ジロ・デ・イタリア第16ステージ:テンションマックスの山岳賞チッコーネがステージ制す!ニーバリとモビスターのアタックでログリッチ孤立、またしてもタイムを失うも勝利の女神はまだ味方か?

ジロ・デ・イタリア第16ステージ、山岳バトルがどんどんと激しくなって生きている。ただし山岳賞に関してはこの日大逃げを敢行し、ステージまで制してしまったギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)が圧倒的優位に立っていると言えるだろう。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)はこの日も積極果敢にアタック、それにより結果的にまたしてもプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)を脱落させることに成功、これにより総合順位でも逆転をし優位な立場に立った。
大会前半戦が終わった時点で、個人TTでの圧倒的なタイム差があったログリッチにとって、山岳は耐えしのぐときであることは、チームのアシスト層の薄さからも明白だった。しかし山岳バトル半ばにしてすでに追い込まれつつある現状は本人も予想外だったかもしれない。あまりにも開いたタイム差が逆にライバルたちにアタックせざるを得ない状況を作ってしまい、それが完全に裏目に出ているのだ。

©Bettini Photo
この日のレースは21名の大所帯の逃げからスタートした。その中には山岳賞ジャージのチッコーネも当然のようにあり、この日も快調に山岳ポイントを積み重ねていく。追走集団も山岳で人数を減らしていく中で、勝負が動いたのは勾配11%のマルティローロ峠の頂上までまだ6km以上を残してだった。積極的に動いたのはこの日もニーバリ、「勝利にしか興味がない」と言い切る男にとって、TTでタイム差をつけられるログリッチこそがまずは蹴落とさねばならない天敵、それを踏まえて攻撃に出たのだ。これに反応したのは今大会存在感を見せているヒュー・カーシー(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)、共にログリッチとの差を開いていく。

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最初はマリア・ローザのリチャード・カラパズ(モビスター)、そのアシスト兼もう一人のエースのミケル・ランダ(モビスター)と共に追走をしていたログリッチだったが、カラパズ、ランダ、そしてミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)がペースアップを図るとついていくことが出来ず、脱落してしまう。
頂上を前にカラパズらはニーバリらに合流、ログリッチ脱落という思惑が合致するニーバリとモビスター勢はさらにペースを上げていく。しかしログリッチもまだ勝利の女神に見捨てられてはいなかった。追走してきたサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)らに拾われる形となり、辛うじて最悪の難を逃れる。もし単独になってしまっていれば追走などは叶わなかったが、ここで踏みとどまる。

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しかし頂上通貨時点でのタイム差は1分30秒、下りを得意とするニーバリ先行の中で、どこまでタイムを失うかと思われた。しかしここでログリッチにはさらにもう一つの救いが発生する。それは雨だ。強く降る雨と低い気温、誰もがリスク回避のために慎重に下りを下っていく。

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ゴール勝負は、一向に協調性を見せずに、チッコーネとトレック・セガフレドのチームカーからもひんしゅくを買ったヤン・ヒルト(アスタナ)とチッコーネの一騎打ちとなる。しかしここでチッコーネが根性のスプリントでゴール、見事にゴールで雄たけびを上げた。
ほとんどカメラに映ることがなかったが、逃げ集団のもう一人、ファウスト・マスナダ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)はステージ3位、そしてその背後でニーバリらが集団でゴール、これで総合勢がまたしてもシャッフルされることとなる。ログリッチらは一時タイム差を40秒ほどまで詰めてはきたが、ゴールまでの緩やかな勾配で再び差が広がったものの、頂上通過時点よりも10秒タイム差を詰める形でのゴールとなった。
総合はカラパズが総合リーダーのままだが、総合2位だったログリッチがついにニーバリに逆転を許した。今後この差が広がっていくようなことがあれば、ログリッチにとっては苦しくなっていくだろう。しかしこの日もまだ運には見放されていないだけに、今後の逆襲が期待される。
ジロ・デ・イタリア第16ステージ
1位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) 5h36’24”
2位 ヤン・ヒルト(アスタナ)
3位 ファウスト・マスナダ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +1’20”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’41”
5位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)
6位 リチャード・カラパズ(モビスター)
7位 ミケル・ランダ(モビスター)
8位 ジョー・ダンブロウスキー(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)
9位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・メリダ) +1’49”
10位マッティア・カッタネ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +2’03”
ジロ・デイタリア・総合順位
1位 リチャード・カラパズ(モビスター) 70h02’05”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’47”
3位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +2’09”
4位 ミケル・ランダ(モビスター) +3’15”
5位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +5’00”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +5’40”
7位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +6’17”
8位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +6’46”
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +7’51”
10位 ヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ) +8’06”
H.Moulinette