ジロ・デ・イタリア第15ステージ:カタルドが大逃げ切り勝利!ニーバリとカラパズアタックで仕掛ける!ログリッチにバッドデー、メカトラでバイク交換に落車で40秒失うも何とか順位キープ

レースは生き物、なにが起きるかがわからないのがレースだ。休息日前のこのステージで、プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)がバッドデーに見舞われた。それでもなんとか戦列復帰、タイムロスを40秒に抑えることで総合優勝争いに踏みとどまった。そんなステージはスタート直後から逃げたダリオ・カタルド(アスタナ)とマッティア・カッタネオ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)が最後まで逃げ続け、双方譲らずそのままスプリントバトルに突入、カタルドがアスタナに今大会初勝利をもたらしました。

©Bettini Photo
たった二人の逃げは、スタート直後に発生、快調に赤と青の二人のジャージがロンバルディアのワンデイクラシックさながらのコースを逃げ続ける。それに対してこの人も総合勢は常にお互いを牽制し続けた。ログリッチは昨日同様にアシストの薄さを露呈したのに対し、マリア・ローザを獲得したリチャード・カラパズ(モビスター)擁するモビスターはエース格のミゲル・ランダ(モビスター)を含めると6人のアシストでがっちりとカラパズを守りながら、どんどんとペースアップをしてしてライバルたちのアシストを削っていく。それに対しニーバリもドメニコ・ポッツォヴィーヴォ、ダミアーノ・カルーソらアシストが陽動を繰り広げるなど、各チーム戦力と手札を駆使しながらの駆け引きが続く。。

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レースが動いたのは残り46km、まず仕掛けたのは一つでも総合順位を上げたいサイモン・イェーツ(ミッチェルトンスコット)だった。それにすぐさま反応したのはカラパズとニーバリ、ログリッチは動かずマイペースで追走をする。直ぐにイェーツらは捕まるが、、すぐさまイェーツが再びアタック、そのまま積極的な姿勢で加速していく。
集団では残り20km、アシストを失っているログリッチは、コモ湖沿岸の曲がりくねったコースで補給を受けようと自ら集団最後尾まで下がりチームカーを待つ選択をする。しかしチームカーの監督がこのタイミングでまさかのトイレ休憩、さらに悪いことにログリッチハギアトラブルでバイク交換を余儀なくされるが、そのタイミングでもチームカーは間に合わず、結局チームメイトのバイクに乗り換えて追走を再開する。この時点でかなりの距離が離れたが、チームカーの隊列をうまく利用しながらなんとか隊列に復帰することに成功する。
しかしクラシックのイル・ロンバルディアで使われるコースを知り尽くしたニーバリが下りでアタックを決めると、カラパズが反応しイェーツと先行していたヒュー・カーシー(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)に合流、そのままぐんぐんと加速していく。

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追走で脚を使ったログリッチは、アタックには反応できず、ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)、ミケル・ランダ(モビスター)らとともに前をおう。しかしロンバルディアのコースは下りで急激はスイッチバックがある危険なコース、ログリッチには焦りもあっただろうが、それ以上に乗り慣れないチームメイトのセッティングのバイクにバイク操作をミス、曲がり切れずにガードレールに突っ込んでしまう。ガードレールがなければ崖下、そんな状況でカメラがとらえた瞬間に映ったのはガードレールにしがみついた状態のログリッチだった。顔などを怪我しながらもすぐさま立ち上がり、再び追走を再開するが、ランダらには追い付けない。
代わりにバウク・モレンマ(トレック・セガフレド)が合流しなんとかタイム差を縮めるべく必死の走りを見せるが、ここまでポーカーフェイスを決め込んでいたログリッチの表情に初めて焦りと不安の表情が見て取れた。

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ステージ優勝は駆け引きの末にカタルドが制し、背後まで迫ったニーバリは最後まで手を緩めずボーナスタイムも獲得、ログリッチとのタイム差を40秒ほど挽回することに成功した。
ランダらに続いてログリッチもゴール、終盤あれだけのハプニングがありながら40秒に抑えたことは不幸中の幸いだったかもしれない。さらに休息日前だったこともログリッチにとっては救いだっただろう。ただこれでカラパズとのタイム差は47秒、ニーバリのみならず手札とアシストが豊富なモビスターも相手にしなければならなくなった。
「出血はほぼ顔だね。ガードレールに顔からいったからね。でもそこまでひどくないし、まあ顔でペダル漕ぐことはないだろ(笑)。フロントシフターが壊れてバイク交換をしたかったんだ。でも結局チームメイトのバイクに乗らざるを得なくて、不慣れなそれでオーバースピードでやらかしたんだよ。今日はニーバリやカラパズのほうが速かったんだよ。上りであれだけ差をつけられたらいうことないだろ。でもまだ最終日までは長いしね。タイムは失ったけど誰にでも必ずバッドデーは来るからね。僕は今日それを経験したから、明日から気持ちを切り替えていくよ。」
~プリモズ・ログリッチ 総合2位

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「ログリッチのことはレース中は知らなかったよ。無線を外していたんだよ。レースに集中したかったからね。だから聞いたのはレース後なんだよ。きついステージだったね。疲れてもいたし、他の選手がどう反応するか知りたかったからアタックしたんだ。自分もきつかったんでライバルたちがどれほど余力があるのか知るのは怖かったんだ。でも実際仕掛けたら距離が開いたんで、それでモチベーションがむくむくと湧いてきたね。カラパズは協調して走ってくれたことで結果が出せてよかったよ。」
~ヴィンチェンツォ・ニーバリ ステージ3位 総合3位
「サイクリングはこんなもんさ。いつ何時誰に何が起きるかなんてわからないのさ。でもそういう運任せなところもあるから面白くて情熱的なスポーツなのさ。今日の結果は偶然ではないよ、僕は仕掛けたからね。まだログリッチ有利なんて言う人もいるけど、最後まで分からないのがレースだからね。誰が勝ってもおかしくない、そんな面白いレースになりそうだね。」
~リチャード・カラパズ ステージ5位 総合1位
ジロ・デ・イタリア第15ステージ
1位 ダリオ・カタルド(アスタナ) 5h48’15”
2位 マッティア・カッタネオ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)
3位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +11”
4位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)
5位 リチャード・カラパズ(モビスター)
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
7位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +36”
8位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)
ジロ・デイタリア・総合順位
1位 リチャード・カラパズ(モビスター) 64h24’00”
2位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +47”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’47”
4位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +2’35”
5位 ミケル・ランダ(モビスター) +3’15”
6位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +3’38”
7位 ヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ) +4’12”
8位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +5’24”
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +5’48”
10位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +5’55”
H.Moulinette