る集団を辛うじて振り切り大金星!観客が道路に自転車を投げ出す危険行為も、アッカーマンが2位もポイント賞奪取
ジロ・デ・イタリア第18ステージ、山岳ステージだらけの後半戦の中で数少ないスプリントステージは、ドラマと大金星のステージとなった。ステージを制したのはダミアーノ・チーマ(ニッポー・ヴィーニファンティーニ・ファイザン)、途中で逃げの前に自転車が投げ込まれるハプニングもありながらも、限りなく迫るスプリンターたちに先着、大金星をチームにもたらした。
レースは僅か3人の逃げで始まった。チーマ、ニコ・デンツ(AG2R)、ミルコ・マエストリ(バルディアーニCSF)は集団から飛び出すと、そのままぐんぐんと後続とのタイム差を広げていく。しかしこの日は拮抗するポイント賞争いにとっても重要なステージだけに、スプリンターチームは間違いなく逃げを吸収するだろうと思われた。
ポイント賞争いはシクラメン色のジャージを着用するポイント賞リーダーのアルノー・デマール(FDJ)とパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)の一騎打ちだ。しかしそれ以外のチームもこの二人以外の主要スプリンターがこぞってリタイアしたおかげでステージ勝利のチャンスが巡ってきているだけに、積極的に追走に尽力する。
最大5分位まで開いたその差は、残り35kmで2分まで縮まってしまう。しかしここからタイム差がなかなか縮まらなくなる。今大会は多くのアタッカーが逃げに挑んでいるだけに、各チームは逃げを早めに捕まえた場合のカウンターアタックを恐れてギリギリで逃げの3人を捉える選択をする。
しかしこの選択が結果的に裏目に出る。先行している逃げの3人は追走してくる大集団を確認しながら駆け引きを続ける。残り1kmを切りその差は20秒ほど、一瞬の躊躇が逃げ切りを無に帰す間合いになった瞬間、3人はスプリントを開始する。それを見て追走でもアッカーマンを筆頭にスプリンターたちが一斉に仕掛ける。デンツとマエストリが力尽き飲み込まれる中、チーマは速度を維持してもがく。アッカーマンは一気に迫っていくが、チーマには僅かに届かなかった。悔しがりハンドルを強くたたきつけるアッカーマン、2位には終わったがデマールが失速して8位と沈んだことでポイント賞ジャージを奪還したことを知ると、敗北の悔しさの表情から一気に笑顔へと変わった。総合勢は大きな動き無く安泰、最後の山岳頂上バトルを前に力を蓄える一日となった。
「信じられないよ!今日は逃げ続けてぐったりだったし、まさか逃げ切れるなんて思ってもいなかったよ。でも僕は勝ったんだよ!夢が叶ったよ!」
~ダミアーノ・チーマ ステージ1位
「総合2位や3位なんて僕には価値がないんだよ。でも結局は自分の体との相談だね。結果に関わらずチームには感謝しなければならない。ここまでバトルが出来るのは彼らの仕事のおかげだからね。もうすでにジロは2度制してはいるけど、ぜひ3度目の制覇を狙うよ。」
~ヴィンチェンツォ・ニーバリ 総合2位
「リスクを取ってでも勝利したいね。もしログリッチに脚があればの話だけどね。ただ脚がないのであれば、表彰台を確保するための走りになるだろうね。今現状はチームがどうしたいかではなくて、彼自身がどうしたいかというところだよ。現状2分16秒差は最終日のたった17kmのTTで逆転できるタイムではないからね。仕掛けなければ勝ちはない、これが現実だね。」
~ジャンボ・ヴィズマ監督
「残り3ステージはどれも”挑戦”になるね。でもチームとして準備はできているし、自信もあるよ。まずは第19ステージで結果を残すことが最優先だね。最後までマリア・ローザを守り切れるのがベストだよ。」
~リチャード・カラパズ 総合1位
ジロ・デ・イタリア第18ステージ
1位 ダミアーノ・チーマ(ニッポー・ヴィーニファンティーニ・ファイザン) 4h56’04”
2位 パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 シモーネ・コンソーニ(UAEチームエミレーツ)
4位 フロリアン・セネシャル(ドゥクーニンク・クイックステップ)
5位 ライアン・ギボンス(ディメンション・データ)
6位 マニュエレ・ベレッティ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)
7位 ダビデ・チモライ(イスラエル・サイクリングアカデミー)
8位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
9位 ショーン・ベネット(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)
10位 ミルコ・マエストリ(バルディアーニCSF)
ジロ・デイタリア・総合順位
1位 リチャード・カラパズ(モビスター) 79h44’22”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’54”
3位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +2’16”
4位 ミケル・ランダ(モビスター) +3’03”
5位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +5’07”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +6’17”
7位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +6’48”
8位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +7’13”
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +8’21”
10位 ダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ) +8’59”
H.Moulinette